――「RIZIN.35」（4月17日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ）の上田幹雄戦の後に、「頭の骨がいくつか折れてた」って言っていたじゃないですか。
「ええ。ことのはじめは、さっきのヒョードル戦のときに吐血したんですよ」

――吐血！
「それは殴られすぎて鼻血が喉の奥に詰まって、息ができなくなって。俺、死ぬんだなって試合中に思ったんですよ、そう思いながら、ずっと殴られていて。だから口から血を出さなきゃと思って、血を吐いたんですよね。結局そのときはレフェリーがラウンド終わりでストップしたんですけど、そのときはどうやって勝てるかと思いながら、『やる！』って言っていたのは覚えているんですけどね。その後、尿検査の時に血尿が出たので、これはマズいってことで、すぐに病院に救急で行ってくれってなって」

――試合直後に病院へ向かったと。
「当時、カミさんもいたので、家族と一緒に行ってくれって言われて。そのときはもう、足に力も入らなかったんですけど、ギリギリ歩くみたいな感じで病院に行って、頭のCTを撮ったら、『脳はクリーンで大丈夫なんですけど、ここにちょっと線がありますよね。これ、骨折が治った後の疵なんですよ』って言われて」

――その段階で、すでにもう頭の骨を折ったことがあったと（苦笑）。
「そうです。思いあたることって、あのときかなー？　いや、あれかなー？　って。いっぱいありすぎて分からないし、こっちはほっときゃ治るだろうと思ってやってるしね」

――さすがすぎます。
「治っているんだったらいいやと思って。その後、自分は一時期、リングを離れるんですけど、復帰戦のジェームス・トンプソン戦（2015年12月29日、さいたまスーパーアリーナ）でも食らっちゃって。その時はRIZIN側から『検査を受けてください』って言われて、また病院で頭の写真を撮ったら、また『ここに線がありますね』って言われて。『それ、前に言われたことがあるんですよ』って言ったら、『一箇所じゃないですね。ここにもありますよ』って言われて、あ、あの後になにがあったっけなー？　って思ったり」

――ヒョードル戦の傷跡なのか、練習中のものなのか……。
「ミルコ・クロコップ戦（2017年大みそか）の後にも言われて。だから、そうか、俺はいっぱい折られているのかと。カッコ悪いなあとは思いましたけどね。だから、あいつかあいつかって思いながら、いつかやってやるって、それがモチベーションになってますけどね」

――ちなみにですけど、TKの場合、この世界特有の、誰かとの因縁とか確執があった、みたいなことを聞かないじゃないですか。
「そこに使うエネルギーがあったらトレーニングに使いたいんですよ。そこに使うエネルギーがあるんだったら、1本でも階段ダッシュをやりたい」

――練習に力を注ぎたいと。
「どっちかっていうと、そっちに向こうとしますね。キツい練習をやればやるほど、強くなれると思っているとキツい練習がものすごく楽しくなるし、好きだし、好きなことに力を注ぎたいって、普通はそう思うんじゃないですかね」

――ご自身ではその意識はないんでしょうけど、MMAの世界では、学級委員的な優等生ですよね。
「絶対にやりたくなかったですけどね。そんなんやるくらいだったら、その時間をつかっていっぱい遊びたかったですね（笑）」