“女子鉄アナ”久野知美はなぜ鉄道に魅了されたのか 理想の結婚相手は「新幹線のN700S」

鉄道の知識などを武器に活躍し、女子鉄アナウンサーの愛称で注目されているフリーアナウンサーがいる。BS日テレ『友近・礼二の妄想トレイン』(月曜午後9時)やBSフジ『Let'sトレ活!』(第2月曜深夜0時)などにレギュラー出演中の久野知美アナだ。久野アナに鉄道に魅了されたきっかけから女子鉄アナのすごさ、さらに、日本の鉄道会社に期待したいことなどを聞いた。まずは鉄道に興味を抱いたきっかけから。

鉄道の魅力を語る久野知美アナ【写真:ENCOUNT編集部】
鉄道の魅力を語る久野知美アナ【写真:ENCOUNT編集部】

BS日テレ『友近・礼二の妄想トレイン』、BSフジ『Let'sトレ活!』などに出演

 鉄道の知識などを武器に活躍し、女子鉄アナウンサーの愛称で注目されているフリーアナウンサーがいる。BS日テレ『友近・礼二の妄想トレイン』(月曜午後9時)やBSフジ『Let’sトレ活!』(第2月曜深夜0時)などにレギュラー出演中の久野知美アナだ。久野アナに鉄道に魅了されたきっかけから女子鉄アナのすごさ、さらに、日本の鉄道会社に期待したいことなどを聞いた。まずは鉄道に興味を抱いたきっかけから。(取材・文=中野由喜)

「実家は大阪ですが、高校は京阪電鉄を使って京都の立命館宇治高校に通っていました。その時、列車に乗ること自体が楽しいと感じたんです。当時の京阪電鉄の在来線には旧3000系特急車という2階建ての車両があり、その隣の車両ではテレビを見ることもできたのに乗車料金だけで乗れたんです」

 人生を変える運命の出会いといえそうだ。

「私が鉄道好きになるにあたっては3大育ての親というのが存在します。1つは京阪の旧3000系特急車、2つめは青春18きっぷです。北海道から宮崎まで全国行脚をしました。学生時代、東京に来る時は、大阪から岐阜・大垣まで在来線で行き、夜行の快速『ムーンライトながら』を使っていました。3つめは前所属事務所の鉄道好きマネジャー・南田裕介さんの存在。鉄道を仕事にするレールを一緒に敷きました。所属が変わった今も、〝鉄道名誉マネジャー〟として、現担当マネジャーとも連携の上、頼りにさせてもらっています」

 ここで久野アナのすごさを少し聞いてみた。

「日本の鉄道会社は全部で200社以上あるかと思いますが、9割ちかく利用させていただいています。老後の楽しみを残すため、あえて全部利用していませんし、終着駅まで行かないようにもしています。また欧州や東南アジアの鉄道も結構、利用しています。インドネシアでは東京メトロやJRの車両が再利用されているんです」

 鉄道旅には運賃が必要。仕事の拠点だった関西から上京し、現在のように仕事が充実するまでは苦労も多かった。

「上京当時は、全てのレギュラー番組を卒業してきたので、ティッシュ配りやコンタクトレンズのビラ配りも経験しました。アナウンサーの練習になると思い、街頭でマイクを持って携帯電話のPRをしたこともあります。学生時代はスパゲッティ店のホールと京阪電鉄の沿線で音楽イベントの司会のアルバイトをやっていました」

 昨年8月には鉄道に関する著書『東急電鉄とファン大研究読本』(カンゼン)を発売した。5冊目の鉄道の著書。

「昨年、東急グループが創立100周年を迎えたことでいろんな企画をお願いし、取材した内容になっています。車両基地や『しぶそば』などフード施設も取材し、相鉄・東急直通線の工事現場の取材や騒音対策などマニアックな内容も掲載されています。東急沿線にはハイソサエティーな印象があったのですが、ローカルエリアも支えている足であり、働くスタッフの方々も非常にフレンドリーで親近感あふれる印象を持つようになりました」

