「ここまで伸ばしたことはない」無精ひげに挑戦 破天荒僧侶役の市原隼人の新境地

風太郎が悩める現代人に「喝」を入れていくストーリーだ  (C)本宮ひろ志/集英社 (C)2019 株式会社浜友商事
風太郎が悩める現代人に「喝」を入れていくストーリーだ  (C)本宮ひろ志/集英社 (C)2019 株式会社浜友商事

32歳で「ゼロ」に戻る アクション映画や「多重人格」役への意欲

――32歳。ご自身の現在地をどのように考えていますか。

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「30歳を超えて、また自分がどんどん分からなくなっていく感覚があります。今まで作ってきたものが全部壊れていくような。若い頃は、こういう服が好き、こういう音楽が好き、こうやって生きたい、というライフスタイルが固まっていました。それが時間が経るにつれて、もう一度ゼロに戻っていく。そんな気がしています。もちろん、年齢を重ねることで物事をより俯瞰で見ることができるようになりました。今まで線だったものが、円の中心に立って360度を見渡せるような。これからいろいろなことに挑戦してみたいです」

――幅広い役柄をこなしてきましたが、「役者・市原隼人」の今後は。やってみたい役はありますか。

「昔から思っているのが、『多重人格』です。人というのはそれぞれのシーンで見せる面が違って、家にいても職場にいても全部違う自分がいる。実際の自分はどこにあるんだろう、結局、すべての人は何かを演じているのではないかと、いろいろなことを考えてきました。見せていい姿、見せてはならない姿。映画というものはその2つで成り立っていますが、見せてはならない姿がよりあふれ出るような、ある意味人間臭い作品をイメージしています。そういう役柄をやってみたいという思いがずっとあります」

――ジャンルについてはいかがですか。

「アクションです。いまの時代は、アクション映画がどんどん少なくなっていると思います。僕はブルース・リーもジャッキー・チェンも大好きです。映画には、感じたことのない世界を感じられるという魅力があります。見たことのない世界を見にいける。まさにアクション映画がそうです。もともと体力がある方なので、しっかり体も使って。お客様に楽しんでいただけるアクション映画をやりたいです」

――近年は写真家としても活動しています。写真の魅力はなんですか。それに、写真を撮ることと演技の共通点や異なる点はありますか。

「役者というのはリアルを追いかけるものであって、すべて虚像なんです。動画というのは答えが全部出てしまう。写真というのは、前後のことを想像で膨らませる力を持っています。1枚の写真が目の前にあったとして、撮影する前はもしかしたらこうだったかもしれない、撮影したあとはこうなるのかもしれない。この時代はこんなことがあって、こんな空気で、こんな温度だったのかもしれない……と、想像力を膨らますことができます。見る側の人生観や価値観を含めての作品なのです。人の気持ちを動かすことができて、ひとりひとりに全然違う作品を届けられるものなのだと実感しています。僕にとって、時間を止める魔法を使えるような感覚でもあります」

――写真家としての今後をどう考えていますか。

「どんどん撮っていきたいです。それが商業であるのか、アートであるのか、自分自身のためなのか、いろいろなやり方があると思います。これはこう撮れるのかなといろいろな構成を考えてやるのは楽しいです。子供が積み木を重ねるような気分で。撮りたいと思って気が付いたら、積み木を積んでいる感覚。夢中になってしまいます」

市原は常に挑戦心を持ち続けている。ヘアメイク:大森裕行(VANITES) スタイリスト:小野和美(Post Foundation)  衣裳協力wjk 【写真:山口比佐夫】
市原は常に挑戦心を持ち続けている。ヘアメイク:大森裕行(VANITES) スタイリスト:小野和美(Post Foundation) 衣裳協力wjk 【写真:山口比佐夫】

「ただただ現場で死にたい」 役者としての本望

――令和の新時代に入って、自身をどう進化させていきますか。

「どうなっていくのか、まったく予想もできません。ただただ現場で死にたい」

――役者人生の本望という思いでしょうか。

「そう思うことができるまでの挑戦をさせていただける作品に出会いたいです。いろいろな兼ね合いもあって、挑戦することがどんどん難しくなっている時代じゃないですか。そこは悲しいところでもあります。いろいろなものに挑戦して、もっと自分の感情を壊していきたい。そんな思いがあります」

――これから映画を観る人へメッセージを。どんな人に観てもらいたいですか。

「この映画は、一生ずっと身に付くような、役に立つ名言がたくさん登場します。かといって堅苦しいわけでもなく、風太郎が右往左往しながらちょっと違う風を吹かせていく。娯楽・エンターテインメントにも当てはまる作品です。10代の方には風変わりな風太郎を茶化すような感覚でも劇場に足を運んでいただければ。ご年配の方でもより深く考えることで楽しんでいただける作品でもあります。この先どうしたらいいのか分からないと迷っている方でも、必ずメッセージをお渡しできる作品です。何かを求めに劇場にいらしていただけたら幸いです」

□市原隼人(いちはら・はやと)1987年2月6日、神奈川県生まれ。2001年、「リリイ・シュシュのすべて」で映画主演デビュー。ドラマ「ROOKIES」(08年)、映画「ROOKIES―卒業―」(09年)などに出演し、映画・ドラマ・舞台で幅広く活躍をみせる。最近では、映画「3人の信長」(公開中)、オムニバス映画「桜咲く頃に君と」(10月25日公開)、ドラマ「おいしい給食」が放送スタート。最新主演作「喝風太郎!!」は11月1日にTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。

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