モモコクラブ出身・姫乃樹リカが米国でマッサージ師に転身 元なでしこジャパンの澤穂希さんも担当

西村知美、酒井法子、畠田理恵らを輩出したTBS系『モモコクラブ』のメンバーとして活躍した元アイドルの姫乃樹リカが昨年、約28年ぶりのマキシシングル『MAGIC』をリリースした。1988年、デビューシングル『硝子のキッス』(アニメ映画『めぞん一刻 完結篇』の主題歌)で人気に。その後、改名、渡米、結婚をして、現在は3人の子どもと2人の孫がいる。今月27日と29日にはライブを開催。その前に自身の半生を語った。

姫乃樹リカが波乱万丈の半生を振り返った【写真:舛元清香】
姫乃樹リカが波乱万丈の半生を振り返った【写真:舛元清香】

28年ぶりに歌手活動 52歳の姫乃樹リカは2人の孫のおばあちゃん

 西村知美、酒井法子、畠田理恵らを輩出したTBS系『モモコクラブ』のメンバーとして活躍した元アイドルの姫乃樹リカが昨年、約28年ぶりのマキシシングル『MAGIC』をリリースした。1988年、デビューシングル『硝子のキッス』(アニメ映画『めぞん一刻 完結篇』の主題歌)で人気に。その後、改名、渡米、結婚をして、現在は3人の子どもと2人の孫がいる。今月27日と29日にはライブを開催。その前に自身の半生を語った。(取材・構成=福嶋剛)

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 私は演歌好きの母と歌謡曲好きの父との間に生まれました。3人姉弟の長女です。父が電気機器関連の会社で働いていたので、家には業務用のカラオケ機器があり、いつも歌を楽しんでしました。小学生の頃の楽しみは日本テレビ系『スター誕生』でした。「私もアイドルになりたい」と思っていたのですが、番組は終わってしまいました。すぐに他のオーディションを探し、テレビ東京系『東西対抗ちびっ子歌合戦』に出場することができました。

 その番組がきっかけで事務所にスカウトされてレッスンに通いながらチャンスを待っていました。そんな時、アイドル雑誌『Momoco』(学研刊)で、モモコクラブの新人発掘のコーナーに私の写真が取り上げられました。そこで人気投票の1位になったことで、TBS系『モモコクラブ』のレギュラー出演が決まりました。

 モモコクラブには酒井法子さん、西村知美さん、畠田理恵さん、杉浦幸さん、島田奈美さん、伊藤美紀さんといったすごいメンバーが多くいたので、私も「早くデビューしてちゃんと歌えるアイドルになりたい」と思っていました。そして、番組の中の1人で歌うコーナーで荻野目洋子さんの『Dance Beatは夜明けまで』を歌いました。それを音楽プロデューサーの川瀬泰雄さんが見てくださり、ファーストシングル『硝子のキッス』でレコードデビューすることが決まりました。

 川瀬さんは和田アキ子さん、山口百恵さん、井上陽水さんなどのプロデュースを手掛けてきた方で、次は私を歌で売り出したいと考えてくださったそうです。私にとっては大きな夢が1つ叶い、忙しい毎日が始まりました。「明日はどこで何をするんだろう?」と分からないくらいのスケジュールで、学園祭に出演することも多く、小さい頃に住んでいた街にキャンペーンに行ったりもしました。たくさんのファンが待ち構えている駅で、「若い人に混じってお年寄りのファンまで来てくれた」と思ったら私の祖母だったということもありました(笑)。実家に帰る暇がなかったので、もぎたてのトマトを家から持ってきてくれたんです。あの頃は「私は今、アイドルを楽しんでいる」と感じていました。

 ファンクラブも開設して会報誌を作っていたことも良い思い出です。「今度はどんな企画をやろう」とスタッフさんと一緒に考えるのが楽しみでした。初めて釣りを体験して番組に出演したり、魚のさばき方も覚えたり、13歳から20歳までの芸能活動は私の人生学校でもありました。

 アイドル時代を経て、レコード会社を移籍したタイミングで姫乃樹リカから西邑理香(にしむら・りか)に名前を変えました。時代はバンドブームに移り、私も本格的な歌手へとステップアップしていく中で、川瀬さんが「アイドル色が出ないように」と提案してくださり、本名(西村理香)に近い名前にしました。心機一転のリスタートでした。今になって名前の大切さを感じますが、当時は自分が前を向くことで精いっぱいで改名は私も大賛成でした。

 以降、メディアに登場する機会は減りましたが、私は「大好きな歌をもっと極めたい」とやる気に満ちていたので作詞作曲にも挑戦しました。川瀬さんは、メンバー2人を加えて「西邑理香 with COMING SOON!」というバンドを結成。ステージで歌いました。あの頃はシンガーとしての充実感がありました。

