女子スキージャンプが映画化 空を飛びたい夢に向かう女性たちの奮闘記 監督に聞く

助走路を滑るアプローチ姿勢を決める女優たち【写真:(C)ウィンドガールズ製作委員会】
助走路を滑るアプローチ姿勢を決める女優たち【写真:(C)ウィンドガールズ製作委員会】

撮影は札幌で「ジャンプを身近に感じるには本当に一番いい街」

 タイトルには、「もうすぐ良い風が吹く」というキャッチコピーもつけた。

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「スキージャンプってすごく風の競技じゃないですか。本当に風が強いときもあれば、弱いときもある。しかも、スキージャンプは向かい風のほうが有利ですね。それがまた面白いなと思っています。競技性から風=ウィンドという言葉をもらい、主人公の女性たちや皆さんの人生にも良い風が吹くように、という願いを込めました」と、大橋監督は話した。

 主要キャストは全員、スキージャンプが盛んな北海道出身の女優で、「やっぱりスキージャンプの身近なところにいらっしゃる方たちにお願いしたかった」。

 撮影も札幌を中心に計画しており、「大通り公園からスキーのジャンプ台が見えるんですよ。ある種、札幌のシンボルなんじゃないかなって気がするぐらい、山を見上げたときに、バーンと美しいジャンプ台のシルエットが浮かんでいるんです。海外なら相当山奥に行かないといけないじゃないですか。札幌はスキージャンプを身近に感じるには本当に一番いい街なんじゃないかなと思います」と力を込めた。

 具体的な構想が持ち上がったのは2年前。新型コロナウイルスの発生・流行でスケジュールは狂い、撮影も遅れた。自主映画だけに、資金面の問題もあり、20日からは資金調達のため、「Makuake(マクアケ)」でクラウドファンディングもスタートさせている。

「本当にここまで道のりは大変でした。コロナで何度も中断がありましたし、資金難は今でも抱えながらなんですけど、ただその中でもキャストさん、制作スタッフの皆さんが本当にありがたいことに、気持ちで関わってくれている状態。有志の気持ちで一緒にやってくれています」

 映画を通じて、スキージャンプという競技が日本で一層普及することを願う。映画はYouTubeで全世界に公開する予定だが、ジャンプになじみの深い土地を巡って上映会を開催することも検討している。

「例えば山形の蔵王ですとか、新潟や長野もそうですよね。スキージャンプのある街にこの映画とともに少しでも皆さんに観ていただける機会が作れたらいいな、なんて夢はあります」と大橋監督は意気込んだ。

もうすぐ良い風が吹く【写真:(C)ウィンドガールズ製作委員会】
もうすぐ良い風が吹く【写真:(C)ウィンドガールズ製作委員会】

【あらすじ】貯金なし、夢なし、希望なし。人生絶賛下り坂中の25歳フリーターの風花(溝口明日花)は、空っぽの冷蔵庫を眺めながら、がっくりと肩を落としていた。就職先の倒産、アパートの建て壊し決定により飛んでいった引っ越し代金、なんとかこぎつけたアルバイトの給料日はまだまだ先。風花は人生最大のピンチを迎えていた。そんなある日、風花に1件のメッセージが届く。送り主は高校時代の友人・有里(中村夏音)。メッセージの内容は「日払いのアルバイトをしない?」という願ってもいないものだった! なんでも有里がアルバイトをしているスナックの従業員が突然全員辞めてしまい、人手が足りずに困っているという。ワラをもつかむ思いでスナックに向かった風花は、同じく有里に誘われた高校時代の友人・七海(みづき)に再会。駆け出しのイラストレーターの七海もまた、金欠で困っていたところだったという。久しぶりに集結した風花、有里、七海。高校時代の仲良し3人組を待ち受けていたのは、謎の女・みなみ(山田いずみ)。「飛ばないか?」。満面の笑みを浮かべるみなみが、彼女たちを誘ったのはなんとスキージャンプ! 彼女たちの無謀な挑戦が始まる?!

□大橋泰之(おおはし・やすゆき)1978年9月1日、北海道・小樽市出身。写真家。広告写真を始め、ドキュメンタリー、エディトリアル、最近では自主制作映画など幅広い分野の撮影を手掛ける。2018年3月、東京・六本木ヒルズで「セブンカフェpresents 高梨沙羅写真展カフェ『SARA’S PROGRESS』」を開催。合同会社マカロニ写真事務所代表。

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