台風接近で最終日は中止も2日間で6万人熱狂 イナズマロックフェスが3年ぶり現地開催

滋賀県出身のアーティストで滋賀ふるさと観光大使である西川貴教が、滋賀県草津市で国内最大級の野外フェス「イナズマロックフェス2022」(※以下「イナズマ」)を行い、2日間で6万人を動員した。イベントは17日、18日、19日の3日間で開催する予定だったが、台風14号の接近に伴い19日の公演を中止とし、17日、18日の2日間となった。

イナズマロックフェスに出演した「T.M.Revolution」西川貴教
イナズマロックフェスに出演した「T.M.Revolution」西川貴教

初日のトリは“常連”ももいろクローバーZ

 滋賀県出身のアーティストで滋賀ふるさと観光大使である西川貴教が、滋賀県草津市で国内最大級の野外フェス「イナズマロックフェス2022」(※以下「イナズマ」)を行い、2日間で6万人を動員した。イベントは17日、18日、19日の3日間で開催する予定だったが、台風14号の接近に伴い19日の公演を中止とし、17日、18日の2日間となった。

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 西川は2008年に観光大使に就任。翌09年に「音楽を通じて地元にお返しがしたい」として琵琶湖の環境保全と地域振興を目的としたこのイベントをスタートさせた。コロナ禍において20年はオンライン開催、21年は開催中止としたが、このたび新型コロナウイルス感染症対策を徹底して、通算14回目3年ぶりの現地開催。また新たに、脱炭素の取り組みを強化した「カーボンオフセット」での実施となった。

 会場は、遠くに比叡山、すぐそばに琵琶湖という、滋賀の壮大な風景を臨む琵琶湖畔の烏丸半島芝生広場。ライブが行われるメインステージ「雷神ステージ」を備える有料エリアのほかに、誰でも無料で入場できるフリーエリアも充実しており、こちらにはメジャーアーティストやアイドルのライブが行われる「風神ステージ」、ご当地キャラクターやパフォーマーが出演する「龍神ステージ」、滋賀のご当地グルメが楽しめる飲食ブースや滋賀県観光PRコーナーに加え、子ども連れも安心のキッズスペースも設置されている。

 今年のメインステージ「雷神ステージ」には、T.M.Revolution、西川貴教をはじめ、ももいろクローバーZ、東京スカパラダイスオーケストラ、櫻坂46、アイドルマスター SideM、Vaundyなど多彩な全16アーティストが出演した(※中止となった3日目には、西川のほかにLittle Glee Monster、OCTPATH、モーニング娘。’22、ClariS、Novelbright、布袋寅泰の出演が予定されていた)。またステージ転換の間は人気芸人14組が登場。ものまね芸人・JPをはじめ、M-1グランプリ2021ファイナリストのランジャタイなどが客席を盛り上げた。

 初出演となる櫻坂46は、2022年4月リリースのシングル「五月雨よ」をはじめ、ヒットナンバー「流れ弾」「BAN」など全5曲をプレイ。滋賀県出身のメンバーである武元唯衣は、4年前に観客として「イナズマ」に参加したと言い、「滋賀県ただいま。イナズマロック フェスが近づいてくると街全体が盛り上がる、滋賀にとって特別な時期。そのステージに立てる日が来ると思っていなかったので、今日は滋賀県に恩返しできるステージにしたいなと思います」と感激した様子で話した。

 同じくイナズマ初出演の東京スカパラダイスオーケストラは、ミントグリーンのスーツ姿で登場。茂木欣一は「みんなも3年ぶりにこの場所に帰ってきてとんでもなく喜びで胸がいっぱいだと思います。それがめちゃめちゃ伝わってきます。その熱い気持ちは、たとえ消臭力でも消すことができない」と、西川がCMに起用されている「消臭力」の名前を出してイベントの熱を伝えた。

 19年以来2度目の出演となる西川は「Crescent Cutlass」「As a route of ray」「The Barricade of soul」「Claymore」をプレイ。またFear, and Loathing in Las Vegasが西川に提供したナンバー「Be Affected」では、メンバーのSoとMinamiがステージに現れ西川とコラボ、激しいシャウトを聴かせた。「本当に短い時間でしたが、久々のイナズマ、本当に沁みました」と、ラストはテレビアニメ「ブッチギレ!」のオープニングテーマ「一番光れ!-ブッチギレ-」を披露。ステージを右から左へと走り回り、圧巻の歌唱力とパフォーマンスで客席を揺らした。

 1日目のトリを飾ったのは、イナズマの常連でもあるももいろクローバーZ。高城れにが体調不良により急遽欠席となったが、百田夏菜子・玉井詩織・佐々木彩夏の3人でそれを感じさせない完璧なフォーメーションでのステージを披露。「行くぜっ!怪盗少女」に始まり、「stay gold」「The Diamond Four」「Hanabi」「ツヨクツヨク」「サラバ、愛しき悲しみたちよ」と、アップテンポからスローに聴かせる曲まで、全6曲でオーディエンスを湧かせた。アンコール1曲目は「走れ! -ZZ ver.-」、その後西川が紫(高城れにのメンバーカラー)のTシャツを着て登場。「れにちゃんに用意してあったTシャツ、そのまま着られました。(高城の)魂が入ってます!」とメンバーの健闘を讃え、エールを送った。

