木梨憲武、61歳で新たな挑戦続けるワケ 異色のオーケストラは「今までにない面白さある」

とんねるずの木梨憲武が22日、山形・やまぎん県民ホールでオーケストラコンサート『木梨憲武 交響楽団 in 山形 THE CURTAIN CALL SHOW』を開催する。生配信も同時に行い、全国のファンに歌あり笑いありのステージでオーケストラの魅力を伝えるつもりだ。本番まで残りわずか。木梨にコンサートの見どころ、61歳の今も新たな挑戦を続ける理由を聞いた。

『木梨憲武 交響楽団 in 山形 THE CURTAIN CALL SHOW』を22日に開催する木梨憲武【写真:荒川祐史】
『木梨憲武 交響楽団 in 山形 THE CURTAIN CALL SHOW』を22日に開催する木梨憲武【写真:荒川祐史】

今月22日、オーケストラとのコラボで『木梨憲武 交響楽団』を開催

 とんねるずの木梨憲武が22日、山形・やまぎん県民ホールでオーケストラコンサート『木梨憲武 交響楽団 in 山形 THE CURTAIN CALL SHOW』を開催する。生配信も同時に行い、全国のファンに歌あり笑いありのステージでオーケストラの魅力を伝えるつもりだ。本番まで残りわずか。木梨にコンサートの見どころ、61歳の今も新たな挑戦を続ける理由を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

 木梨がオーケストラとタッグを組むのは2回目。日本を代表する指揮者の三ツ橋敬子氏と出会い、昨年、東京文化会館 大ホールで東京フィルハーモニー交響楽団とのコラボレーションを実現した。

「歌手のみなさんからよく『オーケストラと一緒のコンサートをやったよ』って話を聞いていたので、主催者から『どうですか?』って話をもらった時、『今度はそっちの世界に連れて行ってもらえるんだ』と思ったらうれしくて二つ返事でした。そこでお客さんとクラシックのみなさんたちでコメディー要素を入れたエンターテイメントをやらせてもらおうって思いました。クラッシックなんで歌詞とか歌がなくても成立する世界なんだけど、『歌っちゃおう』って(笑)。でも、いざリハーサルをやってみると結構大変でね」

 従来とは全く違うやり方。木梨は試行錯誤を重ねた。

「100人単位のオーケストラのみなさんと『せーの』でやるんでね。いつもみたいに『これやりたい!』と言って簡単にできるもんじゃないから。それで三橋さんとアレンジャーの直江香世子さんと何度も打合せをして譜面作ってもらって、今度はオーケストラのみなさんと細かい調整をしたり、まあ大変でしたけど、それが今までにない面白さがありました」

 本番では木梨ならではの演出に観客も大いに沸いた。

「最初に『クラシック、初めて見る人はどれくらいいる?』って聞いたら7割くらいのお客さんが手を挙げてね。それで三橋さんにオーケストラの説明をしてもらって、隣で『なるほどね』と頷きながら『じゃあ、歌いましょう』って(笑)。でも、バンドと違ってカウントがないからリハで何度も練習したんだけど、いざ本番になったら歌い始めが分からなくなってしまい、『ごめん! もう1回やらせて!』って。クラシックの世界ではあり得ないけど、1度演奏を止めて『こういう間違えもありだから』とお客さんに言って、今度は三橋さんにキューを出してもらったんです。そのあと、僕が指揮をしたんだけど、世界的な指揮者の三橋さんにジュディ・オングの『魅せられて』を歌ってもらいました(笑)。そんな風に笑いの要素も入れて、『僕と一緒の時間はみんなで遊ぼう』というものが作れたし、贅沢(ぜいたく)で心地の良い2時間でした」

 昨年はサプライズゲストで加藤茶が登場。ザ・ドリフターズ時代のギャグ「ちょっとだけよ」を披露したり、「ババン バ バンバンバン♪」でおなじみの『いい湯だな(ビバノン・ロック)』をオーケストラの演奏で歌い、会場を盛り上げた。

「たまたま数日前に加藤さんと飯に行って、『今度、100人のオーケストラとライブをやるから出て』って言ったら、『何だよ。それ』って言いながら出てくれたんです。それで後半の良いところで、ピンクのスポットライトを当ててもらい、フルオーケストラで『ちょっとだけよ~』ってやってもらって。今度は酔っぱいのドリフのコントをやってくれて、僕が加藤さんを缶のフタで思い切り引っぱたくという感じでね。お客さんだけじゃなくてオーケストラのみなさんもひっくり返って笑ってくれたんですよ。それを見てなんとなく、『楽しさが伝わったかな』と感じたんで、『これからも年に1回くらいやれたらいいな』って。そしたら、『次は山形でやりませんか?』と声を掛けていただいたんで喜んで2回目をやることになりました」