 鉄道の魅力を大勢の人に知ってほしいと話す。たとえば鉄道に関心のない女性にはどんなことを伝えたいのか。

「まずは観光列車です。乗車するだけでテンションが上がり、乗車自体が目的になるような魅力的な列車が全国にたくさんあります。そこから鉄活を始めたらどうでしょう。せん越ながら私が車内の自動アナウンスをしている西武鉄道には『旅するレストラン52席の至福』というレストラン列車があり、コース料理と夜はサプライズ演奏を楽しめます。列車に乗りながらご飯を食べるとこんなにも高揚するんだと感動するはずです。あとは遭遇するとハッピーになれると言われる新幹線の設備などを検査するドクターイエローや京急のイエローハッピートレイン、西武のドラえもん列車、東京メトロでは銀座線のレトロ車両もレアです。出会えたらラッキー! 知っていると日常にワクワクが増えますよ」

駅のホームに立つ久野知美アナ
駅のホームに立つ久野知美アナ

目指す像は「鉄道界の友近さん」

 久野アナは独身。ここで理想の結婚相手のタイプを列車にたとえて聞いてみた。

「新幹線のN700Sでしょうか。駅に到着する少し前に車内の照明が明るくなるんです。荷棚に忘れ物がないか視覚的に助けてくれます。まるで細かな気遣いのできる男性。全席にコンセントがついていて、Wi-Fiも当然利用できますから仕事のできる男性という感じです。正面から見てもイケメンです(笑)」

 日本の鉄道会社にリクエストしたいことはあるだろうか。

「鉄道会社は最大限の努力をしていると思います。鉄道会社の皆さんの持っているコンテンツはものすごく価値のあることだということを鉄道会社自身が知り、もっと声高にアピールしてほしいです。それを発信するのが私の仕事。そのためにテレビやラジオを軸に活動の幅を広げ、フェーズを上げていく時かなと思っています」

 こんな列車があったらいいなという思いはどうか。

「ヨーロッパに行くとTGVやタリスもそうですが食堂車が活躍しています。日常の列車の中に食堂車を取り入れていただけたらという思いが少しあります。ただ、採算的に大変だと聞いているので…。あとはリーズナブルな夜行列車がもう少し増えると観光需要が高まる気がします。夜行鉄旅に魅せられる可能性のある人たちに訴求できるはず。移動しながら泊まるロマンを今の日本では味わいにくいと感じます。そこは多くの鉄道ファンが求めていると思います」

 世界遺産検定2級の資格も持つ。

「鉄道自体が世界遺産になっているレーティッシュ鉄道のように、車両と景色を味わう世界遺産もあります。インドの山岳鉄道群もそうですが、そうした角度からのPRもしたいので、世界遺産関連のお仕事もいただけるように頑張りたいです。1級も目指します」

 今後の人生のレールをどこに向けて敷きたいのか聞いてみた。

「趣味や自立できる仕事があれば、女性もいろんな働き方、いろんな生き方ができると思っています。『好き』を仕事にできれば自分で人生にレールを敷いていけるし、人生が楽しくなると私は理解しています。私自身、同年代の友人からそうしたリクエストを受けることが多いので、誰かのお役に立てるならそうしたメッセージを発信するのも興味深いなと考えているところです。こんな私でも、女性を勇気づける働き方、生き方ができたらいいなと思っています。そうすればワンマン運行(独身)でも人生の面白いレールを進んでいけるかなと(笑)」

 芸能界では、番組で共演し、旅好きな芸人の友近を尊敬しているようで、最後は「鉄道界の友近さん(=変幻自在のキャラ姉さん)を目指します!」と語った。

□久野知美(くの・ともみ) 大阪府寝屋川市出身。女子鉄アナウンサーとしてテレビ東京系『なないろ日和!』『ハーフタイムツアーズ』、BS日テレ『友近・礼二の妄想トレイン』、BSフジ『鉄道伝説』、『Let’sトレ活!』などに出演。関東私鉄3社の列車自動アナウンスも担当。著書『鉄道とファン大研究読本』『女子鉄アナウンサー久野知美のかわいい鉄道』『東急電鉄とファン大研究読本』など5作品が好評発売中。2019年からは国土交通省認定『日本鉄道賞』選考委員、鉄道貨物協会『鉄道貨物輸送親善大使』を務める。資格は実用英語技能検定2級、世界遺産検定2級など。

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