イナズマロックフェスで大トリを務めたT.M.Revolution
イナズマロックフェスで大トリを務めたT.M.Revolution

2日目はイナズマ初出演のDISH//からスタート

 橋川渉草津市長が開会宣言を行った2日目のトップバッターは、イナズマ初出演の4人組バンド・DISH//。「イナズマロック フェスみんな待ってたんだよな、飛ばして行くんでみんな楽しんでください」と、7月13日配信リリースのドラマ「ユニコーンに乗って」主題歌「しわくちゃな雲を抱いて」をはじめ、「僕たちがやりました」「沈丁花」「No.1」「勝手にMY SOUL」と、ドラマやアニメでおなじみのナンバーを繰り出すと、客席は大きく手を振って応える。霧雨が降る中、最後は「猫」で締めくくった。

 続いては、こちらもイナズマ初出演となるアイドルマスター SideM。ドラマチックアイドル育成ゲーム「アイドルマスター SideM」の16ユニット49人の所属アイドルから、今回は代表して12人が出演。ロックフェスに出演するのは初めてという彼らは、「西川さん、すばらしいですね。こんなにきれい美しい景色を見せていただけるなんて。みんな(客席)の手の上がる感じがすごく嬉しいです(仲村宗悟)」と、客席に笑顔を見せた。煌びやかな衣装に身を包み、「Growing Smiles!」「バーニン・クールで輝いて」「笑顔の祭りにゃ、福来る」「Beyond The Dream」「NEXT STAGE!」と立て続けにパフォーマンス。ラスト曲「DRIVE A LIVE」は、指を「M」の形にする「SideMポーズ」をレクチャーして盛り上がり、客席の心をひとつにした。

 その後は、イナズマ初出演のシンガー・ソングライター、Vaundyも登場。ステージでも、後ろ向きで歌ったり金髪のウェーブヘアで顔をはっきりと見せないスタイルのパフォーマンスで、純粋に曲の世界へと誘う。「不可幸力」「踊り子」「恋風邪にのせて」「napori」「裸の勇者」「東京フラッシュ」「花占い」「怪獣の花唄」と全8曲をプレイ。ステージに設置されている大型スクリーンにもライブ中の映像は流さない、スポットも当たらないシンプルな照明の中で歌う姿は、曇り空のイベントにマッチしていた。「緊張してる」と言いながらも堂々としたステージ、そして豊かな表現の歌声に客席は酔いしれた。

 2日間の大トリをつとめたのはT.M.Revolution。図らずも1日早くイベントの最後を迎えることになったため、用意していたセットリストを急きょ変更してプレイすることになった。「Inherit the Force」に始まり、続けて「Naked arms」へ。「3年ぶりのイナズマロック フェスにお集まりいただき、誠にありがとうございます。明日の3日目は残念ながら中止となってしまいました」と、改めて西川の口から翌日の中止が発表になる。しかし、客席の心配を吹き飛ばすように「LEVEL4」、そして「誰ですかもう夏は過ぎたなんて言ってる人は、これが終わるまで夏は続くでしょうが!」と「HIGH PRESSURE」へ。さらに「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」と立て続けに大ヒットナンバーを今のT.M.Revolutionに合わせたアレンジで繰り出すと、客席は息つく間もなく盛り上がった。

「いきなりの寂しい話題で申し訳なかったですけど、これはつまり続けろってことだと思うんで、また1年準備して来年を迎えたい」「(今回も)たくさんのアーティストのファンがみんな集まっていろんなやりとりがあったと思う。新しい発見、新しい出会いがあるのがここ、滋賀であってほしいと思います」と話すと、まるで演出であるかのように大粒の雨が降り始めた。そうして始まったラストナンバー「HEART OF SWORD」、西川が歌い始めると自然に雨足が弱まり、最後は涼しい風が吹き抜けた。

 アンコールの手拍子に応えて再び登場した西川は、アイドルマスター SideMの仲村とかつてほかのイベントで共演したことのあるDRAMATIC STARSの楽曲「DRAMATIC NONFICTION」を2人で歌い上げた。そして最後は「もっとやりたい! この名残惜しい気持ちを残して、最後に本当は明日やるはずだったこの曲!」と、イナズマ最終日の定番曲「Lakers」をプレイ。「もしよかったら、来年またこの場所で皆さんと会えることを……約束させてもらっていいですか。また会おうぜ!」とステージを後にした。

 台風の影響による曇り空の中での開催、そして3日目は中止となったが、イナズマロックフェスらしい多彩なアーティストによる今年の夏の祭典はこうして幕を下ろした。

次のページへ (2/2) 【写真】「イナズマロックフェス2022」の様子
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