お嬢様が暴走族との“闘い”を始めた理由 ゴミ清掃で話題もきっかけは「不純な動機」

今年6月、佐賀県佐賀市で深夜から早朝にかけ、バイク集団による暴走行為があった。多くの近隣住民が騒音被害に悩まされたが、それと同時に“暴走族”は周辺に多くのゴミも残していった。この迷惑行為に立ち上がったのは誇り高き“お嬢様”たち。佐賀大学の非公認サークル「お嬢様部」に所属する学生らが、早朝から清掃活動に取り組み、大きな話題を呼んだ。多数のメディアで紹介され一躍有名になったが、その後、変化はあったのだろうか。佐賀大学「お嬢様部」の部長に話を聞いた。

暴走族が残したゴミの清掃で話題となった“お嬢様”たち
暴走族が残したゴミの清掃で話題となった“お嬢様”たち

清掃活動は「100%“良いこと”をしようと思ってたわけではない」

 今年6月、佐賀県佐賀市で深夜から早朝にかけ、バイク集団による暴走行為があった。多くの近隣住民が騒音被害に悩まされたが、それと同時に“暴走族”は周辺に多くのゴミも残していった。この迷惑行為に立ち上がったのは誇り高き“お嬢様”たち。佐賀大学の非公認サークル「お嬢様部」に所属する学生らが、早朝から清掃活動に取り組み、大きな話題を呼んだ。多数のメディアで紹介され一躍有名になったが、その後、変化はあったのだろうか。佐賀大学「お嬢様部」の部長に話を聞いた。(取材・文=石井宗一朗)

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 暴走行為が起きたのは佐賀大学・本庄キャンパスの目の前。周辺に住む生徒も多く、すぐさま学生の間でも騒ぎとなった。当時、バイトから帰路についていた部長もこの現場に遭遇。騒音やゴミに「これはひどいな」と感じた。

 騒音で中々寝付けなかったといい、部員同士で暴走族に「ギャフンと言わせてやろう」という流れに。しかし、さすがは“お嬢様”と言うべきか、その方法は攻撃的なものではなく、“エレガント”なものだった。

「私と副部長(2年生)ともう1人3年生の部員の方が散乱しているゴミを見て、『私らで全部ゴミを拾ってやろう』という話になりました。暴走族への対抗心みたいな感じで、ゴミを拾いましたね」

 騒音で寝付けないまま早朝を迎え、そのまま現場に向かった。開始時刻は午前4時。ギャラリーが多く残っていた時間帯は「拾ったそばから落とされてもかなわない」という理由で避けた。

 ギャラリーも次第に興味を失い、その多くが帰宅していたが、依然として暴走行為は続いていた。暴走族から声をかけられることはなかったが、残っていたギャラリーの中には、ややマナーに欠ける行為も。「目の前にゴミ箱があるにも関わらず、わざわざ私たちの持っているゴミ袋にタバコの吸い殻を入れてきたりされて、ちょっと『何だかな……』と思いましたね」。

 こうして始まった清掃活動。当時の心境を「“お祭り”みたいな感覚」と振り返る。

「暴走族は暴走で盛り上がってましたが、『私らは私らで勝手に盛り上がろう』となりました。暴走族サイドには協力したくなかったので、対抗勢力として勝手に盛り上がってた感じです。100%“良いこと”をしようと思ってたわけではなく、ちょっと不純な動機です(笑)。対抗心を燃やしながらお祭り感覚でゴミ拾ってたので、ストレスはなかったですね」

清掃活動は午前4時から開始
清掃活動は午前4時から開始

変装して臨んだメディア出演、知人には身元バレ

 楽しみながら行った清掃活動だったが、結果的に多数のメディアに取り上げられ、大きな話題に。身近な部分で反響もあった。

「学内を歩いていると写真をお願いされたり、親戚から私がテレビに出ている動画が送られてきたりしました(笑)。ずっと連絡をとっていなかった中学の友達から『もしかして、これあなた?』みたいな感じで連絡がきたりもしましたね」

 知人には身元バレしたものの、メディア出演時は“変装”してインタビューに臨んだ。ジャージにハート型のサングラス、ヘッドドレスを着用。個性的ないでたちが世間の関心を集めた。

「あのときは“ジャージハーフアップ祭り”をお嬢様部でやっていました。友人が『ジャージにハーフアップの髪型で学校に行ったら白い目で見られた』と言っていて、それで『じゃあみんなでその姿で行ってやろう』っていうノリになったのがきっかけ。私もジャージにハーフアップ、お嬢様っぽいヘッドドレスを着けて、メディア出演で顔を隠すために家にあったサングラスをつけて出たんですけど、奇天烈な見た目で有名になってしまいました(笑)」

 全国各地に存在する「お嬢様部」。今回の一件について、他校の“お嬢様”から声をかけられることもあった。

「もともとお嬢様部はSNSが活動拠点ということもあって、大学同士の横のつながりが強い。お嬢様部だけが利用しているチャット機能など、コミュニケーションを取る場があります。ツイッターに『スペース』っていう通話のような機能があるんですけど、そこにお邪魔したときに『うわさの人だ!』みたいな感じで反応してくださったりします」

 最も多いのは感謝の言葉。「お嬢様自体が最近減ってきてたみたいなので、『久しぶりに界隈を盛り上げてくれてありがとう』といった内容が一番多かったかなと思います」。

“お嬢様”の存在を一躍世間に知らしめた佐賀大学「お嬢様部」。強みは今回披露したような「フットワークの軽さ」だといい、今後もさまざまな活動に挑戦していく。

次のページへ (2/2) 【写真】メディア出演時に注目を集めた“お嬢様”の姿
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