学研の図鑑「キン肉マン『超人』」制作秘話…ゆでたまご先生からの激熱メールとは

バッファローマンの「ロングホーン」を実物大で表現(学研の図鑑「キン肉マン『超人』」)
バッファローマンの「ロングホーン」を実物大で表現(学研の図鑑「キン肉マン『超人』」)

名前だけだった超人に“魂”が…こだわり抜いた分類の仕方

 図鑑ならではのこだわりもある。超人の分類の仕方だ。往年のキン肉マンファンなら、「正義超人」「悪魔超人」「パーフェクト超人」などの分け方が一般的だろうが、学研の図鑑は違う。学研の“プライド”をかけて、「馬鹿だな」と言われるほど真面目に図鑑として編集した。

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「あくまで現実世界に超人たちがいる――という前提で作っています。簡易版の系統樹も作りましたが、キン肉マンというのは、動物系のものもいれば、砂でできているものやパルテノン神殿ででてきているものもあって、本当に様々。そのため、極限まで役割をそぎ落として、分類して並べていきました。まず、有機物と無機物に分けたんです。有機物なら、さらに『植物』『昆虫』『魚類』『鳥』……と分けました。無機物ではまず『岩石・鉱物』があって、人間の手で加工された『彫刻』や『焼き物』などもあります。それを組み合わせると、『建物』が出来上がり、さらに発展すれば『道具』が作られ、より高度な文明になると『図形・文字・記号』が生まれて、最終的には『ロボット』にいきつくという感じです」(杉田氏)

キン肉族のなかま(学研の図鑑「キン肉マン『超人』」)
キン肉族のなかま(学研の図鑑「キン肉マン『超人』」)

 編集者の情熱は学研社内にも伝わった。社内の主要部署の管理職は“キン肉マン世代”が多く、営業担当者も、印刷所の担当者もみな、キン肉マンが大好き。「これは絶対にやるべき」「ゆでたまご先生や集英社からオッケーが出ただけでもすごい」という声が上がり、一体となって売り出した。初版は図鑑としては異例の10万部。すでに学研内の在庫は空で、増刷も視野に入っているという。

ゆでたまごの嶋田隆司氏(左)と中井義則氏
ゆでたまごの嶋田隆司氏(左)と中井義則氏

「ゆでたまご先生はすごく喜んでくださって、『ありがとう』と言ってくださいました。イラストレターさん、デザイナーさん、社内の営業、色んな人が頑張っているのを知っていらしたんです。図鑑がバンと話題になった時には、『これは友情パワーの大噴火です』というメールを頂きました。やはり、キン肉マンと言えば、友情パワーがお話の核になる。キン肉マン世代のクリエーターたちが頑張って作ったということが、先生もたぶんうれしかったと思うんです。胸が熱くなるようなメールを頂き、私も制作できて本当に幸せだったなと思います」(芳賀氏)

 ちなみに、芳賀氏が一番好きな超人は「キン肉マン」。杉田氏が一番好きな超人は「キン肉マンⅡ世」。やっぱり、みんなキン肉マンが大好きなのだ。

(ENCOUNT編集部・中村智弘/Tomohiro Nakamura)

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