31歳でミスコン準優勝 元仮面女子・雪乃しほりが目指す30代からの役者の道「私の夢に年齢制限はない」

元仮面女子で同ユニットのリーダーを務めた雪乃しほりが、昨年、ミスコンの日本大会「Miss Galaxy of Beauty 2022」で準グランプリを獲得した。会社員を辞めて24歳で飛び込んだアイドルの世界。30歳を機に卒業し、現在は先輩俳優が集う新宿のバーで働きながら役者の道で奮闘中だ。そんな中、31歳で舞い込んできたミスコンへの挑戦。「夢を追いかけることに年齢は関係ない」と話す彼女の半生に迫った。

2023年最初の舞台に向けて気合十分の雪乃しほり【写真:ENCOUNT編集部】
2023年最初の舞台に向けて気合十分の雪乃しほり【写真:ENCOUNT編集部】

元仮面女子・雪乃しほりは飲食店で働きながら芝居の道へ

 元仮面女子で同ユニットのリーダーを務めた雪乃しほりが、昨年、ミスコンの日本大会「Miss Galaxy of Beauty 2022」で準グランプリを獲得した。会社員を辞めて24歳で飛び込んだアイドルの世界。30歳を機に卒業し、現在は先輩俳優が集う新宿のバーで働きながら役者の道で奮闘中だ。そんな中、31歳で舞い込んできたミスコンへの挑戦。「夢を追いかけることに年齢は関係ない」と話す彼女の半生に迫った。(取材・構成=福嶋剛)

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――子どもの頃からアイドルを目指していたのでしょうか?

「まったく芸能に興味がない子どもで高校までバスケットボールや弓道をやっていたスポーツ女子でした。でも中学1年生のとき、友達の付き添いで『モーニング娘。』さんのオーディションを受けたことがあって、私は合宿の手前まで進んでしまい、友達は途中で落ちてしまったので友情を取って辞退しました」

――学校を卒業してから会社員として働いていたそうですね。

「接客業をやりたくてブライダル系の仕事に就きました。最初は和婚ができる都内にある老舗の料亭で引き出物の販売員や披露宴の配膳、照明、音声といった裏方をやっていて、そのあとジュエリーの販売員の仕事もやりました。そこで周りの人から『アイドルとかモデルの仕事に向いているよ』と言われるようになり、中学の頃に受けたオーディションを思い出して、人生一度きりだから挑戦してみようと決めました」

――仮面女子のオーディションを受けたきっかけは?

「もともとお芝居がやりたかったのですが当時24歳という年齢から入れる事務所がほとんどなくて、次にアイドル事務所を探していたら仮面女子の事務所が年齢ギリギリで応募可能だったんです。でも1回目は不合格。でも当時は見習い生として有料ブログ会員の購読者数を100人集めたら事務所に入れるという敗者復活制度があって、日中はアイドル喫茶でアルバイトをしながら夜はツイキャスで配信をしてなんとか2か月後に100人集めて事務所に入りました。先輩として猪狩ともかちゃんも一緒に頑張っていた仲間です」

――当時、24歳だった雪乃さんが年齢差10歳以上のメンバーとどのように交流していったのでしょう?

「私が入ったとき、現在の仮面女子のリーダー・木下友里ちゃんが当時12歳で彼女の方が少し先輩でした。それまで年功序列の社会で生きてきたので最初は戸惑いました。でも社会人として経験した聞く力を生かしてメンバー1人1人と家族のように接するところから始めました」

――雪乃さんにとって猪狩さんとの出会いも大きかったそうですね。

「私の人生の中で猪狩さんからもらった元気や勇気を超えるものはありません。猪狩さんとは見習い生時代から先輩後輩の間柄で、最初から笑顔の絶えない女の子だった訳ではなく、昇格できなくて泣きながら『もう辞めたい』って言っていた彼女をそばでたくさん見てきました」

――ご存じの方も多いと思いますが猪狩さんは事故で車いす生活となりましたが、持ち前の精神力でふたたびステージに戻り、現在も仮面女子のメンバーとして多方面で活躍されています。

「そうですね。……事故に遭ったときの猪狩さんを思うと今でも感情を抑えきれなくなります。猪狩さんが事故に遭って彼女の代理としてリーダーを務めることになりましたが、あまりにもショッキングな出来事だったのでずっと落ち込んでいました。そして、ようやく彼女と面会できることになり、なんて声をかけたら良いのか分からないまま病院に行くと、猪狩さんが『ごめ~ん! 今から準備してくるね(笑)』ってすごい笑顔で迎えてくれて。『落ち込んでいたのは私の方だった』って。猪狩さんは必ず戻ってくるとそこで確信しました。それからは猪狩さんの復帰を待っているファンのために戻ってくるまで頑張ろうって強い気持ちに変わりました」

