スープラ4台乗り継ぐ女性オーナー、カスタム総額は1000万円超 「稼いだ全てをつぎ込んだ」

このド派手なピンクパープルのスープラは、移動中に撮影者が現れる伝説の1台だ。昨年はスープラの全国ミーティング「80スープラ」部門で1位に選ばれた。女性オーナーのNAOさんは、今年で6回目を迎える「ガールズカーコレクション」(11日、アイメッセ山梨)の主催者でもある。18歳で免許を取って以降、4台のスープラを乗り継いできた筋金入りのスープラ乗り。愛車への思いに迫った。

NAOさんの80スープラ【写真:NAOさん提供】
NAOさんの80スープラ【写真:NAOさん提供】

「もう慣れましたけど…」追っかけられるスープラ

 このド派手なピンクパープルのスープラは、移動中に撮影者が現れる伝説の1台だ。昨年はスープラの全国ミーティング「80スープラ」部門で1位に選ばれた。女性オーナーのNAOさんは、今年で6回目を迎える「ガールズカーコレクション」(11日、アイメッセ山梨)の主催者でもある。18歳で免許を取って以降、4台のスープラを乗り継いできた筋金入りのスープラ乗り。愛車への思いに迫った。(取材・文=水沼一夫)

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 1995年式のトヨタスープラJZA80は、通称80スープラと呼ばれる。

「今の車はもう17年ぐらい乗っています。スープラ自体は4台目なんですね。18で免許を取って、最初は70型のスープラに乗って、その後80型のスープラを3台乗り継いでいます。元々免許を取ったときはオートマ限定で取っていたので、70スープラはオートマ車だったんですね。なんですけど、車屋さんに勤めてトラックとか運転しなきゃいけなかったので、マニュアルを取り直して、今はマニュアルのスープラに乗っています」

 4台のスープラの中で最も長く乗っている愛着のある1台は、カスタムの歴史も長い。「その間、車の色を塗装し直したりとか全部エアロ(外装パーツ)を変えてみたりとかして、やっと思い描いていたものに近づいていると思っています」と、理想のスープラに仕上がりつつある。

 現在のボディーカラーにしたのは2015年。きっかけは1986年から92年まで放送されていたTBS系「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」だった。「加藤茶さんが『ちょっとだけよ』と言って、紫っぽいピンクっぽいライトを浴びるシーンがあるんですけど、小学生ながらすごくきれいな色だな、かわいいなと思ったんです。その色がまさにこういう色でこれにしようと。念願の色です」。

 珍しい色だけに、当然、注目を浴びた。

「遠くからでも分かるみたいで、ちびっこがよく手を振ってくれます」と大人気。さらに移動中に動画で撮影されることも日常茶飯事だという。「ちょっと都心の方に仕事とかで行ったりすると、交差点でカメラを待ち構えていて撮られています。もう慣れましたけど、最初は『え、何? カメラが向いている。なんだなんだ』と思いました」。海外の自動車ファンからも熱視線を集め、SNSでメッセージをもらうこともある。

「初めて会った方から『この車は賞を取ってばかりですごいですね』って言われたことがあるんですけど、私あんまりイベントとかも行ったことがなくて、『何を見てそう思ったんですか?』と聞いたら、ガールズカーコレクションのSNSに絶対的に輝いているスープラが出てくるって言うんですね。でも、あれは私が主催をしているので一度も賞は取ったことないんですよ。逆に参加者になって撮ってみたい。トロフィーとかもらってみたいなと(笑)」

新作ホイールの色使い【写真:NAOさん提供】
新作ホイールの色使い【写真:NAOさん提供】

総額1000万円超え、驚きのカスタムの中身

 主催イベントでは無冠でも、スープラの全国ミーティングの80スープラ部門で1位に輝くなど、熱烈なマニアからも支持されている。「先日もドレスアップカーコンテストのスポーツカー部門で2位をいただきました。それもすごくうれしかったですね。いろんなジャンルのスポーツカーがいる中で、2位をもらえたので」。