 歌っていくうちに英語の歌にも挑戦していき、「もっと、これを上手に歌いたい」と思うようになりました。そして、「アメリカで英語を学んでみよう」と考え、知っているベーシストの妹さんの家でアメリカ生活を始めました。川瀬さんは「1年くらいで戻ってくるだろう」と思っていたようですが、私が日本に戻ってきたのは28年後でした(笑)。

「芸能界で学んだこと全てが今の生活につながっています」【写真:舛元清香】
「芸能界で学んだこと全てが今の生活につながっています」【写真:舛元清香】

子育て中に子宮を全摘出 大きな転機に

 1995年には、そのベーシストのデイヴ・クリッガーと結婚。3人の子どもに恵まれました。当時は子育てとアメリカでの生活に全力投球で必死でした。そして、私の母親の存在を意識するようになりました。若い頃から私に厳しい人で、「芸能人かぶれして自分で何ひとつできないようじゃダメ」と言われ続けていました。なのでグリーンカードも誰にも頼まず自分で取得しました。

 その頃は日本からの取材が来てもお断りしていました。アメリカでの生活は主人や親戚との言葉のギャップ、風習の壁を乗り越えるのが大変でした。いつも辞書を持ち歩き、毎日、子どもを学校まで送り迎えして、先生やママ友にいろんな話を聞きながら一つ一つ覚えていきました。

 そして、一番下の子が幼稚園の年長さんになって、子育ても少し落ち着いたと思ったら、今度は私が子宮の病気になってしまい全摘出しました。まさに大きな転機で、自分の体を知るためにマッサージ師の資格を取得することにしました。専門用語を覚えていく毎日でしたが、無事に取得。そのおかげで素敵なご縁にも恵まれました。女子サッカー元日本代表(なでしこジャパン)の澤穂希さんです。彼女がアメリカのプロチームに移籍してきたので、地元の人たちと応援していたらご本人と仲良くなり、澤さんのマッサージを担当することにもなりました。澤さんが出産してからは、「ママ友」の関係。今でも帰国してお会いするのが楽しみです。

 3人の子どもは成長しました。長女はスポーツエアロビクスのアメリカ代表に選ばれたことがあります。2番目の長男は、体操をやっていて大学生だった2020年に、アメリカ代表のオリンピック候補に選ばれました。ただ、コロナ禍で大会が1年延期になってしまい、就職先も決まっていたので本人はあきらめたそうです。3番目の次女は、パフォーマーとして去年までNBAのマイアミヒートのダンサーを務めていました。今は有名アーティストのバックダンサーとして活動しながら、世界を回っています。長女には5歳と3歳の子供がいて、私はおばあちゃんになりました。グランマでも良いのですが、「日本語で『おばあちゃん』って呼んで!」と言っています。すると、孫は「ばあちゃ~ん」と言って走ってくるようになりました。私はうれしくて、「キャー!」って言ってしまいます(笑)。

 2019年、川瀬さんに「また歌ってみないか」と誘われました。日本に戻ってこない私をずっと待っていてくれたのです。私は全く歌っていなかったので、「ゲストだったら」と思っていたら、私のワンマンライブを企画されていました(笑)。それから2か月間、私はキッチンでも練習しました。久しぶりのライブのステージはアドレナリンだけで歌い切った感じです。でも、当時のバンドメンバーがみんな元気に活動していて、「こんな奇跡はもう2度とない」と思い、「これからも歌いたい」と思うようになりました。名前も姫乃樹リカに戻して、「姫乃樹リカ&THE COMING SOON!」というバンド名義で昨年2022年9月にCD『MAGIC』、今年9月に第2弾CD『Love Song~僕たちの歌』を発売しました。

 再び歌うことは想定外でしたが、私がファンのみなさんの思い出の一部になっていることに気が付きました。感謝しかありませんし、10代だった自分には「あの時、真面目に頑張ってくれてありがとう」と声を掛けてあげたいです。子どもたちも、私が歌手だったことを詳しく知らなかったのですが、ステージ上の私を見て「ママはシンガーだったんだ!」と驚いたそうです(笑)。今年は10月27日に渋谷エッグマン、29日に新横浜・NEW SIDE BEACHで2daysのライブを行います。今しかできない歌とライブを思い切り楽しみたいと思います。

□姫乃樹リカ(ひめのぎ・りか)1971年10月6日、大分県生まれ。86年、雑誌『Momoco』に初登場。同年10月からTBS系『モモコクラブ』に桃組出席番号1773番として、レギュラー出演を開始。88年、『硝子のキッス』(映画『めぞん一刻 完結篇』主題歌)で歌手デビュー。92年、西邑理香(にしむら りか)に改名し、バンド・西邑理香 with COMING SOON!を結成。語学留学のため渡米し、95年、ミュージシャンのデイヴ・クリッガーと結婚。夫の地元・バージニア州で生活をし、3人の子どもと2人の孫がいる。2019年、『姫乃樹リカ &THE COMING SOON!』として音楽活動を再開。

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