“巨匠”大林監督の遺作「海辺の映画館」がついに公開 各界からコメント続々

今年4月に逝去した大林宣彦監督の遺作となった映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱」が、31日に公開される。公開にあたり、大林監督の思いを受けた作り手たちからコメントが届いた。

遺作が31日に公開する大林宣彦監督【写真:(C)2020「海辺の映画館―キネマの玉手箱」製作委員会/PSC】
遺作が31日に公開する大林宣彦監督【写真:(C)2020「海辺の映画館―キネマの玉手箱」製作委員会/PSC】

大林監督の遺作「海辺の映画館-キネマの玉手箱」が31日に公開

 今年4月に逝去した大林宣彦監督の遺作となった映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱」が、31日に公開される。公開にあたり、大林監督の思いを受けた作り手たちからコメントが届いた。

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 本作は大林監督の劇場公開映画44作目。戦争映画のオールナイト上映をしていた海辺の映画館で、突然スクリーンの世界にタイムリープしてしまった若者3人が戦争の歴史を辿っていくファンタジードラマ。20年振りに“尾道”で撮影され、無声映画、トーキー(発声映画)、アクション、ミュージカルとさまざまな映画表現で展開していくエネルギーにあふれた作品となっている。

 寄せられたコメントは以下の通り。

〇井口昇(映画監督)
「始まった瞬間から傑作の予感と鳥肌が立ち、それが1秒も変わらず3時間続く映画体験は生涯初めてでした。余命を宣告された監督が撮ったと信じられない、この凄まじいパワーと若々しさは何なのだろう。あらゆる感想も、『大傑作!』という賞賛さえ陳腐に感じるほど、大林宣彦監督の細胞から暴れ出た映画的才気と創作の執念と戦争への怒りの凄絶さに、ただただ打ちのめされました。
 大林宣彦監督は亡くなったのではない。この映画そのものになって、辛い現実と立ち向かう現在の観客の心にスクリーンから光を与えてくださるのだと僕は本気で思います。だからこそ、今こそ、映画舘で大林監督に逢いにいこう!!」

〇岩井俊二
「まるで大林宣彦監督の脳内を直接見ているような表現世界。それはどこか昨日見た夢のようでもあり、明日見るかも知れない夢のようでもあり。この“ひとつの映画”がこの現世をどう照らすだろう」

〇羽海野チカ(漫画家)
「繰り返される時間たちが 岩だらけの入江の 蒼い海の底に沈んだ カラフルなブリキの宝石箱のよう もっと思い切り生きていいんだよと 宝石箱たちが一斉に喋り出したような気がして 映画の中に吸い込まれました」

〇笠井信輔(フリーアナウンサー)
「映像作家を刺激する自由で大胆な映像構成、リフレインと挿入の魔術師といった大林監督の晩年の輝きはいっそう増している。なんといっても物語が分かりやすく、ぜひとも若い人たちに驚いてもらいたい」

〇角川春樹(角川春樹事務所代表取締役社長・俳人・映画監督)
「彼こそがキネマの玉手箱。青春映画から反戦映画まで何が飛び出すかわからない。最後まで映画監督として生き切った大林宣彦監督の幸せな人生がうらやましくもある」

〇園子温(映画監督)
「映画史に残る最高傑作かつ最高遺作だ」

〇樋口尚文(映画評論家・映画監督)
「反戦と放蕩、近代史と極私的記憶、真摯なるメッセージと豊饒なる映画の詩。あらゆるものがアナーキーな自由さのもとで結い合わされ、沸騰する奇想の大河。これは大林監督一世一代のウソとマコトの饗宴!」

〇町山智浩(映画評論家)
「『今、これを言っておかなければ!』という切迫感と共に時代への怒りと映画への愛が怒涛のごとく奔出する!」

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