マキシマムザ亮君、コロナ禍で模索するホルモン独自の発信方法「腹ペコアワード」

ホルモンならではのオリジナリティー動画にこだわった【写真:浜野カズシ】
ホルモンならではのオリジナリティー動画にこだわった【写真:浜野カズシ】

動画を作るなら“子どもの頃の深夜番組のようなもの”

 という中で、自分たちがOKと思える選択肢の中でお客さんを喜ばせることができる方法がないか──と、考えて行き着いた結論が、「腹ペコアワード」だったそうだ。

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「化学工場とか研究室とかに、無菌の部屋があるみたいで。その部屋を借りてライブをしよう、無菌室だったらお客さん入れても平気だろうとか、いろいろ考えたんですけど。予算的に無理だったり、あと、みんな考えること一緒なのか、無菌室、いろんなアーティストがリサーチしていることがわかったりして。結局、誰もやってないんですけど。

 だからそれも難しいっていう時に、僕的には、できることはやっぱり映像かなあと。ただ、コロナ禍以降、いろんなバンドマンがYouTuber化していて。芸人さんも、地上波のバラエティーの人たちが、どんどんYouTubeに来てるじゃないですか。

 でも、そういうコンテンツを見ても、正直、弱いと思って。みんなYouTubeをしたがるんですよね。使ってる字のフォントとか、編集とか、効果音の入れ方とかを、人気のYouTuberに寄せようとしてる。それもイヤで。動画を作るなら、自分が子どもの頃に見ていた地上波の深夜番組のようなものにしたいっていうか。

 それで、『タモリ倶楽部』みたいなゆるいノリで、お客さんと何かやりたいなと思って。自粛期間でずっと家にいる間に、ホルモンのファンの人たち、ファン・アートで戦ってほしいなっていう。それで開催したんですけど」

 その「腹ペコアワード」で紹介された数々のファンアート作品は、あらゆる意味で衝撃的だった。

 似顔絵やイラストや漫画、ドローイングや動画や刺しゅう、フィギュアや紙粘土等の立体作品、CG彫刻、3D造形、テレビゲーム、星野源「うちで踊ろう」のホルモン風カバー……というあたりまでは、まだ分かる。

 しかし、「拝啓VAP殿」に自分なりの訳詞を付けて大量に描いたイラストと一緒にミュージックビデオ化、漫才(プロ。吉本所属の『囲碁将棋』)、ライブハウス、革ジャン、ダイエット、タトゥー、キャッスル、庭……このあたりになると、こうして羅列したところで意味不明だろうが、とにかくそんなような「このテーマからこんな発想が!?」と、あぜんとさせられる作品だらけだったのだ。

 そしてまた、その作品を作っていく様子をカメラで追って編集して動画にする、つまり制作過程自体が作品になっているものもいくつもあって、そこに注がれたとてつもない時間と労力にも、その動画自体の出来栄えにも、また、あぜんとさせられるのだった。

 今の普通の人たちって、こんなにクリエーティブなのか! パソコンがあれば動画でも音楽でも誰でも作れる時代だが、そのツールを駆使する能力と、そのツールを駆使しておもしろい作品を作る能力は、イコールではない。が、「アワード」で紹介された作品の多くが、イコールになっているというのは、驚異的なことだと思う。

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