 エアロはおしゃれよりもスポーツカーらしく空気抵抗を考慮したものを取りつけた。カーボン製で、丈夫で軽く、速度も出やすくなる。ホイールはアルミホイールメーカー、ワーク社製のZR102Pという新作ホイールで、色を使い分けている。中心から棒状に伸びるスポークと呼ばれる部分は黒、円の部分はブロンズだ。室内ではレーサーがよく使うブリットシートを運転席と助手席に配置した。

「すごく運転しやすいというか日本人の体に合っているデザイン、設計。私腰痛持ちで、30分運転するとすごく腰が痛くなるんですね。このシートに変えてからまるきり痛くなくて、このあいだ大阪まで出張に行ってきたんですけど、全然痛くなくて、休憩するのを忘れて逆に車に悪いなと思って、ちょっと車のためにパーキングに寄ったくらい。やっぱり考えられているものってすごいな、シートって大事だなと実感しました」

 カスタムの中には、自身でデザインして作ったものも。ひときわインパクトを放つのが後部のウイングだ。

「GTウイングが大きくて一度注意されたことがあるのですが、翼端板がボディーとくっついていれば問題無いと教えてもらったので、翼端板をデザインしました。トランクルームに設置しているので開きません」

トランクに埋め込んだ音楽システム【写真:NAOさん提供】
トランクに埋め込んだ音楽システム【写真:NAOさん提供】

スープラを維持するための苦労「恥ずかしい話…」

 トランクが使用できないとなれば、さぞかし不便かと思いきや、「トランクはそれこそカスタムの一部なんですけど中にウーファー(低音再生スピーカー)とか、アンプが埋め込んであるんですね」。カスタム総額は1000万円超えというスープラは、心地よい運転を補助する機能でいっぱい。「スポーツカーで音楽をこだわる方がどのくらいいらっしゃるかは分からないのですが、マフラー音が大きかったりエンジン音が聞きたい! と言う方もいらっしゃるので。ドライブの際の快適空間を作るには音楽の音の質も欲しいなと思っています」と、趣味を追求している。

 それにしても、なぜこれほどまでにスープラに乗り続けるのだろうか。

「スープラが好きな理由はまず運転席が全て自分の方に向いているんです。インパネ周り、メーター類、シフトノブとかが運転者側に向いていて、自分だけの空間が作られている車なんですね。あとエンジンは詳しくないですけど、すごく私と相性がいいというか、アクセルを踏んでいったときのあのダイレクト感とかすごく伝わってくる車だなと思っていて、速さもあるのですごく乗っていて楽というのもありますね。本当に踏んだらそのまま速度になってくれるので、高速道路とかでもすごく運転しやすい車だから好きというのありますね」

 メーター類をたくさんつけているドライバーもいるが、「私はあんまりつけたくない派」と話す。「自分の前のインパネ周りとあと助手席の前にちょっとついているかなっていうぐらいでシンプルです」という。

「私が18から今までスープラを乗り継いでいる中で、やっぱりやめようかなとかもう乗り換えようとか思ったことは正直あるんですよ。お金が本当になくて修理代が払えなくて、4年間ぐらい車検を取らずに、ずっと寝かせていたときもあったんですね。でもやっぱり車が楽しいというのはありましたし、壊れて直せないけど、いつかはまた元気に乗りたいなと思って(手放さなかった)。稼いだお金を全てスープラにつぎ込んできた感じだったので、恥ずかしい話、貯金もないし、美容院には行くけれども4か月に1回にしたり、ネイルも好きだけど、ネイルサロンは1回1万円とかするから行けないからジェルネイルキットを買って自分でずっとやっていたんですね。マツエクも自分で一本づつやっていました。節約、節約をして、スープラを維持するためにどうにかこうにかって今までやってきたので、もう本当分身というか家族、相棒、なくてはならないものですね」

 買い替えまでの間にRX7やスターレット、マークIIに乗ったこともある。しかし、それは浮気ではない。「足車というか中継ぎというんですかね」との位置づけだ。一途に、スープラだけを愛してきた。

「あのコックピット感とか、私にはスープラしか運転できないみたいな気持ちはありますね。もうずっとお買い物も、何をするにも1台しかないので」と力を込めた。

次のページへ (2/2) 【写真】スープラのド迫力のウイング、レーサー仕様のシート、アザーカット
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