中川翔子が呼び掛ける「さくせんは“いのちだいじに”」に込められた意味

「正しい道を選んで」と訴えた【写真:山口比佐夫】
「正しい道を選んで」と訴えた【写真:山口比佐夫】

“逃げる”のではなく“正しい道を選ぶ”という方向へサポートを

――いじめに対する具体策はありますか。

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「いじめられた側が、学校に行かなくなるというのは、すごく悲しいことです。お金もかかるし、時間もかかる。海外だと、いじめた側を転校させるとか、きちんと対策ができているんです。いじめられている子は、学校に行かなくなるというのは“逃げる”ということなのではないか、先生や親にも知られたくないとか、色んなことを自分の中に抱え込んでいると思うんです。私もそうでした。死にたいとか、ぶっ潰してやりたいとか、色んなことを頭の中で考えていましたが、親や先生には言えませんでした」

――そうした子供にどのように接したらいいのでしょうか。

「“逃げる”という言い方ではなく、“正しい道を選ぶ”という方向に、大人がサポートしてあげるのがいいと思います。いじめられた側が負け、というのは絶対におかしい。いじめる側が愚かで、悪いというだけなんです。“復讐”というのは死ぬことではなくて、絶対に幸せになること。だから、正しい道を選んで、自分のことを守ってほしいです」

救いは一緒に笑ってくれた親や友人だったという【写真:山口比佐夫】
救いは一緒に笑ってくれた親や友人だったという【写真:山口比佐夫】

――中川さんご自身、いじめられた時、救いは何だったのでしょうか

「私と一緒にいると自分も損するかもしれないのに、一緒にいてくれた友達がいました。最近、やっと『なんで一緒にいてくれたの?』と聞けたんです。すると、その子は『確かに、お前は気持ちの悪い絵ばかり描いて、気持ち悪くてやばかった。でも、面白かったし、楽しかったから、一緒にいただけだよ』とさらっと言ってくれた。すごいなと思いました。一人でも本当に笑い合える人がいればいい。全員と仲良くする必要はありません。ただ、それでも、どうしようもないところまで追い込まれている子もいると思います。そういう時は、学校の外にいる不思議な人とか、面白いものとか、自分の趣味とか、そいつら(いじめてくる側)じゃないことに、全力で意識を向けて、全力で自分を守ってください。さくせんは“いのちだいじに”です」

――大人たちにできることは何でしょうか。

「根気強く、いじめるということがいかに愚かで、暴力であり、犯罪であり、人の心を殺すものだということを伝えて、発信し続けることだと思います。あと、楽しく生きている感じを見せることも、子供たちにとっては大切ではないでしょうか。一緒に楽しめる話題や趣味があったら、同じテンションで笑うこと。一緒に笑い合えるということは大事だと思います。私も、親がゲームやブルースリー、マンガとかの話で一緒に笑ってくれていたのが、とてもうれしかった。子供から見ると、大人は違う生き物のように見えるんですが、こちら側によってきてくれて、同じ趣味で笑ってくれることは、すごいうれしかったのを覚えています。学校でのことで言いたくなかったり、知られたくなかったりすることはたくさんある。でも、それは無理に掘り下げるのではなく、放っておいてほしいですね。何でもいいから、一緒に笑い合うということ。私の母も友達もそれをしてくれたのがありがたかったです。学校では戦っているので」

□中川翔子(なかがわ・しょうこ)1985年5月5日、東京都生まれ。34歳。2002年にミス週刊少年マガジンに選ばれ芸能界デビュー。タレント、女優、歌手、声優、漫画など、多方面で活躍中。いじめや引きこもりのテーマと向き合い、NHK「#8月31日の夜に。」などにも出演している。

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