田辺誠一、惚れ直した役者・吉川晃司を語る「愛され兄貴」「重心が取れていて美しい」

田辺誠一は自身の目標も熱く語った【写真:舛元清香】
田辺誠一は自身の目標も熱く語った【写真:舛元清香】

「映画というのはずっとあります。夢というか現実的な目標です」

――田辺さん自身も改めて、演じるということを見つめ直したということですね。

「物語というものはつまりは虚構です。しかし、演じる人の心に嘘があると、わけがわからないものになってしまう。だから、演じる人が疑問なく、きちんと理解をしたうえで演じるからこそ、『本当の作り話』として楽しめるものになるのです。僕ら役者の気持ちが本物じゃないと、物語は成立しません。これが、歴史上の人物を演じる場合は、この人は当時こういう選択をしたのだなというところで、自分と考えが違ってもそこに寄せていけます。今回の、吉川さんの役に対する姿勢、ドラマ自体をよくあるサスペンスにしたくない、新しいものにしたいという思い。座長の言葉の端々からキャッチしながらやっていました。撮影が終わってホテルに戻って芝居のことをずっと考えて……。それに、東映京都撮影所のスタッフは長年、時代劇や刑事ものをたくさんやっているだけに、ものすごい技術力がありますし、そういった意味で役者として恵まれている現場でした」

――視聴者に、新しい探偵像を見せることができそうですね。

「横溝正史の世界観を、携帯電話もインターネットもある現代に置き換えて、古都・京都を舞台に物語が繰り広げられます。そこに、吉川さんがどーんと真ん中に立っている。吉川さんは、やっぱり絵になるんですよ。重心が取れていて美しい。しゃがんで証拠を見る動作一つにしても、立ち振る舞いが美しいんです。グレーヘアにも雰囲気があって。新しい探偵像を描けていると思っています」

――田辺さんは、俳優・ナレーターなど幅広いジャンルで活躍されています。今後の目標はありますか?

「ずっと映画を撮りたいという思いを持っているので、脚本と言うかアイデアを常に考えています。どのようなテーマを自分が今の時代に描くのかというところです。伊丹十三監督は50歳を過ぎて映画監督を始めて、初監督作品の『お葬式』で大成功を収めているんです。50歳からでも、まったく新しい人生が始まることもあると思うので、僕は51歳になりましたが、映画というのはずっとあります。夢というか、現実的な目標です」

□田辺誠一(たなべ・せいいち)1969年4月3日生まれ、東京都出身。モデルとして活動を始め、92年に俳優デビュー。数多くのドラマや映画、舞台で活躍を続けている。映画監督としての顔を持ち、99年に初監督作品「DOG-FOOD」、2003年に監督作「ライフ・イズ・ジャーニー」が公開。独特なイラストを描くことから“田辺画伯”とも呼ばれている。

「探偵・由利麟太郎」 2020年6月16日スタート 5週連続特別ドラマ 毎週火曜午後9時~9時54分(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)

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