競輪&プロレスの“二刀流レスラー”、マット界屈指の“高額所得者”が新団体設立 自宅の庭にリング設営

日本マット界有数の高額所得者で競輪との“二刀流レスラー”SHINGOが新団体を旗揚げ。かねてからの夢を実現させるために着実な一歩を踏み出した。

競輪とプロレスの二刀流で活躍するSHINGO【写真:SHINGO提供】
競輪とプロレスの二刀流で活躍するSHINGO【写真:SHINGO提供】

毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.154】

 日本マット界有数の高額所得者で競輪との“二刀流レスラー”SHINGOが新団体を旗揚げ。かねてからの夢を実現させるために着実な一歩を踏み出した。

 プロレスリングHEAT-UPに入門してから3年半、デビューしてから2年半のSHINGOだが、8月16日、東京・後楽園ホール大会を最後に卒業する。「代表の田村(和宏)さん始め、皆さんにお世話になった。競輪との二刀流などを快く認めていただき、今回の独立も二つ返事でOKしてもらった。最高だった」と感謝しきりだ。

 実際に、夢だったプロレスラーデビューを果たし、プロレス流トレーニングやファイトは競輪にも大いに役立った。「バンク上の格闘技」と言われる競輪。体当たりやエルボーは当たり前、コース取りやポジション取りで激しく激突している。

 この8、9月と「出場停止処分」を食らってしまった。失格を3回、繰り返した結果だ。「レース場では『競輪界の殺人鬼』と呼ばれている」と苦笑い。

 普段はソフトで優しいSHINGOだが、レースでの競い合いで激しくぶつかり、ライバルを落車させ、ケガをさせたりしてしまった。「もちろん、お互いに覚悟の上のこと。わだかまりはない。実際ボクも何度か落車しているし、粉砕骨折したこともあるけど、プロレスとの二刀流になってからは、ボクの“勝ち”ばかり」。昨年9月には、落車した相手がドクターヘリで運ばれた。「病院送り」である。プロレスデビューしてから、確実にパワーアップし体もより頑健になったという。

 競輪ではS級2班まで昇格したが、現在はA級3班。「まだまだいけると言っていただけるが、ピークアウトしたかな」と、限界を感じているのも事実。と同時にこの1年で、以前から思い描いていた構想がより頭の中で膨らんできた。「プロレスは皆さんと元気と勇気を分かち合える。“プロレスの力”で生まれ育った町田市相原町に少しでも貢献したい」と意気込む。

 幸いなことに土地はある。自宅の周囲に道場、トレーニング場を作る。リングはすでに手に入れている。庭にリングを組み立て、試合を披露したところ、地元の人たち、老若男女が集まり「あそこの息子は、競輪だけでなくプロレスでも頑張っているんだ」と大喜びしてくれた。

 地元愛が爆発した。その時の皆さんの笑顔が忘れられない。「できれば月に一回。さまざまな選手に集まってもらい定期戦を開催したい」という。

 無期限休業に入った岡林裕二とは杯を交わした仲だ。「岡林さん、いつか体がうずき始めたら、ぜひとも相原町に暴れに来てください。近所です。なんなら別の顔、ポセイドンもありです」とエールを送る。

 同じく近所に住む“大巨人”石川修司とも顔なじみ。「大きな石川さんが参加してくれたら、相原町が大騒ぎになる」と、これまたニッコリ。

 さまざまな団体に嵐を呼び込んでいるス-パークラフターUにも興味津々。鋭いキックとサブミッション、スープレックスを得意とし、どんなファイトスタイルにも対応できるとあって「相原町にも旋風を巻き起こしてほしい」とアピールだ。

 8・16HEAT-UPラストマッチで「ダブルしんご」を結成する槙吾にも「是非とも相原町でタッグ続行を」と訴える。

 この秋にも予定している旗揚げ戦の準備も着々と進めている。年内にもリングを常設した道場やジムも、自宅の敷地に完成する予定だ。SHINGOは堅実で計画性がある。「ボクもトレーニング法は指導できる。プロレスを教えるコーチを招へいし、練習生を育てたい」と目を輝かせる。

 足腰を鍛える競輪で培ったトレーニング法も取り入れて行きたい、その上で足技や蹴りを習得すれば今までにないファイトスタイルになる。これは自分にしかできないとやる気満々だ。

 相原プロレス(仮)から徐々にプロレスの輪を広げていきたいという。「競輪場は全国に43か所ある。いつかは日本各地で、43を上回る大会を開催したい」と前を未来を見据えるSHINGO。二刀流ファイターの野望の行く末を楽しみにしたい。

次のページへ (2/2) 【写真】自宅の庭にリング設営…プレ旗揚げ戦の様子
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