結成20年目のシソンヌ、長谷川が明かすドン底の解散危機 踏みとどまったのは相方の存在「おかげで辞めずにすんだ」
『キングオブコント2014』での優勝を皮切りに、今や圧倒的なコント師として君臨するシソンヌ。ツッコミ担当の長谷川忍は、バラエティー番組でのMCやコメンテーターにとどまらず、映画『正直不動産』(公開中)を始め、映画、連続ドラマへの出演など俳優としても異例の快進撃を続けている。長谷川に、解散の危機から芸人・俳優としてのスタンスまで、その胸の内を語ってもらった。

コントの経験が俳優業にも直結、次に挑戦したいのは殉職刑事役
『キングオブコント2014』での優勝を皮切りに、今や圧倒的なコント師として君臨するシソンヌ。ツッコミ担当の長谷川忍は、バラエティー番組でのMCやコメンテーターにとどまらず、映画『正直不動産』(公開中)を始め、映画、連続ドラマへの出演など俳優としても異例の快進撃を続けている。長谷川に、解散の危機から芸人・俳優としてのスタンスまで、その胸の内を語ってもらった。(取材・文=平辻哲也)
長谷川とじろうがシソンヌを結成して20年目。現在は単独ライブのチケットが入手困難なほどの人気を誇るが、そこに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。
「10年くらい前は全然けんかもしていましたね。『キングオブコント』で優勝するまでは本当に人気がなくて、劇場でのランキングライブでも上位に行けず、2人でしんどい思いをしていました。先輩や芸人は面白がってくれるのに、お客さんには全然ウケない時期があって……。『相方が辞めるって言ってくれたら辞めれるのにな』と思うぐらいしんどい時期もありました」
そんな解散危機を踏みとどまらせたのは、相方・じろうの存在だったという。
「相方の中に『辞める』という選択肢がなかったみたいで、そのおかげで辞めずにすみました。お互い別々の仕事をして、年に1度必ず1か月近く単独ライブをやるんですが、コンビとしての成熟度はどんどん良くなっている気がします」
近年は朝ドラに出演するなど俳優としてのオファーが絶えない長谷川だが、芸人と俳優の立ち位置の違いについて、本人は「全くの別物とは思っていない」と語る。
「シソンヌでやっているコントの延長線上にドラマがあると思っています。いただいた台本の中で、『このキャラクターはこんなことは言わないだろう』ということを避けるルールは自分の中にありますが、それ以外はコントの経験が活きていますね。コントをやっていたおかげでドラマに呼んでもらえたんだと思います」
俳優業で得た経験は、本業のコントにも大きな還元をもたらしているという。
「役者さんの間の取り方や、『あえてすぐ突っ込まない』といったお笑いにない間をドラマの現場から盗んで、コントで試してみることも多いです。うちの相方はコントの『振り』を大事にするんですが、お芝居がちゃんとできているほどコントの笑いも大きくなるので、ドラマに出ることで持ち帰るものはものすごく大きいです」

大河部長役が俳優業のターニングポイント
そんな長谷川にとって、俳優業のターニングポイントとなったのが『正直不動産』の大河部長役だ。
「お世辞抜きで、『正直不動産』は僕にとって本当に大きいです。ここまでシーズンを通して長いこと1つの物語に出たのが初めてでしたし、このドラマのおかげで、他でも『めんどくさい上司の役』などのオファーをいただけるようになりました。今は自分と役が離れている『美味しい役』をいただけているので、このまま続けられたら嬉しいです」
長谷川は、愛すべき大河部長のキャラクター像について、国民的映画『男はつらいよ』の「タコ社長」に重ね合わせていると明かす。
「(大河は)昭和な感じだから、自分の中ではタコ社長みたいなもんだと勝手に思ってやってるんです。割と言ってることはいつも一緒で、大した話には絡んでいないけれど印象だけはある。ああいう役いいなと思っていたので、僕も好きなんですよね。そういった意味でも大河は僕の中で大切な役です」
ちなみに、今後挑戦してみたい役柄について聞くと、「『太陽にほえろ!』で殉職するような昭和の刑事役をやってみたい」と、長谷川らしいユニークな野望も飛び出した。
さらに、不動産業界のリアルを描く『正直不動産』への出演は、実生活での自信にも繋がっているという。
「家賃が上がる時に、実は必ずしも受け入れなくていいとか、知らなかったことが多くて勉強になりました。実際に僕の家賃が上がるタイミングがあったんですが、無理な金額を言われたわけではないし、不動産屋さんに『手強いやつだ』と思われるのも嫌なので、その時は1回条件を飲んだんです。でも、いざとなったら戦えるという知識が『武器』にはなりましたね。担当の不動産屋さんが『(僕が出ている)正直不動産を見てます』と言っていたので、『俺に知識があることを知っているからこの条件なのかな?』と勘ぐったりして(笑)」
表現者としてしなやかに枠を越え続ける長谷川忍。コント師として、そして個性派俳優としてのさらなる飛躍から目が離せない。
■長谷川忍(はせがわ・しのぶ)1978年8月6日生まれ、静岡県浜松市出身。2006年にじろうとお笑いコンビ「シソンヌ」を結成し、ツッコミを担当。14年には『キングオブコント』で優勝を果たす。近年は本業のコントにとどまらず、バラエティー番組のMCやコメンテーター、さらには連続テレビ小説(『虎に翼』『おむすび』)、Netflix『九条の大罪』など俳優としてもマルチな活躍を見せている。『正直不動産』シリーズには22年の第1シーズンから大河真澄役で出演。
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