「なんだこれ?」“ド派手クラウン”から伸びる箱状の物体…意外な正体に「無知な自分が恥ずかしい」

2台分の駐車スペースの真ん中に止められた1台のクラウン。車体上部からは、運転席側に何やら大きな箱状の物体が伸びている。車いす当時者が投稿した、車いす専用の収納装置「オートボックス」の写真が、ネット上で大きな話題を呼んでいる。SNSでは「こんなものがあるなんて知らなかった」「とても勉強になりました」と反響が続々。車いすへの理解を深める投稿に、共感の声が寄せられている。

2台分の駐車スペースの真ん中に止められたクラウン【写真:hiroto(@hiro41821)さん提供】
2台分の駐車スペースの真ん中に止められたクラウン【写真:hiroto(@hiro41821)さん提供】

車体上部に車いすを収納するための専用装置「オートボックス」の写真を投稿

 2台分の駐車スペースの真ん中に止められた1台のクラウン。車体上部からは、運転席側に何やら大きな箱状の物体が伸びている。車いす当時者が投稿した、車いす専用の収納装置「オートボックス」の写真が、ネット上で大きな話題を呼んでいる。SNSでは「こんなものがあるなんて知らなかった」「とても勉強になりました」と反響が続々。車いすへの理解を深める投稿に、共感の声が寄せられている。

「優先駐車場停められてる時は2台分使用します。許して」

 今月中旬、「#クラウン」「#toyota」 などのハッシュタグとともに投稿された1枚の写真。駐車場の一角、2台分の駐車スペースに真ん中に、白線をまたぐような形で艶やかに黒光りした新型クラウンセダンが止められている。車高は低く、運転席側のルーフから大きな箱状の物体が伸びている。「オートボックス」と呼ばれる、車体上部に車いすを収納するための専用装置だ。

 投稿は拡散。ネット上では「一瞬、ガルウィングに改造したアホが2台分使ってますって、投稿かと思ってしまった。申し訳ない」「一瞬なんだこれ?と思ってしまいましたが、恥ずかしながらとても勉強になりました」「一瞬でもイキった駐車ヘタクソだーとか考えてしまった無知な自分が恥ずかしい」「この箱に車椅子が収納されてるなんて…初めて知りました。また一つ勉強になりました」「2台分だ? 全く、ふざけやがって こんなん許すに決まってんだろ」「この投稿からこれはなんだろうと調べてる人が生まれてる。知らない人が新たに理解を深めるすごくいい投稿だなァ」など、オートボックスを初めて知ったという声や、迷惑駐車との思い込みを省みる内容の声が相次いでいる。

 投稿者は28歳の男性で、21歳で頸髄損傷の大けがを負い、車いす生活となったhiroto(@hiro41821)さん。車いじりが好きな父の影響で、幼少期から整備を手伝ったり、いろいろなところへ連れていってもらううち、自身も自然と車好きに育ったという。18歳での免許取得後、最初にハンドルを握った愛車はクラウンマジェスタ。しかし、それからわずか3年後、hirotoさんを予期せぬ悪夢が襲う。

「社員旅行で訪れたグアムで、プールに飛び込んだ際に首を骨折したんです。頭を打ちつけた瞬間は痛みはありませんでしたが、一瞬で体が動かなくなり、友人にプールから引き上げてもらいました。救急隊を待つ間は意識がありましたが、到着してすぐに気を失い、目が覚めたときには人工呼吸器などたくさんの医療機器につながれていて、すぐには自分の状況を理解できませんでした」

 旅行先のグアムまで家族や日本の医療搬送チームが駆け付け、一般の旅客機で寝台のまま帰国した。父からは「歩けなくてもいい、車を運転できるようになれ」と言われ、2年ほど過酷なリハビリに専念。「心が折れそうになる日もありましたが、車を運転するという一心でなんとか耐えて、できるようになるまでサポートを受けながら続けました。そのかいあって、今では訪問看護などのサービスを頼りながらも1人暮らしができています」。父の言葉を信じ、自立した生活を取り戻すまでに回復した。

 事故の後は50系プリウス、220系クラウンと乗り継ぎ、去年の夏頃に新型クラウンを購入。「今の愛車は自分的にすごくしっくりくる見た目で、現代車の利便性、好みのカスタムに加えて、イカつめでありながら福祉車両という“違和感”がお気に入りのポイントです」。今回話題を呼んだオートボックスは50系プリウスを購入した際にもともと装着されていたもので、今の愛車まで移設しながら大切に使い続けているという。

「外出先で優先駐車場が空いていないときは、仕方なく2台分のスペースを確保して駐車しているのですが、何気なく自分の中でよい写真が撮れたので投稿したところ、想像以上の反響がありました。中には批判的なコメントもありましたが、大多数は応援の声で、『知れてよかった』『これは仕方ない』など温かいお声をいただき、正直にうれしかったです」とhirotoさん。続く投稿では「皆様からの温かいコメントや今回自分の至らなかった事を真摯に受け止めて自慢の福祉クラウン載せていきますので是非また見てください」と感謝の思いをつづっている。

 駐車場の優先スペースをめぐるトラブルは後を絶たず、ときには誤解や摩擦が生じることもある。当事者の何気ない投稿が、広く車いす利用者への理解を促した今回の投稿。自らの無知を素直に認め、また、誤解を招かないよう伝えていく、そんな温かい思いやりの輪が広がっている。

次のページへ (2/2) 【動画】ルーフに収納された車いす、オートボックスの操作動画
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