アイドル文化のないスペインから単身来日 23歳原石MIMA、異国の地で描く壮大な夢「紅白に出たい」

無数のアイドルがひしめき、“アイドル戦国時代”と言われる中で、目を引く新星が現れた。彼女の名前は、Dolly KissのMIMA(ミマ)。アイドル文化のないスペインから単身来日し、憧れだったアイドルの夢をかなえた23歳が、次に見据える目標とは――。

Dolly Kissのミマ【写真:増田美咲】
Dolly Kissのミマ【写真:増田美咲】

独学で歌とダンスを磨く

 無数のアイドルがひしめき、“アイドル戦国時代”と言われる中で、目を引く新星が現れた。彼女の名前は、Dolly KissのMIMA(ミマ)。アイドル文化のないスペインから単身来日し、憧れだったアイドルの夢をかなえた23歳が、次に見据える目標とは――。(取材・文=小田智史)

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 スペインのアンダルシア州グラナダに生まれたミマ。スペインにはいわゆる“アイドル文化”は根付いていないが、9歳のころにネット上で目にした日本のアイドルに興味を持ち、一気にのめり込んだ。最も影響を受けたのは、日本でも圧倒的人気を誇る4人組アイドルグループのももいろクローバーZだったという。

「ももいろクローバーZさんが一番最初にYouTubeで流れてきて、顔も衣装も曲もかわいくてひと目惚れしました。11歳のころには『絶対アイドルになる!』という覚悟を決めていましたね。女性アイドルグループのように、複数人で一緒に踊ったり歌ったりする文化がスペインにはあまりなくて、メンバー同士がお互いに支え合って、家族みたいに一緒に同じ目標に頑張っている姿が本当にすてきだなと思いました。日本のかわいいアイドルが、最初は完璧じゃないところから努力を重ねてどんどん成長して輝いていく姿にも、もしかしたら自分も(アイドルになる)夢をかなえられるかもしれないと勇気をもらいました」

 歌もダンスも未経験。アイドル文化のないスペインではアイドル向けのレッスンもなく、ボイストレーニングの動画やほかのアイドルのダンス動画を見て、独学で練習するしかなかった。

 そして、2022年にオンラインでアイドルグループのオーディションに合格し、19歳だった同年8月に単身来日。当初はミマのアイドル挑戦を難しいと考えていた両親も、日本行きを後押ししてくれたという。

「両親には『アイドルになりたい!』と何度も伝えてはいたんですけど、スペイン人だしスペインに住んでいるので、『やっぱり無理なんじゃない?』と言われていました。でも、人生は一度きりだからやめたくなくて……。オンラインでオーディションを受けて、合格したことを両親に伝えたら、『チャンスがあるからこそ(日本に)行っていいよ』と応援し始めてくれるようになりました」

乃井りこプロデューサーも「歌姫」とミマの歌唱力を評価する【写真:増田美咲】
乃井りこプロデューサーも「歌姫」とミマの歌唱力を評価する【写真:増田美咲】

ホームシックになるも「このままじゃ帰れない」

 アイドルグループの一員となり、日本で本格的なレッスンを開始したが、素顔は19歳の女の子。初めてのことばかりの日々に、何度も心が折れそうになった。

「ずっとスペインで両親と暮らしてきたので、1人で違う国に来て、毎日レッスンをするんですけど、自分だけ全然うまくできなくて大変でした(苦笑)。両親の元から離れての生活は寂しかったです」

 ホームシックにもなったと明かす一方で、応援してくれるファンの存在と「このままじゃ帰れない」という反骨心が、再びミマを立ち上がらせた。

「正直ホームシックにもなったんですけど、両親から『もう帰ってきていいよ』と言われるのは嫌でした。自分だけできない悔しさもありましたし、家族やファンの皆さんに『頑張っているね』『うまくいっているね』と思ってもらいたくて、帰りたい気持ちを我慢して、いつも切り替えてやっていました。自主練習も頑張りました」

 日本での一つ目の転機は2025年9月末。所属グループが解散してしまったが、「アイドル活動は続けたい」と日本にとどまる決断をした。

「『このままスペインに帰りたくない』という気持ちが強かったので、たくさんのオーディションを受けました。同じメンバーで3年間頑張ってきたのに、1人になってしまって、またゼロからのスタート……。家族にも、ファンの皆さんにも会えなくて、正直つらい時期でした」

