【週末は女子プロレス♯91】“格闘JKファイター”羽南、高校卒業でプロレス専念 看護学校と迷いも「今しかできない」

スターダムの“格闘JKファイター”羽南が3月1日、高校を卒業した。羽南は双子の妹、吏南&妃南の姉で、プロレス界では非常に珍しい三姉妹レスラーの長女である。卒業式では、プロレス活動を応援してくれている恩師から「ビッグになれよ!」と声をかけられた。本稿掲載の4日に開催される東京・国立代々木競技場第2体育館大会は、社会人としての第1戦だ。

スターダムの羽南が社会人としての第1戦を迎える【写真:(C)新井宏】
スターダムの羽南が社会人としての第1戦を迎える【写真:(C)新井宏】

三姉妹レスラーの長女・羽南がプロレス専念へ

 スターダムの“格闘JKファイター”羽南が3月1日、高校を卒業した。羽南は双子の妹、吏南&妃南の姉で、プロレス界では非常に珍しい三姉妹レスラーの長女である。卒業式では、プロレス活動を応援してくれている恩師から「ビッグになれよ!」と声をかけられた。本稿掲載の4日に開催される東京・国立代々木競技場第2体育館大会は、社会人としての第1戦だ。

 プロレスへの就職を進路に選んだ羽南。プロレスとの出会いは小学生時代にさかのぼる。父親が柔道の指導者で、羽南が小学1年生、妹が幼稚園児のときに柔道を習い始めた。父はプロレスファンでもあり、家族そろって後楽園ホールで観戦しようという話になった。父は娘に見せるのだからと、あえて女子プロレスを選び、都合のつく日にたまたま開催されていたのが、スターダムだったという。ここで三姉妹は初めてプロレスに触れた。2014年9月23日の5★STAR GP決勝戦、紫雷イオ(現イヨ・スカイ=WWE)が優勝を飾った大会だ。

「すごいなとは思ったんですけど、初めてのプロレスは怖かったです」と当時を振り返る羽南。そのときはむしろ、妃南の方がプロレスにハマっていたという。

「妃南がもっと見たいと言い出して、サムライTVも契約しました」

 そのうち、妃南は自分もプロレスをやりたいと言い出すようになる。「妃南が言うならとりあえずみんな行っとく? みたいなノリで、(渡辺)桃さんがデビューした大会(14年11・16新木場)で風香(GM)さんにやりたいんですということをお伝えしたんです」

 一度に3人来たから団体側も驚いた。しかも全員が小学生だ。そのうえ、3人とも脱落せず練習についてきた。一番先にデビューしたのは長女の羽南。中学入学式前の17年4・9新木場がプロレスラー生活の幕開け。ここから先、羽南は中学、高校時代の6年間すべてをプロレスとともにすごすことになる。

「デビューはしたんですけど練習、試合、学校というのがメチャメチャきつくて、授業中はずっと寝てました。よく怒られてましたね(苦笑)」

 1年半後には吏南&妃南もデビュー。三姉妹揃い踏みだが、あえてリングでは別ユニットに所属。それは本人たちの意向でもあったようだ。なるほど、3人が3人ともまったく異なる個性の持ち主なのだ。羽南は3人で6人タッグのベルトを巻きたいと思っているものの、それぞれの方向性が現段階では一致しない。

「吏南は24時間プロレスラーみたいな人で、妃南はアタマがいいんです」

 一時期、ケガによる欠場もあり、プロレスを続けるかどうか迷うことがあった。が、妹たちが躍動する姿を見て、やっぱりプロレスがやりたいと思った。そんな頃、高校受験が重なった。

「受験前に、面接試験をどうするか中学の先生と話したんですよ。そのとき、私は面接で自分がプロレスラーだと言いたいと言ったんです。そしたらそれを否定されてしまって。それが悔しくて、絶対にプロレスで有名になってやろうと思いました」

 本番の面接では、当初の考えを貫き、自分がプロレスラーであることを正直に話した。すると……「面接官の方がすごく食いついてくださって、ほとんどプロレスの話で終わってましたね(笑)。資格だとか成績だとか、準備していた話は一切なく、世間話みたいな感じでした」。

 そして羽南は無事、高校に合格。中学では自分からレスラーを名乗り苦労した部分もあったため、高校ではあえて控えめでいようと心掛けた。部活は手芸部で、自作のマスクを会場でプレゼントしていた時期もある。

 妹の妃南&吏南も同じ高校に入ったというから奇跡的。しかしながら、学校のことでケンカになることも多いと羽南は苦笑する。

「ちっちゃなことですぐケンカになるんですよ。『なんで羽南は学校にメガネをかけていくの?』って。そんなことでもケンカになって……」

 学校では普通の高校生でいたい羽南。しかし、吏南は前述したように公私ともプロレスラーのマインドで日常をすごしている。学校での羽南もプロレスラーの気持ちで見てしまうし、妃南は妃南で羽南をライバル視しているようだ。

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