坂本龍一さんの遺志を継ぐ…アジカン後藤正文らが神宮外苑再開発の見直しを訴え

3月28日に71歳で亡くなった音楽家の坂本龍一さんの遺志を継いだアーティストらが22日、東京・明治神宮外苑にある聖徳記念絵画館前の西側通路で、再開発に反対するデモを行った。社会問題を考える団体「D2021」が主宰。デモには坂本さんと共に同団体の中心メンバーとして活動するロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、ギターの後藤正文も参加した。後藤は「坂本龍一さん、忌野清志郎さん、ジョン・レノンなど著名な人に全てを預けて、代弁させてそれで終わりにしてはいけないと思います。一人の力は微力かもしれないけれど、坂本さんが遺してくれた言葉のように、市民一人一人が問題を直視し、将来どのような社会であってほしいのか。話し合うことが必要だと思います」と訴えた。

坂本龍一さんの写真の前で、思いを訴えたASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文【写真:ENCOUNT編集部】
坂本龍一さんの写真の前で、思いを訴えたASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文【写真:ENCOUNT編集部】

後藤は「市民一人一人が話し合うことが必要」と呼びかけ

 3月28日に71歳で亡くなった音楽家の坂本龍一さんの遺志を継いだアーティストらが22日、東京・明治神宮外苑にある聖徳記念絵画館前の西側通路で、再開発に反対するデモを行った。社会問題を考える団体「D2021」が主宰。デモには坂本さんと共に同団体の中心メンバーとして活動するロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、ギターの後藤正文も参加した。後藤は「坂本龍一さん、忌野清志郎さん、ジョン・レノンなど著名な人に全てを預けて、代弁させてそれで終わりにしてはいけないと思います。一人の力は微力かもしれないけれど、坂本さんが遺してくれた言葉のように、市民一人一人が問題を直視し、将来どのような社会であってほしいのか。話し合うことが必要だと思います」と訴えた。

 環境問題にも高い関心を示していた坂本さんは亡くなる1か月前に、小池百合子東京都知事、永岡桂子文部科学相、都倉俊一文化庁長官、吉住健一新宿区長、武井雅昭港区長に、「神宮外苑の樹々を伐採しないでほしい」という趣旨の手紙を送付。「目の前の経済的利益のために、先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません」と再開発の見直しを求めていた。

 デモは20日の未明に、同団体の公式ツイッターとインスタグラムなどで公表。「一人の人間として社会に対し発信を続けた坂本龍一さんの生き方に、私『たち』も一人の人間として、意志を引き継ぎます」と発信した言葉を受け止めた約300人ほどが、デモ開始前から集まり、その輪はどんどん大きくなっていた。作家のいとうせいこうさんもメッセージを寄せた。

 後藤が登壇する前には、新国立競技場(新宿区)前に設けられたステージを見守るように、柔らかい陽が集まった人を照らした。坂本さんが脱原発を掲げて始めた音楽フェスティバル『NO NUKES』でも活動を共にしていた後藤は「坂本さんは、『僕らのようなミュージシャンがこのようなフェスを発信しなくてもいい社会が来たらいい』と常々おっしゃっていました。坂本さんの音楽を聴くと、言葉や思想が違っても、同じフィーリングを感じることができる。これは社会に対する可能性だと思う」と力を込めていた。

 D2021は坂本さんと後藤が中心となり、震災(Disaster)から10年(Decade)目にあたる2021年に設立。不条理に対する抵抗の声(Demonstration)をあげ、民主主義(Democracy)を維持する活動を続けている。デモは再開発に伴い伐採を予定している樹木の側で、午後8時まで行われる。

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