「NewJeansおじさん」に冷めた声 若者からも批判相次ぐ「謙虚さがない」「未成年として消費したいだけ」
韓国の5人組ガールズグループ・NewJeans(ニュージーンズ)がデビュー1年にしてグローバルな人気を獲得する中、日本国内では、「NewJeansおじさん」(略称:ニュジおじ)のワードがSNSで拡散している。10代5人のビジュアルに引かれ、ファンになった中高年男性を指し、「NewJeansおじさんになりました」とカミングアウトする投稿も相次いでいる。一方で、怒りの声を上げる熱心なK-POPファンもいる。その理由とは。
中高年が「NewJeansおじさん」と自称
韓国の5人組ガールズグループ・NewJeans(ニュージーンズ)がデビュー1年にしてグローバルな人気を獲得する中、日本国内では、「NewJeansおじさん」(略称:ニュジおじ)のワードがSNSで拡散している。10代5人のビジュアルに引かれ、ファンになった中高年男性を指し、「NewJeansおじさんになりました」とカミングアウトする投稿も相次いでいる。一方で、怒りの声を上げる熱心なK-POPファンもいる。その理由とは。
NewJeansは今月上旬に開催された米国の大型音楽フェスティバル「ロラパルーザ」に出演し、約7万人の聴衆を前に堂々としたステージを展開した。その後に来日。19、20日に開催された日本を代表する夏フェス「SUMMER SONIC(サマソニ) 2023」にも出演した。日本で正式デビューしていないのにもかかわらず、ステージが設営された千葉市のZOZOマリンスタジアムには、NewJeansの人気もあって約3万人が集結。ある男性の観客は「NewJeansのステージが始まると、若い女性のグループから『かわいい~!』という悲鳴が上がっていましたが、それ以上に男性、それも年配の姿が目立ちました。他のガールズグループのコンサートとは少し違う雰囲気でしたね」と明かした。
SNSを見ても、NewJeansに関心を抱く中高年男性の増加が伺える。実際にサマソニに参加した“おじさん”たちが、「朝4時起きだったNewJeansおじさん」「サマソニ1日目昼からNewJeansおじさんになりトリのBlurで大感動」「サマソニとロラパルーザ見て最高すぎて自分がnewjeansおじさんだと気づいてしまった」と次々に報告している。
「NewJeansおじさん」。このワードの生成は、ある音楽ジャーナリストが4月、「NewJeansの3年後を想像したくない」などと投稿したことがきっかけだった。これに対しては「日本のアイドルと同じように性的消費したがる日本のおっさん」「未成年を未成年として消費したいだけ」の批判が集中。若者たちを中心に、こうした男性を「NewJeansおじさん」と形容し、蔑視する言葉が登場した。「NewJeansおじさん」を確定する条件としては「NewJeansの音楽性に従来のK-POPと違う何かを感じる、メンバーより(統括プロデューサーの)ミン・ヒジンに興味がある、今までK-POPにハマったことはない、おじさんである」「特にK-POPとNewJeansを別のものと考え、自分の浸かっているカルチャーからの目線でNewJeansを語る人のこと」などと指摘されている。
書き込みを見る限り、怒る理由は「これまでのK-POPの音楽性や歴史やファンダム文化に対する軽視を自覚や反省しないままニュジ(NewJeans)だけ、ちゃっかり持ち上げている」「問題は彼らが新規参入者としての謙虚さを持たず、『普段いい音楽を聴いている俺様がNewJeansだけは認めてやってる』ムーブをかますことにある」などだ。これらはいずれも、前時代的で高圧的な態度や言動、その権威に無自覚な“おじさん”に向けられており、女性や若者がうんざりしている社会状況への冷めた嫌悪感も含んでいる。
ただ、最近は風向きが変化している。サマソニ開催前後にも、SNS上には「NewJeansおじさん」のワードが多数上がっていたが、「今までK-POP聴かなかったおじさんが急に聴き出すことは許してあげて」の他、「NewJeansおじさん呼ばわりされるのがうれしくて自分たちでそう呼んでいる感じがする」「自分で名乗って『参ったな~』となってる感じ」といった声も寄せられている。
若者言葉に詳しい大学講師は「当初の意味合いが時間の経過とともに変化していくのは若者言葉の特徴です。“NewJeansおじさん”という言葉も、特定人物への攻撃から対象が拡大し、今では横から急に若者の文化活動領域に入り込んでドヤ顔する中高年男性一般を指すようになっています。『高校野球を普段は過小評価しているのに慶応が優勝した途端、高校野球を過大評価する人はNewJeansおじさんと被る』といった投稿がその良い例です」と指摘。その上で「今後、NewJeansおじさんに限らず、○○おじさん、△△おじさんという言葉がどんどん生まれてくるかもしれません」と話した。
あるファンはSNSで「NewJeansおじさんもそれを糾弾してる層もどっちもどっちだと思う。前者の謙虚さのない上から目線も、後者の新規層を受け入れられない姿勢も。同じもの好きなんやから仲良くすればいいのに」と呼びかけている。価値観はさまざま。議論はしばらく続きそうだ。