秦基博、映画主題歌で心がけているコト「心が動いたものを書く」 作詞は「喫茶店で」

シンガーソングライター秦基博(42)の撮りおろし最新ライブ映像&映画『秦 基博×U-NEXT FILM「イカロス 片羽の街」&PREMIUM LIVE「ICARUS」』がU-NEXTで独占配信中だ。新曲を披露するシークレットライブと同曲からインスピレーションを受け誕生した3本の映画を同時配信するという試み。秦が新曲と映画への思いを語った。

インタビューに応じた秦基博【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた秦基博【写真:ENCOUNT編集部】

ライブ&映画プロジェクト『イカロス~』インタビュー

 シンガーソングライター秦基博(42)の撮りおろし最新ライブ映像&映画『秦 基博×U-NEXT FILM「イカロス 片羽の街」&PREMIUM LIVE「ICARUS」』がU-NEXTで独占配信中だ。新曲を披露するシークレットライブと同曲からインスピレーションを受け誕生した3本の映画を同時配信するという試み。秦が新曲と映画への思いを語った。(取材・文=平辻哲也)

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 3GCGアニメ『STAND BY ME ドラえもん』(『ひまわりの約束』)河瀬直美監督、永瀬正敏主演の『あん』(水彩の月)など数多くの映画に主題歌を提供してきた秦にとって、楽曲を起点に新たに映画を製作するという初めての試みだ。『イカロス 片羽の街』では『猿楽町で会いましょう』の児山隆監督、『少女邂逅』の枝優花監督、『やがて海へと届く』の中川龍太郎監督が、秦の出身地でもある横浜を舞台に完全オリジナル脚本で撮り下ろした。

「普段であれば、楽曲があってミュージックビデオがあって……というのが一般的だと思うんですが、映画を作ることで、今までと違うことができたら、というのが始まりでした。方向の違う3作品が生まれたことにはすごく驚きましたし、ある意味、感動しました。自分の曲を起点にして、こんなふうに広がっていくのか、と」。

 約半年ぶりの新曲『イカロス』は蝋(ろう)づけした翼で空を飛び、太陽の熱で蝋が溶けて落下してしまったギリシャ神話の登場人物イカロスの悲劇をモチーフにしたもので、テーマは喪失だ。

「楽曲の冒頭にある、広い空の絵が浮かびました。そこから、イカロスに結びついて、メッセージと親和性が高いと感じました。メロディーから歌詞を作ることが多いのですが、歌詞がないときから喪失をテーマにしたいと決めていました。特に意識したわけではありませんが普段の生活で感じたこと、コロナ禍でもいろんなものが失われたと思いますし、時代のムードが反映されているのかもしれません」

 新曲を含むシークレットライブは昨年12月、パシフィコ横浜で有観客収にて収録した。

「誰も聞いたことない状態の新曲をいきなりライブでやるのはなかなかない経験でした。曲は人に聴いてもらうことで、完成するという感覚があるのですが、感情的なライブだと、より出るなと感じました」

 好きな映画を聴くと、マイケル・J・フォックス主演のSF『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)、ヴィンセント・ギャロが監督・脚本・主演・音楽を務めた『バッファロー’66』(99年)を挙げてくれた。

「大学時代にお世話になったライブハウスの方から『若いうちにたくさんの映画や本、芸術に触れた方がいい』との助言を頂き、この頃はいっぱい映画を観てましたね。『バッファロー’66』は主人公の2人(ギャロ&クリスティーナ・リッチ)がベッドに横たわっているのを俯瞰(ふかん)で撮っているシーンが好きです。あと映画を通して見ているだけでも寒さが伝わってくる。自分の音楽も五感を刺激して、聴覚、香り、情景、色などが浮かぶものがいいなと思っています。今回の映画でも、光の切り取り方が印象的に強く残っています」

 映画の主題歌を提供するときは、どんなアプローチで曲を描き下ろしているのか。

「『ひまわりの約束』は脚本と途中の映像を見せてもらってから曲を作りました。映画のストーリーを借りてきて、歌うことはできないので、何が自分と共鳴するかがポイントだと思っています。『あん』の主題歌『水彩の月』は初号試写を拝見し、河瀬監督とは一言も言葉を交わさず、会釈だけして帰ってきました。すぐに曲ができそうだったので、それを逃したくないなと思ったんです。監督もそれを察してくれたんだと思います。」と振り返る。

 曲作りはメロディー先行だ。自室で曲作りをして、作詞に取り掛かるのがルーティン。

「自由に作ることが多いですが、タイアップだと、テーマがある程度絞られていくので、それはそれで作りやすいときもあります。いずれにしても、自分の心が動いたものを書いていくということには変わりはありません。『イカロス』の歌詞は着想から1年くらいかけて完成しました。作曲は部屋で作ることが多いんですが、作詞は環境を変えて、喫茶店で書いたりしています。1度、本格的な喫茶店にも行ったのですが、本格的すぎて、緊張して、リラックスできなかった。少しにぎやかなチェーン店の方が集中できるようです(笑)」

 この『イカロス』のプロジェクト後、3年3か月ぶりのアルバムとなる第7弾『Paint Like a Child』が3月22日に発売され、4月29日から「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2023 ―Paint Like a Child―」がスタートし、全国19か所をまわる。

□秦基博(はた・もとひろ)宮崎県生まれ、横浜育ち。2006年11月シングル『シンクロ』でデビュー。2014年、映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌『ひまわりの約束』が大ヒット、その後も数々の映画、CM、TV番組のテーマ曲を担当。初のオールタイム・ベストアルバム『All Time Best ハタモトヒロ』は自身初のアルバムウィークリーチャート1位を獲得。

秦基博 × U-NEXT FILM「イカロス 片羽の街」& PREMIUM LIVE「ICARUS」
秦基博 × U-NEXT FILM「イカロス 片羽の街」& PREMIUM LIVE「ICARUS」

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

○秦基博 × U-NEXT FILM「イカロス 片羽の街」& PREMIUM LIVE「ICARUS」

・映画『イカロス 片羽の街』
『トイレのハナコ』監督 児山隆
『豚知気人生』監督 枝優花
『十年と永遠』監督 中川龍太郎

・秦基博 × U-NEXT PREMIUM LIVE 「ICARUS」
U-NEXTにて独占配信中:https://www.video.unext.jp/po/icarus

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