「AKB48歌唱力シリーズ」仕掛け人が「ファイナリストLIVE」出演メンバーに贈る“感謝の言葉”

(左から)NGT48三村妃乃、AKB48村山彩希、STU48今村美月
(左から)NGT48三村妃乃、AKB48村山彩希、STU48今村美月

STU48今村美月の「音楽への愛情にあふれている」

■今村美月(STU48)
・ファイナリストLIVE出演:初
・ソロ歌唱:「女の子は誰でも」(東京事変)/「ブギートレイン’03」(藤本美貴)

 今村さんは歌い方を含めて、その一挙手一投足が音楽への愛情にあふれている。リズム感、ビート感、アンサンブル能力、持っている音楽性はスペシャリストの域です。

「東京事変」のジャズっぽい「女の子は誰でも」を選曲で出してきたときに、さすがだなと思いました。「年下の男の子」(キャンディーズ)も今村さんのノミネートで、「ブギートレイン’03」(藤本美貴)を含めて、管楽器がほしいなと思いまして、コーラスの会原実希さんに「サックスやってもらえませんか?」と、今まで我慢していたことをついに言い出してしまいました(笑)。サックスを吹けるのは知っていたんですけど、サックスを吹いてコーラスをやって、サックスを吹いてコーラスをやって、フルートを吹いてコーラスをやって、タンバリンも叩いて……、会原さんはすごいことをやっているので、ぜひ放送で見てください。

「はじまりの唄」(Nona Diamonds)の難しいハモリは、オリジナルでは(元NMB48)山崎亜美瑠さんがやっていたところを全部、今村さんに担当してもらいました。「年下の男の子」も1人だけハモリ、「群青」(YOASOBI)も(AKB48岡田)奈々さんと一緒に下ハモをやっています。ハモリへの絶大な信頼があって、本当に助かりました。

 今村さんは緊張しいな部分があるのと、歌唱力No.1決定戦の予選ではピアノ伴奏でのソロ歌唱なので強みを出し切れず、少し苦労されていましたけど、今回初めて決勝大会まで勝ち上がってきたと思ったら、自分の武器をいかんなく発揮されていました。ファイナリストLIVEをより華やかにしてくれたし、音楽が好きな人にとっては、あの空間がどれだけ贅沢か分かると思うので、特に楽しんでもらえたのではないでしょうか。きっとまた、ファイナリストLIVEを目指して、歌唱力No.1決定戦に参加してきてくれるはずです。

■三村妃乃(NGT48)
・ファイナリストLIVE出演:3大会連続3回目
・ソロ歌唱:「ロミオとシンデレラ」(doriko feat.初音ミク)/「カブトムシ」(aiko)

 三村さんはミュージカルナンバーのイメージが強いなか、「初音ミク」という選曲は過去に何回か打ち合わせで出ていたんですけど、正直コンテスト向きではないと思っていました。ボカロの曲はボーカリストの良さが出しづらいところ、生バンドで演奏するのが大変なところがあったんですが、ファイナリストLIVE当日(8月31日)が初音ミクの誕生日だからという理由でついに解禁しました(笑)。

 三村さんはボカロ曲も好きで、実はバンドメンバーでギターの三沢崇篤さんは、初音ミクのライブで演奏する本物の初音ミクバンドのギタリストなんです。ドラムの髭白健さんもイベントによっては担当されていて、そのメンツと初音ミクの曲を歌えるということで、すごく喜んでいました。

 今回、三村さんは(SKE48)古畑奈和さんと表現系の曲をやりたいと言っていて、「ギラギラ」(Ado)をデュエットしましたが、ビート感もハモリも難しいなかで、見事にハマっていましたね。滑舌の良さ、ストレートな音色の良さが三村さんの魅力ですけど、彼女がさらにもう一段階、歌い手として幅を広げて進化するためには、何かきっかけが必要だとも思っています。それで、古畑さんと“共演”したいと希望したのかなと。搭載しているエンジンは強いけど、まだまだ未開発の部分があるので、“表現お化け”の古畑さんとの時間を経験して、次の大会に向けて進化するんじゃないかと期待しています。