――そして猪狩さんがステージに戻ってきました。

「こんなにハートの強い人と見習い生時代から一緒にすごしてきたんだって誇らしく思えましたし、言葉では表現できないくらいうれしかったです。何よりファンのみなさんの顔を見ながらとっても温かい気持ちになりました」

雪乃しほりが驚きの表情…「Miss Galaxy of Beauty 2022」準優勝の瞬間【写真:本人提供】
雪乃しほりが驚きの表情…「Miss Galaxy of Beauty 2022」準優勝の瞬間【写真:本人提供】

飲食店でアルバイトをしながら芝居の世界で奮闘中

――雪乃さんは30歳を迎えた2021年、仮面女子を卒業して事務所も退所されました。

「昔から30歳まではアイドルを続けますと宣言してきたので自分の中でやりきった感がありました。会社員の頃にはまったく想像していなかった世界をいっぱい見せてもらい、雪乃しほりとして人生に爪痕を残したぞって(笑)。楽しい思い出もつらい思い出もすべて詰まった6年間は宝物です」

――事務所を辞めてから芸能活動はやらないつもりだったと?

「そのつもりで求人サイトを見ながら仕事を探していたんですが、事務所の社長さんから『もともと役者志望で入ってきたんだから最後に一度だけでもいいから舞台に立ってみなさい』と言われ1回だけやってみようと決めました」

――舞台に立ってみていかがでしたか?

「それがコロナ禍で延期になってしまったんです。そしたら、たまたま別のところから話をいただいて1日だけの小さな舞台に立ってみました。それがすごく楽しくて、そのあと延期になっていた舞台にも立てて、役者の道に進もうって決めました。といってもフリーランスなので、今もライバーとして配信をやったり、監督さんや役者さんたちが集まる新宿の飲食店でアルバイトしながら生活しています」

――昨年はミスコン「Miss Galaxy of Beauty 2022」の日本大会で準グランプリに輝きました。きっかけは?

「知り合いの関係者の方に『ミスコンに出てみないか?』と誘われたんです。年齢制限ギリギリでしたけど(笑)。何かに挑戦できるって自分を成長させるチャンスだと思っていて、未経験のことばかりで大変でしたが、新たな自分を見つけることができましたし自信にもつながりました。でも一番の収穫はファイナリストのみなさんと仲良くなれたことです。私自身、大会を見に来てくださるお客さんのためにちゃんとまとまらないといけないという気持ちがすごく強かったのですが、ファイナリストのみなさんとのコミュニケーションを通して、あらためて全員で支え合うことの大切さを学びました。先日、私が1日店長をさせていただいたお店にみなさん遊びにきてくださって、今でも連絡を取り合う仲なんです」

――1月から新たな舞台も始まります。

「赤坂レッドシアターで1月18日から始まる『SECURITY BOYS!!!!!』という舞台なんですが、やる気のないダメダメ警備員のおじさん4人がダメダメな職場環境を守るために経営者と攻防を繰り広げるという爆笑コメディーで私は謎の多い秘書役をやっています」

――今後の目標を教えてください。

「少しずつお芝居の面白さが分かってきたので今年は舞台に加えて、映画などの映像作品にも出演できるように頑張りたいです。個人的には社会問題を題材にした作品に興味があるので、そういったジャンルが得意な役者を目指したいです」

――24歳でアイドルに挑戦して、30歳で夢だった役者の切符をつかみ、31歳でミスコンの準グランプリを獲得しました。雪乃さんは「遅咲き」かもしれませんが、思い切り人生を謳歌(おうか)している印象です。

「まだ全然咲いてないですから(笑)。私がずっとアイドル時代から大切にしている言葉が『夢を追いかけるのに、年齢なんて関係ない』なんです。アイドルの時代からそれを体現してきたのでこれから何歳になっても挑戦することはやめないと思います」

――雪乃さんにとって年齢とは?

「ただの記号みたいなものです」

□雪乃しほり(ゆきの・しほり)埼玉県出身。2021年6月にアイドルグループ仮面女子卒業後、女優業に転身。22年「Miss Galaxy of Beauty Japan2022」日本大会にて準グランプリを受賞、赤坂REDTheaterにて『SECURITY BOYS!!!!!ー奪還せよ俺らの職場(パラダイス)!』に出演予定(1月18日~1月22日)。

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