紅白7回出場の山内惠介が燃える場所 コロナ禍でのオンラインライブで気づかされたこと

演歌歌手の山内惠介が新曲「誰に愛されても」を引っ提げて今年も全国ツアーに旅立った。徐々に制限が緩和されてきたが、長引くコロナ禍は「演歌の貴公子」にとっても大きな試練だったという。配信ライブやYouTubeなど試行錯誤の末にたどり着いた新しい形。それは同時に歌うことの意味をあらためて教えてくれた気付きの時間だった。

全国ツアー真っ最中の山内惠介【写真:塩見徹】
全国ツアー真っ最中の山内惠介【写真:塩見徹】

お客さまの笑顔に出会えることが当たり前じゃないと分かったコロナ禍

 演歌歌手の山内惠介が新曲「誰に愛されても」を引っ提げて今年も全国ツアーに旅立った。徐々に制限が緩和されてきたが、長引くコロナ禍は「演歌の貴公子」にとっても大きな試練だったという。配信ライブやYouTubeなど試行錯誤の末にたどり着いた新しい形。それは同時に歌うことの意味をあらためて教えてくれた気付きの時間だった。(取材・構成=福嶋剛)

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 3月から始まった全国ツアー「山内惠介コンサート 2022」ですが、生まれ故郷の福岡県はじめ九州・関東・東北・四国・中国・近畿を回り、5月は約2週間かけて僕にとって「特別な場所」北海道の各地を回ります。山内惠介の生みの親が福岡なら育ての親は北海道になります。鳴かず飛ばずのどん底だった21歳の頃にラジオ番組を担当させていただき、たくさんの方に応援していただいたことがきっかけで自分らしさを取り戻すことができました。あれから18年、今も番組を続けていられるのは北海道のみなさまのおかげなんです。

 もちろん北海道に限らず、いつも全国ツアーが始まるとまるでご近所さんのように「惠ちゃん、おかえり」って各地で迎えてくださるんです。でも、この光景が当たり前じゃないことに気付かされたのが、ここ数年のコロナ禍でした。

 始まりは2020年の3月でしたね。ひと月先に北海道ツアーが控えていて最初は大丈夫だろうと思っていたのが、北海道どころか全国どこにも行けなくなってしまい、ライブがまったくできない時期が続きました。このままではまずいと思い、この危機をどうやって乗り切ったらいいのか必死でした。

 そこでスタートさせたのが有料配信ライブです。都内のスタジオから全国に歌を届けるオンラインの生ライブを定期的にはじめました。これまでの有観客ライブだったら1時間なんてあっという間でしたが、無観客のスタジオから生配信で1時間やるのは本当に大変だなって。テレビの収録とは違った緊張感がありましたね。

 配信を通してチケットを買ってくださった方にいかに満足していただけるか。カメラの奥で見ているみなさまが、どんなシチュエーションで楽しんでいるのかといった視聴者1人1人を想像しながら歌うように心がけました。MCも今までとは違い、お客さまがいない中でカメラの前のみなさまにどうやって話しかけたら良いのか常に考えました。「みなさまお好きな時間に自由な場所でご覧ください」というあいさつは有観客にはありませんから。

 同時にオンラインライブの告知を目的にYouTubeにも挑戦してみました。でも実際にやってみると……僕はYouTuberにはなれないですね(笑)。歌でメッセージを伝えてきたものとして、ラジオと違ってしゃべりだけで何かを伝えようとしてもなかなか難しいんです。やっぱり僕が1番燃える場所は歌う場所なんです。

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