「妻に不倫され子供を連れ去られた男の末路」 給与の手取り10万円に…“連れ去り問題”で賛否両論
養育費の差し押さえにより、給与の手取りが約10万円になった──。給与明細の画像を添えて、そんな現状を訴えた男性のSNS投稿が大きな反響を呼んでいる。妻の不貞行為が原因で離婚後、子どもと会えない状態が続いたことから養育費の支払いを止めたところ、給与の約半分が差し押さえられたという。投稿には同情的な反応が寄せられた一方、「養育費は子どものためのもの」「会えないことと支払い義務は別では」といった意見も集まり、賛否両論を呼んでいる。投稿者の男性に詳しく話を聞いた。

「これが妻に不倫され子供を連れ去られた男の末路だ」
養育費の差し押さえにより、給与の手取りが約10万円になった──。給与明細の画像を添えて、そんな現状を訴えた男性のSNS投稿が大きな反響を呼んでいる。妻の不貞行為が原因で離婚後、子どもと会えない状態が続いたことから養育費の支払いを止めたところ、給与の約半分が差し押さえられたという。投稿には同情的な反応が寄せられた一方、「養育費は子どものためのもの」「会えないことと支払い義務は別では」といった意見も集まり、賛否両論を呼んでいる。投稿者の男性に詳しく話を聞いた。
「養育費を差押えられ給料10万円に。これが妻に不倫され子供を連れ去られた男の末路だ」
投稿したのは、Xで「キナリパパ」(@kinahiropapa)の名前で発信している50代の男性。現在、人材系の会社に勤めて約10年になる。元妻は現在30代後半。15年前に結婚し、現在14歳の長女と8歳の長男がいる。結婚当時、キナリパパさんはアパレル会社で管理職を務めており、アルバイトだった元妻と知り合ったという。
キナリパパさんは、「子どもを連れ去られた」と訴える出来事が2度あったと話す。1度目は11年前。山口県にある自身の実家で、母親、元妻、娘と同居していた。当時、元妻と母親の折り合いが悪く、自身も仕事が多忙で家庭に十分向き合えなかったという。ある日、仕事に行っている間に、元妻が子どもと荷物を持って地元の大阪へ移った。
「心配になって警察に行きましたが、元妻はDVを訴えていたようで、住所は分かりませんでした。その後、弁護士から離婚したいという通知が届きました」
ただ、そのときは離婚には至らなかった。キナリパパさんは仕事を辞めて大阪へ移住。元妻から直接連絡があり、復縁した。その後、長男が誕生した。
2度目は2020年、コロナ禍の最中だった。妻の様子に違和感を抱き、当日の行動について妻と娘の話が食い違っていたことから問いただしたところ、不倫を認めたという。相手はSNSで知り合った男性だったと説明する。
不倫が発覚した当日、元妻は子どもたちを置いて実家に帰った。翌日の夜、警察から「妻とその親が話をしたがっているので、子どもを連れて警察署に来てほしい」と連絡があった。キナリパパさんが子どもを連れて警察へ行くと、身に覚えのない暴力について責められ、そのまま子どもを連れて行かれたという。
その後、キナリパパさんは不倫相手に対し、165万円の慰謝料を請求。不倫相手は裁判に出廷せず、慰謝料が確定したが、支払いはなかったという。強制執行を試みたものの、銀行口座に残高はほとんどなく、給与差し押さえもできなかった。相手は昨年、自己破産したという。
養育費の差し押さえで手取り10万円に
元妻とは3年前に調停離婚した。親権はキナリパパさん、監護権(親権の一部で、未成年の子を日常的に養育・教育し、一緒に生活して世話をする権利義務。原則は親権者が持つが、別々に指定することも可能)は元妻が持つ形になった。調停で決まった養育費は「子ども2人で月3万円」。面会交流は月1回3時間、連絡や引き渡しは元妻が行う約束だった。
しかし、実際には連絡や引き渡しは元妻の母親が担い、元妻からの連絡はなかったという。面会交流も数回は行われたが、キナリパパさんは「子どもたちに、自分が暴力を振るったと信じ込まされているように感じた」と振り返る。
「子どもから『パパがママを殴った』と泣き叫ばれ、まともに面会交流はできませんでした。子どもの連絡先は教えてもらいましたが、返信はほとんどなく、元妻からも連絡がない。そのまま2年くらい会えない状況になりました。そのような状態が続いたため、こちらも養育費を払うのを止めました」
もちろん、養育費は子どもの生活を支えるための費用であり、親同士の対立と切り離して考えるべきものだ。一方で、キナリパパさんにとっては「親権を持ちながら、親として子どもに関われない」ことへの疑問の思いもあった。
養育費の支払いをやめた後、給与の差し押さえを知ったのは、会社の人事から連絡を受けた時だった。
「本来であれば、まず元妻から連絡があって、こちらが支払いに応じるという形が普通だと思っていました。いきなり裁判所から通知があり、差し押さえになりました。会社に知られるので、嫌がらせなのかとも思いました」
各種控除後の給与は約21万円。そこから養育費を差し押さえられ、最終的な振込額は10万1861円だったという。キナリパパさんは以前から、いわゆる「実子連れ去り」問題についてYouTubeなどで発信しており、会社の同僚も事情を知っていた。そのため「恥ずかしいとは思わなかった」が、会社には「迷惑をかけて申し訳ない」と伝えたという。
面会交流が履行されていないとして、慰謝料請求を考える余地もあった。ただ、現在はそうした対応を取るつもりはないと口にする。
「もうこのようなことには関わりたくないという思いもあります。慰謝料を取っても子どもには嫌われるだけかもしれないし、お金を取ることで子どもの生活にも影響する。今のところ、何かをする予定はありません」
「一番苦しんでいるのは子どもたち」共同親権への思い
今回の投稿が大きく拡散されたことについては、「正直、ここまでバズるとは予想していませんでした」と話す。
「この問題を一人でも多くの人に知ってもらいたいと思って発信しているので、ここまで広がったことに達成感はあります。何年もこの問題に取り組んできましたが、自ら命を絶った別居親、子どもに会えないまま亡くなった祖父母の話も聞いてきました」
キナリパパさんが強調するのは、いわゆる「連れ去り」問題で最も苦しむのは子ども自身という点だ。
「いきなり知らない土地に引っ越して、親だけでなく祖父母や友達とも会えなくなる。寂しい思いをするのは子どもたちです。離婚しても、子どもにとって親であることは変わりません。養育費を止めていた私が言うのも変ですが、離婚しても、どちらの親も責任を持って育てていくべきだと思います」
一方で、子どもを連れて別居する側にも、それぞれの事情がある。DVや精神的な支配、子どもの安全を守るために距離を置かざるを得ないケースもある。外からは分かりにくい家庭内の事情があり、一方の言い分だけで「連れ去り」と断定されることがないよう、慎重さも求められる。
2026年4月には、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」を選択可能にする改正民法が施行された。ただ、キナリパパさんは、現在の制度だけで問題が解決するとは考えていない。
「共同親権は、問題のない元夫婦にとってはいい制度かもしれません。ただ、私のように元配偶者とコミュニケーションを取れない親は、制度が施行されても何も変わらない。何より、親権を持っている私が子どもと会えていないのですから」
養育費は、子どもの生活を守るために欠かせない。一方で、親子が会い、関わり続ける機会もまた、子どもの成長にとって重要な意味を持つ。離婚後の親の責任と権利をどう両立させ、子どもの利益をどう守るのか。キナリパパさんの投稿が拡散された背景には、離婚後の家族関係を巡る、外からは見えにくい葛藤がある。
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