(左から)STU48清水紗良、SKE48古畑奈和、AKB48岡田奈々
(左から)STU48清水紗良、SKE48古畑奈和、AKB48岡田奈々

SKE48古畑奈和は「異次元レベルのプロのアーティスト」

■古畑奈和(SKE48)
・ファイナリストLIVE出演:2大会連続2回目
・ソロ歌唱:「悪魔の子」(ヒグチアイ)/「I beg you」(Aimer)/「ひかりさす」(本人オリジナル)

 これはご本人とも話をして、今だから言えますけど、3年くらい前までの古畑さんは、自分の好きなピッチ、リズム感で歌っていて、あまり音楽的ではない印象でした。もし、そのまま歌唱力No.1決定戦に出ていたら、決勝大会進出は難しかったかもしれません。

 でも、(2020年10月の第3回大会で初めて)歌唱力No.1決定戦に出ると決めたときに、歌い方を根本的に構築し直していたんです。古畑さんも、最初からあれほどハイレベルな歌唱をできていたわけではない。裏の努力を見せたがらないタイプの方ですけど、取り組んできたことの数々、研究量は想像を絶するレベルです。レッスンの仕方とか、ボイトレの先生の選択まで自分の意思を持ってやっていました。今は音楽的な研究を重ねに重ねたうえに、自分の表現方法を乗せているので、異次元レベルのプロのアーティストです。もうリスペクトしかありません。

「悪魔の子」の曲中に、声がかすれながら消えていって間奏に入るところがあるんですが、リハーサルを何回やっても、同じかすれ方をする。どうやって音を切れば一番雰囲気が出るかを考えて、これで行くと決めて全部やっていて、研究量がすさまじいからあんな妖艶なパフォーマンスができるんです。あと、今回のファイナリストLIVEはかわいかったですね。久々にロングヘアで清楚な古畑さんで、(AKB48岡田)奈々さんが恋していたのが印象的でした(笑)。

 第1回大会から出てほしかったとは思いますよね(笑)。でも、出ると決めたからには、とことんやるのが古畑さん。コンテストに興味がないタイプの方ですけど、出るんだったらコンテスト仕様に仕上げるのが彼女のすごさです。歌唱力No.1決定戦では、歌が上手いだけでは輝けません。そこにどう向き合って、どこまで作り上げるか。そのプロフェッショナルさがあったからこそ、ゴスペラーズの黒沢薫さんの心を動かせたし、卒業曲「ひかりさす」をプロデュースすることも快諾されたんだと思います。古き良きSKE48のイズムを後輩に伝えて卒業してほしいと伝えています。SKE48の後輩メンバーには、自分で古畑さんを捕まえて、吸収してほしいです。

■清水紗良(STU48)
・ファイナリストLIVE出演:初
・ソロ歌唱:「みっくしゅじゅーちゅ」(大森靖子)/「かたちあるもの」(柴咲コウ)

 初出場だった第3回大会は、決勝大会に出場する権利を手にしながら活動休止で辞退でした。その大会で同じSTU48 2期生の池田裕楽さんが優勝して、悔しい思いもあったはずです。清水さんはほかのメンバーたちにはない、10代ならではのフレッシュな歌で、初のファイナリストLIVEを満喫していましたね。

「みっくしゅじゅーちゅ」は、ほかのメンバーたちも見とれるほど、かわいかったです。歌唱力No.1決定戦はストイックさを求められる大会ですが、純粋にステージで歌うことが楽しいとほっこりさせてくれて、それと同時に、バラードを歌うときはすごく芯が強くて、メッセージ性もある。普段は普通の10代の女の子なので、そのギャップが素敵でした。

 清水さんは以前から(AKB48)村山彩希さんのことが大好きで、「年下の男の子」(キャンディーズ)でユニット共演できて、すごく喜んでいましたね(笑)。第2回ファイナリストLIVEの(STU48)峯吉愛梨沙さんもそうでしたけど、“ガチ勢”が多いなかで、華やかさとかわいいさをもたらしてくれて、いいバランスにしてくれたと思います。歌い手としてはまだまだ粗削りで、伸びしろは十分です。その奔放さ、自由さ、力強さをキープしながら、精度が増していけば、池田さんの良きライバルになる存在だと思います。

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