大倉忠義、成田凌との“愛のシーン”で行定監督をうならせた「的確にやり遂げる役者」

新作「窮鼠はチーズの夢を見る」を語った行定勲監督
新作「窮鼠はチーズの夢を見る」を語った行定勲監督

女性ファンにとって衝撃なベッドシーン

 ジャニーズ事務所に問い合わせしたところ、「断る理由はない」と早い段階で快諾。「僕が付き合ったジャニーズ事務所の俳優はまず、『NO』を言わない。返事は『はい』『分かりました』『やってみます』の3つ。でも、決して言いなりではなく、自分の意見も持っている。まず演技をやってもらってから、ちょっと足したり引いたりすることをお願いすると、ほぼ的確にやり遂げる。映画監督としては非常にやりやすい俳優でしたね」と振り返る。

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 女性ファンにとって、衝撃なのはベッドシーンだろう。「動きは、僕と助監督で全部決めました。実際はアクションシーンの演出みたいな感じですね。男同士だから、女優より踏み込んで、演出できる。撮影の合間、2人は楽しそうに笑っていました」と行定監督。

 かなり激しいシーンに仕上がっているが、映倫の指定はR15(15歳未満入場禁止)。「打ち上げの時に、これがR18だったら、映倫に怒鳴り込むと宣言したんですが……(笑)。男同士のまぐわいを男女と同じように審査してもらえた。高校生たちにも見てもらえるのがうれしいですね」

 行定監督が大倉の演技で印象に残っているのは、今ヶ瀬と別れを決めた恭一が一人、ゲイクラブに出かけ、涙を流す終盤のシーンだ。「脚本には、なぜ出向いたのか理由は書いていない。これは監督や役者を試す場面だと思ったんです。(大倉に)理由は『分かる?』と聞いたら、『分からない』と。でも、やってもらったら、しゃくりあげるような、ある感情が伴わないとできないような泣き顔だったんです。脚本には“感情を爆発させて、クラブを出た後に走る”と書いてあったけども、大倉は本人の不注意で右足の骨を折ってしまい、それができなかった。人って、こんな声が出せるんだと思えるような声で申し訳なさそうに謝られて、歩いているシーンを撮った。編集中にそのシーンを見たら、ものすごくよかった」。

 昨今、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア・クエスチョニングの略)をモチーフにした映画、ドラマは増えているが、大倉にとっても、代表作になっただろう。映画は、2人の男の物語にシンプルに集約し、その演技だけで魅了しているのだ。

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