芸能人の熱愛報道、なぜ歓迎できない? バッシングが起きるカラクリに気づく

不朽の名作恋愛漫画「I”s」【画像:(C)桂正和/集英社】
不朽の名作恋愛漫画「I”s」【画像:(C)桂正和/集英社】

「I”s」は芸能人との恋愛における“バイブル”になり得る

「I”s」とは桂正和の漫画作品である。男子高校生の主人公・瀬戸一貴(せと・いちたか)が同級生の葦月伊織(よしづき・いおり)に一目惚れし、お互い両思いにもかかわらず何度も何度もすれ違うが、紆余曲折を経て最終的には結ばれる、という恋愛物語だ。筆者の青春のバイブルである。

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 この作品の中で注目すべきは、伊織が“芸能活動をしている”という点だ。伊織は演劇が好きで、役者になることを志して演劇部の活動に熱心に打ち込む。雑誌のグラビアに取り上げられたことで注目され、学校内にファンクラブができるほどの人気者となる。

 しかし、人気が出て有名になるにつれ、心ないファンや暴漢に狙われることになってしまい幾度も危機が訪れる。そんな危機を不器用ながらもことごとく救ったのが、ほかならぬ一貴である。

 ついに2人はお互いの本心を知り付き合うことになるが、高校卒業後に伊織が芸能事務所に所属し本格的に芸能活動を始めると、新たな困難に直面するのだ。

 片や一般人、片や芸能人――。住む世界が違うことに悩む一貴は、伊織のマネジャーからの理不尽な離別要請や、伊織の同僚劇団員との熱愛疑惑スクープなどでとことん追い詰められていく。しかし、それでも一貴は――。

「I”s」を読めば、一貴を応援せずにはいられなくなるのである。筆者も当時、一貴に感情移入して夢中で応援した。そして同時に、伊織の感情にも寄り添うようになった。伊織は伊織で必死に我慢し、事務所からの抑圧に耐えて自分の夢のために懸命に歯を食いしばるのだ。すると次第に、その“夢”のあり方が変化する――。

次のページへ (3/5) 熱愛の相手はその人にとっての“一貴”
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