韓流はブームではなく文化―日韓アーティストをつなぐイベントが産声 仕掛け人の狙いとは

ドラマ『冬のソナタ』のヒットを機に“韓流”という言葉が生まれてから20年。韓国を中心としたアジアで世界を眺望し、飛躍するアーティストが一堂に会する大型イベント「KROSS」が誕生した。年明けにバンテリンドームナゴヤ(名古屋市東区)で初開催したステージには、第4世代のリーダー、TOMORROW X TOGETHERや、今夏ハリウッドデビュー作の公開が控える俳優のパク・ソジュンなど旬のメンバーがずらり。昼夜2回の公演で、約6万5000人が熱狂した。奇跡のコラボを実現させるためにイベントを企画したBirdman(東京都渋谷区)の代表取締役・伊達晃洋さんに話を聞いた。

約5年ぶりに来日したパク・ソジュン(右)
約5年ぶりに来日したパク・ソジュン(右)

第1回には、『梨泰院クラス』主演のパク・ソジュンが出演

 ドラマ『冬のソナタ』のヒットを機に“韓流”という言葉が生まれてから20年。韓国を中心としたアジアで世界を眺望し、飛躍するアーティストが一堂に会する大型イベント「KROSS」が誕生した。年明けにバンテリンドームナゴヤ(名古屋市東区)で初開催したステージには、第4世代のリーダー、TOMORROW X TOGETHERや、今夏ハリウッドデビュー作の公開が控える俳優のパク・ソジュンなど旬のメンバーがずらり。昼夜2回の公演で、約6万5000人が熱狂した。奇跡のコラボを実現させるためにイベントを企画したBirdman(東京都渋谷区)の代表取締役・伊達晃洋さんに話を聞いた。(取材・文=西村綾乃)

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 伊達さんが率いるBirdmanは、もともとコンサルティングや、PR・プロモーションを一貫して行う「株式会社エードット」として事業を展開。2021年2月に社名を改め、マーケティングとエンターテイメントの2軸で、既存にないアイデアを生み出してきた。

「エードットの広告部門は倍々成長を続けていましたが、コロナ禍で予定していたイベントが中止になり大打撃に。持ち直すまでには時間がかかる。先行き危ういぞと思っていたときに、所属先を探していた7ORDERと出会いました。歌やダンスはもちろん、俳優業などにも力を入れていて、個々の力を感じました。彼らと一緒に組むことになり、エンタメ部門を新設したんです」

 韓国の音楽やファッション、食などを楽しめるイベント「KCON」、Kポップの授賞式「MAMA」などのPRを担当した経験はあったが、主催するのは未経験。社員を鼓舞するために伊達さんは、22年の夏にある決断をする。

「士気を高めるため、目標を持って動くために、『年1回、バンテリンドーム名古屋で正月にライブをやるから』って会場を予約しました。名古屋を選んだのは、東京や大阪からのアクセスが良いこと。ドームでライブをすることって業界的に金字塔だと思うので、なら早くやってしまおうって」

 日本と韓国のかけ橋になるような、アジアを象徴するイベントに成長させたい。強い思いから、出演者の手配に奔走したという。

「2005年に日本デビューし、東方神起のメンバーとして活躍したJ-JUNさんは、ブームの立役者の一人。韓国の予定をキャンセルして駆けつけてくれました。ドームまで突き進んでいく僕らの動きを見ていて『率先して動く若い人が日本に出てきたことは良いこと。新しい扉が開いたね』と喜んでくれました」

 また、パク・ソジュンさんが主演したドラマ『梨泰院クラス』のテーマソング『始まり』が流れた際、会場が一瞬で高揚するのを目の当たりにしたときは「ファンのためのイベントではなく、フェス感が生まれた。感激しました」と振り返る。

 初回のイベントは大盛況に幕を閉じた一方で、批判もあった。

「ビッグネームが決まっていたのですが、直前でキャンセルになってしまって。でもギリギリまで変更を重ねて最善のものにしていくのが広告の仕事。その精神があったので、くじけずに団結できていました。来場してくださった方には、ギリギリまで出演者を明かせないなど、ご不便をおかけしてしまった部分もありました」

 2月25・26日には早くも『KROSS vol.2』の公演が決定。ヘッドライナーにはENHYPEN、BLANK2Yや、元King & Princeの岩橋玄樹が出演することも発表された。

「今後もKポップを中心に、いろいろなものを“クロス”する場にしたいです。日本はもちろん、韓国や台湾などでもイベントを行って、これまでにないものにしていきたいです。第1回に出演してくれた7ORDERは、アリーナクラスのライブはしたことがありましたが、ドームは初めてでした。なので、日本のアーティストにとってもチャレンジできる機会になればと考えています。そして韓流はブームではなく、もはや文化。エンタメを通して、日本と韓国をつなぎ、たくさんの人を笑顔にしていきたい」

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