元AAA・伊藤千晃「体を整える選択肢がいっぱいあった」 産後の不調に悩み、辿り着いた先とは

AAAの元メンバーでモデルやアーティストとして活躍する伊藤千晃は、女性特有の健康問題をテクノロジーで解決する「フェムテック」について発信を続けている。伊藤がフェムテックと女性の健康について語った。

伊藤千晃は産後の不調に苦悩したと語る【写真:舛元清香】
伊藤千晃は産後の不調に苦悩したと語る【写真:舛元清香】

テクノロジーで解決する「フェムテック」とは何か

 AAAの元メンバーでモデルやアーティストとして活躍する伊藤千晃は、女性特有の健康問題をテクノロジーで解決する「フェムテック」について発信を続けている。伊藤がフェムテックと女性の健康について語った。(取材・文=平辻哲也)

 AAAのメンバーとして活躍し、2017年3月に同グループを卒業し、その年、ハワイで長男を出産した伊藤。妊娠、出産を通して、自身の体の不調に悩んだ。

「出産後にすごく体が変わったんですよ。基本的に体を動かす仕事だったので、体の変化には敏感で、出産した時も骨盤が開いているのがわかるぐらい。産婦人科でも『あなたはすごく珍しいわね』と言われたんですけど、出産後も骨盤が開いたまま、体の不調が続いて、体に戻らないことにすごくショックを受けたんです。こうしたことは誰も教えてくれなかった」

 その解決策を調べた際にフェムテックの存在を知った。フェムテックとは、女性の健康問題をテクノロジーで解決するサービスや商品の総称だ。今年3月には「フェムテック協会認定資格2級」を取得し、自身の体験や知識を発信し続けている。

「出産後の骨盤の開きを治すアイテムには選択肢があるとか、体の不調はホルモンのバランスが影響しているので、ホルモンを整えるための薬が出ている、薬が苦手な人には効能があるハーブティーが出ている。調べていけば、体を整える選択肢がいっぱいあったんですよね。これらはみんなが知っていい情報だなと思ったので、私がみんなに伝えて、何かきっかけになればと思ったんです」

 フェムテックを知ったことで、自分を責めることはなくなったという。女性の健康を維持するために必要なものは何か?

「20代、30代からしっかり体を鍛えることが大切です。例えば、骨盤底筋を鍛えることで、高齢になったときの健康問題を防げます。家族や友達ともっとオープンに女性特有の健康問題について話す文化を作ることが大切です。その上で、各種治療や選択肢についての情報共有をしていくのがいい」

 男性側にしてみれば、女性の体の不調は分からないことも多い。

「女性の体に不調について、もっと日常で会話できる環境になればいいなと思っています。例えば、私は実家に帰ると、父と『最近、生理痛がひどくて』といったことも話すようにしています。まだ、生理という言葉を受け入れられない男性も多いかもしれませんが、膣といった言葉も今では『フェムゾーン』という柔らかい言葉になっているので、女性たちも情報を手に入れて、日常会話で寄り添っていく。女性が健康で笑っていれば、男の人も幸せだと思うんですよね」と微笑む。

 今後も、SNSやイベントなどでの発信、フェムテック企業との協業を通じて、さまざまな情報を発信していくつもりだ。「女性が自分の体と向き合い、選択肢を知ることが非常に重要です。だからこそ、フェムテックやそれに関わる情報は多くの人に広まってほしいと強く感じています」と語った。

□伊藤千晃(いとう・ちあき)1987年1月生まれ。2017年にダンス&ボーカルユニット「AAA」を卒業。2018年よりソロとして活動を開始。アーティスト、モデルとして活動する中、近年ではフェムテックに関する取り組みにも力を入れている。2023年6月にミニアルバム「Honey」をリリース。

取材場所:大塚家具有明ショールーム

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