UA、6年ぶり新作は長男・村上虹郎の存在がきっかけに「彼は1人で扉を開いていった」

前作から約6年ぶりとなるCD「Are U Romantic?」をリリースしたUA。先行配信されている2曲を加えた全6曲が、どれもポップでフレッシュな曲ばかりだ。前作「JaPo」をはじめ、これまで内面的な思いや祈りといった聴く人に深い部分を感じさせる作品が続いていたが、今回の変化、進化には驚いた。きっと新たなワクワクする音楽の旅先を見つけたのだろう。そんな想像を巡らせながらUAに話を聞いた。

デビュー27年目を迎えたUA【写真:荒川祐史】
デビュー27年目を迎えたUA【写真:荒川祐史】

カナダでの6年間の生活が私をリセットしてくれた

 前作から約6年ぶりとなるCD「Are U Romantic?」をリリースしたUA。先行配信されている2曲を加えた全6曲が、どれもポップでフレッシュな曲ばかりだ。前作「JaPo」をはじめ、これまで内面的な思いや祈りといった聴く人に深い部分を感じさせる作品が続いていたが、今回の変化、進化には驚いた。きっと新たなワクワクする音楽の旅先を見つけたのだろう。そんな想像を巡らせながらUAに話を聞いた。(インタビュー・文=福嶋剛)

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――UAさんはアルバムを出すたびにいろんな一面が見られるのが楽しみなんですが、今回は正直驚いたんです。すごくポップでカラフルですし。

「実は2018年ぐらいから意識的に2年後の25周年をイメージし始めていたんです。結果としてコロナ禍でさらに2年後ろになっちゃいましたが、ソロをはじめ、AJICO(浅井健一とUA、TOKIE、椎野恭一によるバンド)や「UA×菊地成孔」といった私がやってきたことをもう1度やろうと思っていて。その中で今回は割と明確にポップな作品を目指すぞって宣言していたんです」

――その心境の変化は何がきっかけだったのでしょう?

「やっぱり夫の母国のカナダで生活を始めた6年間の変化が大きいですね。まっさらな状態から家畜を飼って農的な暮らしを始めたんです。だから自分から音楽を聴くことなんてなかったですし、とにかく4人目の子どもが生まれてから苦手なお母さん業で忙しい毎日だったんですよ。でも、そんな日常を過ごしていたからなのか、私の中の感覚が子どもの頃の大衆的な感覚にリセットされたのかもしれないですね。だから子どもたちがラジオをひねって流れてくるアメリカやイギリスのヒットチャートを私も家事をしながら一緒に聴いていると、思わず子どもたちと口ずさんだり、すごくフレンドリーに届いてきたんです(笑)。

 もう1つあって、長男の(村上)虹郎の存在です。役者として活躍していますけど、彼は親に頼らず1人で頑張って現在の扉を開いていったんです。そんな息子のチャレンジ精神を見ていてすごく刺激を受けたんです。だから虹郎や彼の世代の人たちが聴いても『良いね』って言ってもらえるような、一度聴いたらハミングしたくなる作品を作りたかったんです。これはもうポップしかないでしょ! それ以外ある?って(笑)」

――今はポップなモードだと?

「そうなんです。まさに私の今のモードなんです。前作『JaPo』(2016)やそれ以前の作品のテーマは、『地球感じて生きていきたい』、『歌を歌い続けていきたい』、『そのために歌を作ってステージの上でリアルに祈りを込めて歌いたい』という祈りが大きなテーマでした。

 振り返ってみると『未熟だったのかな?』とか、『思いが強すぎたのかな?』とかいろんな気付きはありますけど、私の中ではどれも後悔のない作品です。でもひと段落ついて、いったんそのテーマはやり切った感があるんです。もっと大衆に近付きたくなったんですよね」

――だからなのかUAさんの内面から閃光を放つというのが近年の作品だとしたら、新作はくるりの岸田繁さんやハナレグミの永積崇さん、Dragon AshのKjさんなど外側からの光をUAさんの鏡で反射させているみたいな、そんな新鮮さを感じました。

「そうかもしれないです。私1人ではポップな作品は作れないのでみなさまご協力くださいと。それをリフレクションさせて周りの人たちに聴いてもらい、ちょっとでもポップじゃないと感じたら教えてねと言って作っていったんです」

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