慶大卒、28歳日テレ新事業社長が「VTuber」にかけたワケ 明かした“直感”の根拠

日本テレビは、VTuber事業をスピンオフする形で新会社「ClaN Entertainment」(以下ClaN)を4月1日に設立した。代表取締役には28歳の大井基行氏が就任。VTuberやYouTuberなどインフルエンサーに特化した企業を率いることとなった大井氏が、エンタメの未来やVTuberが持つ可能性について語った。

「VTuber」の可能性ついて語った大井基行氏【写真:ENCOUNT編集部】
「VTuber」の可能性ついて語った大井基行氏【写真:ENCOUNT編集部】

日本テレビ新会社「ClaN Entertainment」代表取締役社長・大井基行氏インタビュー

 日本テレビは、VTuber事業をスピンオフする形で新会社「ClaN Entertainment」(以下ClaN)を4月1日に設立した。代表取締役には28歳の大井基行氏が就任。VTuberやYouTuberなどインフルエンサーに特化した企業を率いることとなった大井氏が、エンタメの未来やVTuberが持つ可能性について語った。(取材・文=石井宗一朗)

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 大井氏は2018年、社内ベンチャーとしてVTuber事業「V-Clan」を立ち上げ、責任者として事業運営を行うほか、「プロジェクトV」など多数の番組やイベントのプロデューサーも務めてきた。しかし、VTuberに元々興味があったわけではないという。

 きっかけは17年に視聴した現在活動休止中のVTuber・キズナアイの「体力測定」という動画だった。仮装空間でキャラクターが体力測定のために全身で動く。その新しさに、「とんでもないコンテンツが生まれちゃったな」と衝撃を受けた。感じたのはかわいらしさに対する恋心ではなく、新たなジャンル、テクノロジーに対する可能性。「すごく魅力的で、本当に直感でこのジャンルにかけてみようと思いました」。

 しかし、当時VTuberはあまり認知されておらず、参考にするデータも少ない状態。「にじさんじ」「ホロライブ」といった巨大な“箱”は存在せず、キズナアイほか数人だけが有名になりつつあった時代だった。そんな中、直感で覚悟を決めた。

「エンタメ×テクノロジー×グローバルがテーマとしてあった中で、VTuberとすごく一致した。それが直感の根拠です」

 日本テレビ入社前から“エンタメ”というジャンルにこだわっていた大井氏。“テクロジー”もテーマの1つだった。また、大学時代に米ロサンゼルスに留学した経験から、「世界で勝負できる何かができないか」とグローバルな戦略も模索していた。

「日本の強みはアニメーション。海外では日本人タレントさんを知ってる人は少ないですが、ポケモンやドラゴンボールは知っています。これだけ日本のアニメが世界に広がっているんだということを身をもって体感していたので、攻めるんだったらそこの領域かな、と。今アニメの世界に参入するのは難しいですが、VTuberだったら何か大きなことができるかもしれない、という可能性を感じました」

 しかし、同時に国産エンタメの世界での存在感が「少しずつ無くなってきている」と危機感も募らせる。「もっと日本のエンタメが世界で知られていい。それだけの魅力はあると思っています。そこをもっと世界の人に伝えていきたい。世界中の人が見るようなエンターテインメントができればいいんじゃないかなと思います」。

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