ジムニー博物館創設・75歳の仰天人生 「億単位?」私財投入、50歳でパリダカ初参加

スズキ・ジムニーへの熱い思いから、“博物館”を作ってしまった男がいる。自動車整備・販売業の経営者として名をはせ、ドライバーとしてはパリ・ダカールラリーに9回の参戦経験がある尾上茂さん(75)だ。乗車歴約41年となる熱血館長の人生には、軽自動車の四輪駆動(4WD)車の代名詞的な存在であるジムニーへの愛があふれている。

私設の「ジムニー歴史館」創設者で館長の尾上茂さん【写真:ENCOUNT編集部】
私設の「ジムニー歴史館」創設者で館長の尾上茂さん【写真:ENCOUNT編集部】

約29台の貴重車がズラリ 50歳でパリダカ初参戦で9度出場のラリードライバー

 スズキ・ジムニーへの熱い思いから、“博物館”を作ってしまった男がいる。自動車整備・販売業の経営者として名をはせ、ドライバーとしてはパリ・ダカールラリーに9回の参戦経験がある尾上茂さん(75)だ。乗車歴約41年となる熱血館長の人生には、軽自動車の四輪駆動(4WD)車の代名詞的な存在であるジムニーへの愛があふれている。(取材・文=吉原知也)

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 神奈川県藤沢市にある「ジムニー歴史館」。2階建ての巨大ガレージのような空間が広がる。多種多様なジムニーやラリーカーなど約29台の貴重車が展示されている。壁にはジムニーの絵が描かれ、パネルには丁寧な説明書き。陽光を取り入れたおしゃれな座席スペースも設けられている。「ジムニーは宝物。ずっと楽しめる車なんですよ」。尾上さんは優しい笑顔を浮かべた。

 ジムニーとの出会いは、1981年、34歳の時。友人の勧めもあって手に入れたのが、「ジムニー SJ30-1型」だった。当時はそれまで「三菱ジープ」に乗っていた尾上さんの最初のジムニーの感想は「ひ弱。力がなくて、オフロードを走ると跳ねてしまう」という“最悪”の印象だった。

 自動車整備に長く携わっており、メカニックや部品作りはお手の物。テーパーリーフスプリングなどのパーツのカスタムを試みた。「あれこれいじってみたら、これが劇的に変わってね。例えば、ヒルクライムでも路面に密着して走るようになって。それで面白くなっちゃったんだよ」。“手作りパーツ”やチューンアップなどで性能を向上させることに大成功。すっかりジムニーのとりこに。この記念すべき28馬力の真っ赤なジムニーは、歴史館にもしっかりと展示されている。

 22歳で立ち上げた自動車整備会社は、のちに86年にジムニー専門店にくら替え。「最初は『飯が食えるのか』なんて言われたけど、レースに改造ジムニーで出場して成績を上げると、うちで作っている部品にも注目が集まるようになって。作って運転してというのを繰り返していくうちに、だんだん評価されたんだ」。ジムニー好きの間でも尾上さんの存在は知られるようになったという。

 82年から国内のオフロードレースに出場。国内外の出走でめきめきと腕前を上げ、97年に50歳の年でパリダカに初参戦。スズキ・エスクードに乗り、3回完走するなど常連参加者のドライバーとしても地位を築いた。

次のページへ (2/4) 今も寝ていると、「『あの部品をこうすればもっとよくなる』と思い立って起きる」
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