【医療の現場から】開業医にコロナの疑問を直撃!(後編) 愛犬・愛猫から感染は?

気候とコロナは関係があるのか

Q9:北上高地や奥羽山脈という地形的特徴のある岩手県の感染者はゼロですが、富士山麓の須走地区(静岡県・小山町)などの住人にも感染者が出た話を聞いたことがありません。須走地区は標高850メートル、湿度70〜80%と厳しい環境です。新型コロナウイルスの感染は標高と湿度に関係があるのでしょうか?

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A9:標高そのものには関係はないと思いますが、人口密度が低かったり、住人の生活が疎である可能性が高いことと関係があると推測されます。気温、湿度との関係は明らかです。米メリーランド大学の研究グループが新型コロナウイルスの発生状況と世界各都市の緯度や平均温度、湿度などの気象条件との関連を調べた報告では、感染拡大が深刻だった都市のほとんどが北緯30〜50度に位置し、平均気温5〜11度、絶対湿度(容積絶対湿度)は4〜7g/m3と、低温で低湿度だったということです。

Q10:日本の新型コロナウイルス感染者が少ないのは、雨と関係がありますか。日本は適度に雨が降ります。今の時期ですと1週間に1度ぐらい、それなりに長い時間、しっかりと雨が降ります。雨によって、外気に漂うウイルスや公園のベンチ、押しボタン式の信号など雨ざらしの場所にある物のウイルスは流れていくのではないのでしょうか? ですから、長時間雨が降ること自体が、感染が抑えられている要因のひとつという可能性はないでしょうか?

A10:たしかに、雨ざらしの場所にある物にはウイルスが付着しても雨で流されると思われます。しかし、それが日本の感染者数の少なさに直結するとは考えにくいと思います。公園の遊具、押しボタン信号など雨ざらしであったとしても人の接触がある部分には注意が必要です。

 日本の感染者数が少ないのは、専門家の方たちがしっかりと対策を立てて封じ込めてきたからです。厚生労働省や専門家委員会などの発する明確なメッセージをしっかり受け止め、報道やSNSを見て不安な気持ちにならないようにしてください。

□谷田貝茂雄(やたがい・しげお)1957年12月24日、東京都生まれ。祖父の代からの“町医者”で医師を目指し獨協医科大学へ。1984年卒。1993年、獨協医科大学大学院修了(内科学)。医学博士。獨協医科大学病院麻酔科(現・救急医学科)、同心臓血管内科、国立栃木医療センター内科医長、日本医科大学第一外科を経て2000年、東京・東日暮里に「やたがいクリニック」開業。“生涯を市井の医師でありたい”と地域医療に心血を注ぐ。過去に「恐怖の食卓~あなたの健康は食生活で決まる~」(フジテレビ)などメディア出演・著書多数。学生時代からラグビーに打ち込み、現在も医師・歯科医師のラグビー部「東京ドクターズ」メンバーとしてグランドに立つ。

【医療の現場から】開業医にコロナの疑問を直撃!(前編) 長期微熱が続き不安だが…?
https://encount.press/archives/50250/

【医療の現場から】開業医にコロナの疑問を直撃!(中編) 後遺症はあるのか?
https://encount.press/archives/50268/

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