歌謡曲からジャニーズまでヒット曲の秘密は「思い付き」68歳編曲家・船山基紀の流儀

イントロについても語った船山基紀氏
イントロについても語った船山基紀氏

イントロをつくった人が「勝ち」の日本の音楽界 ヒット誕生の秘訣は「予習」

 名フレーズや極上のイントロを考え付く時のことに及んだ。一般的には「降りてきた」とも表現される。しかし、船山氏は「僕もよくそう言われるんだけど、たまたま思い付いたというだけ」という。

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 及川氏は世界的に有名な「残酷な天使のテーゼ」について、「よく『降りてきた』と言われ、『なぜ』と聞かれるんです。これはなんとなく思い付いちゃった」と明かす。「2時間ぐらいでつくった。あれは企画書があって、高橋洋子が歌うと分かっていたから、年上の女、お母さんが少年を見るというイメージ。少年とは何だろうと思ったの。そこにたまたま『残酷な神が支配する』という本(漫画)があった。そこから少年ってなんだろう、天使かなという感じ」と、秘話を披露した。

 日常の経験や刺激から思い付くアイデアの具現化。及川氏は「最近は予習をする。明日やるよという前の晩に楽曲を3回聴いて感じたことをメモっておく。あくまで下ごしらえだけ」と話す。同調した船山氏は「アレンジをする日の前の晩、寝る直前にフレーズが出てくるのでそれを書き留める。次の日に起きて、『これはなんだ』と思う時と、『これいいじゃん』と思う時がある。いわゆる予習。そうすると心配しないでよく眠れる」と、ヒットを生み出すルーティーンを明かした。

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「イントロからつくらないと先に進まない」と公言する船山氏。心をつかむイントロの名人というイメージがあるが、意外な論考を示した。まず、「70、80、90年代もそうだったけど、売れる曲のパターンはそんなにバリエーションがない。どう差別化するかが編曲家の仕事」と強調。

 そのうえで、「世界的に見ても、日本の歌謡曲の作りは特殊。イントロというのは普通、歌がスムーズに入れるようにつくる。でも、(自身が編曲を担当した少年隊の)『仮面舞踏会』には、とんでもないイントロが出てくる。日本の場合は特殊なイントロをつくった人が勝ちみたいなところがある。世界ではあまりない。日本で独自の発展を遂げた」と解説した。及川氏は「イントロクイズをやっている国はあまりないですよ」と呼応した。

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