 今回は三ツ橋敬子氏とのタッグに加え、山形交響楽団との新たなコラボで楽しさを詰め込んだコンサートを考えたという。

「前回は全員マスクを付けて楽しんでもらったんだけど、今回は思い切りお客さんと一緒に盛り上がりたいと思っています。やっぱり、お客さん参加型が一番面白いに決まっているから。何ならステージに上がってもらってとかね(笑)。あと、今回はスペシャルゲストに〇〇が出てくれるんだけど……。あっ、言っちゃダメだって。さっきのところピー入れといて。実はまだ本人にも詳しく言ってないの(笑)。山形まで来れなくても配信があるから今回はどんな演出なのか、スペシャルゲストと僕がどう絡むのか、会場にいてもいなくても、小さい子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しめる構成になっているので、ここはぜひ配信でもチェックしてみてください」

次に挑戦してみたいことは「パラアート(障がい者アート)の人たちとのコラボ」【写真:荒川祐史】
次に挑戦してみたいことは「パラアート(障がい者アート)の人たちとのコラボ」【写真:荒川祐史】

同時にいろんなことやるのが楽しい

 木梨は今月6日、TBSラジオ『土曜朝6時 木梨の会。』(土曜午前6時)に出演。所ジョージが体調不良のため代わりに日本テレビ系『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』で司会を務めたことを報告するなど、コンサート前にも多忙な毎日を送っている。

「(所さんは)直系の先輩でね、いつも忙しいのに僕にずっと付き合ってくれるから、何かあったら“私でお役に立てればタレント”として喜んで行ってきましたよ(笑)。以前も出ましたけど、どうやって番組を作っているのか興味があるんです。その日のラジオで『物を作っている時が一番楽しい』と言ったんだけど、基本的に何かを作る時って必ずチームがあって、スタッフがいて、どういう空気感で何を望んでいるのかっていうのは大事なところでね。ディレクターが指示出してどれくらい撮影して、編集はどうやってんのか。それが全部セットになって1つの作品になるんでね。出る側だけじゃなくて、作る側にも興味があるんです」

 木梨は「オーケストラとの新しい取り組みも同じ」と言った。

「僕が1人でぶっ壊れたことをやってしまうと、例え仲間でも『いやいやいや』ってなっちゃうでしょ。だから、コンサートのパッケージも大勢の人と作り上げるものだから一緒なんですよ。それと今僕がやりたいことは、ジャンルに縛られない新しいことなんでね。例えばアパレルのデザインの話があったら、『じゃあ、オブジェも作っちゃおう』とか『コンサートもできるし、演出とかプロデュース的な動きもやっちゃおう。でも、自分もプレーヤーとして入れてもらおう』とかで、やりたいことをジョイントしていくんです。すると、何をやっても必ずいろんなジャンルの人たちと関わることができるから、また新しいことを考えたりできる。世代や国を超えた友達と一緒に歌ったり、コントができたりして、今度はその友達が別の友達を紹介してくれてという風にバンバン新しい友達できるからうれしくてしょうがないです」

 次に挑戦してみたいことを聞くと、木梨は「パラアート(障がい者アート)の人たちとのコラボレーションがしたいです」と返した。

「彼らはニューヨークでも評価されるくらい。僕らが持っていない才能を持っているウルトラ級の天才ばかりでね。『僕も仲間に入れてくれ』ってお願いして、早速、新しい友達ができたんです。これからいろいろと考えていきたいと思っています。音楽方面も仲間たちと新しい曲をどんどん作っていて、メロディーだったり、詞だったり、色だったり、線だったり……。同時にいろんなことやるのが楽しい。だけどその分、『ジジイは体が資本』というのがよく分かる。要は大事なのって体力的なものだけだから、ぶっ壊れないように自制していかなくちゃいけない」

 61歳とは思えないパワフルな日々。『体調管理の秘訣』は何なのか。

「寝ること、飲みすぎ注意。それだけですね。深酒と睡眠不足だけはやっちゃうと1日ぐったりで頭回んないから。『何で飲んじゃったんだー?』って後悔しないように、そこだけ注意はしてやっていこうかなって。まあ、忙しいけれど、ジジイたちは睡眠浅いからね。ちゃんと寝たら大丈夫なんですよ(笑)」

 人とのつながりから新しいものを生み出してきた木梨。その創造力は増すばかりだ。

□木梨憲武(きなし・のりたけ) 1962年3月9日、東京・世田谷区生まれ。帝京高卒業後、同級生・石橋貴明と「とんねるず」を結成。日本テレビ系『お笑いスター誕生!!』で10週勝ち抜いてグランプリを獲得。フジテレビ系『オールナイトフジ』『とんねるずのみなさんのおかげでした』『ねるとん紅鯨団』など、数々の人気バラエティー番組でレギュラーを務めた。歌手としてもNHK『紅白歌合戦』に3つの名義で4回出場。俳優、司会者、画家の顔も持ち、国内開催9度の個展でのべ35会場、約122万人を動員。ニューヨーク、ロンドンでも個展を開催している。

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