 そこで出会ったのが、2022年末に現体制終了でメンバー全員が卒業し、事実上の活動休止となっていたDolly Kissだった。昨年11月に新メンバーオーディション開催と新体制での復活が決定。約1900人の応募があったなかで、今年1月の有観客オーディションを勝ち残り、晴れてDolly Kissの最終メンバー9人に名を連ねた。

「Dolly Kissの一員として、またアイドルができるチャンスをいただいたので、これからの時間を大切にしたいし、全力で頑張りたいと思っています。(乃井りこ)プロデューサーさんは私のことを『歌姫』と言ってくださったり、日本語とかいろいろ手伝ってくださっているので、恩返ししたいです」

自分の武器は「日本のすてきなアイドル文化を世界中に届けられる」と語る【写真:増田美咲】
自分の武器は「日本のすてきなアイドル文化を世界中に届けられる」と語る【写真:増田美咲】

今年3月には日本の大学を卒業

 Dolly Kissは3月7日にステージデビュー。『TOKYO GIRLS GIRLS』『歌舞伎町UP GATE↑↑2026』『コトネの日』など大きな対バンイベントに出演、4月4日には原宿系動画クリエイター・しなこやアイドルグループ・私立恵比寿中学が出演した『Tune Live』で豊洲PITのステージにも立った。

 ミマは「改めてアイドルっていいなと思います!」と笑顔を見せる。

「豊洲PITというとても大きな会場でのイベントで、本当にすてきな景色に見せていただきました。ファンの皆さんがペンライトを振って喜んでくださっている顔を見てすごくうれしかったですし、『あっ、私が求めているのはこれだな』と思いました。アイドルになってたくさんの人に笑顔と勇気を届けたいなと思ってやってきたので、その目標に少しでも近づいていきたいです」

 アイドル活動の傍ら、学業もおろそかにすることなく努力を続け、今年3月には日本の大学を卒業した。9歳のころから勉強を続けてきた日本語はペラペラだ。

「日本語は好きで勉強していたんですけど、日本に来た時に全然しゃべれないと自分でも驚きました。日本でアイドルをやる上で、言葉はすごく大事。だから、もっと上達しようと決めて、3年間ずっと日本語の勉強を頑張っています。日本語能力試験のN2(N1~N5まで5つのレベルがあり、上から2番目の難しさ。日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)を達成できて、日本の大学にも入学することができました。アイドル活動をしながら大学に通うのは大変だったんですけど、日本語の勉強にも本当に役に立ちましたし、卒業できて本当にうれしいです」

 無数のアイドルがいる中で、ミマが考える自分の武器とは――。

「スペイン人アイドルは、日本では自分しかいないんじゃないかなと思うくらいレアだと思います。日本に来て、ほかにお見かけしたことはないです。いろんな言語を話せるからこそ、日本のすてきなアイドル文化を世界中に届けられると思っています。最近は歌とダンスをほめていただけることが増えたので、パフォーマンスにも注目してもらえるとうれしいです」

 アイドルとして見据える次なる夢も、スケールが大きい。

「日本に来てからずっと思っているのは、(NHK)紅白歌合戦に出たいです。今はまだ、遠い夢だとは思います。でも、スペイン人の私が日本でアイドル活動をすることも遠い夢だったので、それをかなえられたということは、紅白もあきらめない限り可能性はゼロじゃないはず。これからもっともっと成長していくところを、ファンの皆さんには見守っていただきたいです。日本で活躍するスペイン人アイドルのパイオニアとして認知してもらえるぐらいになれるように頑張ります!」

 スペイン人アイドル・ミマ。その名前が日本のアイドル界に轟く日もそう遠くはないかもしれない。

□MIMA(ミマ)2003年3月20日、スペイン・グラナダ出身。日本のアイドル文化に憧れ、19歳の時に単身で来日。モデル・アイドルとして活動し、今年3月に9人組アイドルグループ・Dolly Kissの新メンバーとなった。身長172センチ、8頭身の抜群スタイルと、独学で磨いた歌唱力とダンスで観る者を魅了。日本語も日本語能力試験(JLPT)N2レベルで、今春に日本の大学を卒業した。好きな食べ物はオムライス、いちご、チュロス。

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