動画広告の専門家が見るSNS“ビジュアル訴求”の未来像 「状況を打破するきっかけに」

SNSは細かいところに神経質になりすぎないことが大事と語った
SNSは細かいところに神経質になりすぎないことが大事と語った

インスタグラムの告知はビジュアルが最も重要

 今や企業も当たり前のようにインスタグラムを使う時代へと移り、若い世代が使うツールだからとこれまで敬遠していた層も“つながる手段”として、また“広告ツール”として積極的に活用を始めている。

「特に今年に入って、コロナ禍で消費者が直接お店に足を運ぶ機会が少なくなってきています。私がよく通う知人の飲食店でも、その状況を打破するためにテイクアウトのランチをスタートさせたのですが、インスタグラムの投稿テキストで『テークアウトを始めました』だけでは、膨大な情報量に埋もれてしまい、なかなかお店に来て欲しいターゲットの目には留まらないと相談を受けて、ビジュアル的な訴求力を生かして、どうやって活用していくか、そのアイデアが大切だというアドバイスをさせてもらいました。

 例えば『今日のランチメニュー』が文字でずらっと並んでいるだけのブログのような投稿は、インスタグラムには全く向いていません。私たちは猛烈なスピードで画面をスクロールしているので、テキスト情報にはほとんど目を留めていない。そこでビジュアルが最も重要になってきます。

 スマートフォンで『今日のランチ』の写真や動画を撮影したものを上げたり、コロナ感染対策をしっかりと講じて営業している様子を動画やストーリーズ投稿で見せて安全安心をアピールしたりと、オーガニック投稿と呼ばれる一般の投稿をいかに上手に作成・活用するかというアイデアが重要になってきます」

 ターゲットに魅力を与えるオーガニック投稿とは? 記憶に刷り込む広告はプロの領域だが、オーガニック投稿は、ユーザーのアイデア次第で局面を打開できる。とは言え、そう簡単にアイデアは思い浮かばず、なかなか一歩を踏み出せない。これについて栗山氏は何より行動することの大切さを説いた。

「まずは頭でっかちにならないで、思い付いたさまざまな投稿を試みて、その反応を見ていくというのが1番の手だと思います。例えば、先ほどの飲食店のランチメニューでオムライスの写真に『いいね』がたくさん付いたら、オムライスを中心にした写真をどんどん作成・投稿し、さらにそれぞれどんなコメントが付いたかなど、細かな反応を見ていく。逆にあまり反応がない投稿は、思い切ってアーカイブしてしまうのもいいかもしれません。

 テストを繰り返すことで、チャンスやきっかけを自ら作っていく。SNSってそういう自由度がありますよね。SNSを通じて新たな情報発信をしていくことは、今スタックしている状況を打破するきっかけになるかもしれません。インスタグラムは直感的なツールですから、あまり細かいところに神経質になりすぎず、どんどん思い付いたアイデアを投稿して反応を見ながら改善していくことが大切だと皆さんにはアドバイスをさせてもらっています」

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