ロシアへの経済制裁が国内マンション高騰に拍車 選手村跡地「晴海フラッグ」の現状

日本国内、とりわけ首都圏でマンションの高騰化が続いている。そもそもなぜ不動産価格が高くなっているのか。ウクライナ情勢など不確定要素が増している中で、今後どうなるのか。中古マンション価格査定サービスや不動産テックを手がける「エステートテクノロジーズ株式会社」の担当者に解説してもらった。

晴海フラッグ(HARUMI FLAG)【写真:写真AC】
晴海フラッグ(HARUMI FLAG)【写真:写真AC】

ウクライナ情勢の不確定要素も 「円安進行」も影響

 日本国内、とりわけ首都圏でマンションの高騰化が続いている。そもそもなぜ不動産価格が高くなっているのか。ウクライナ情勢など不確定要素が増している中で、今後どうなるのか。中古マンション価格査定サービスや不動産テックを手がける「エステートテクノロジーズ株式会社」の担当者に解説してもらった。(取材・文=吉原知也)

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 マンション価格高騰の背景には複雑な要素が絡み合っている。同社の広報担当で宅地建物取引士の資格を持つ天野沙耶香氏の分析によると、まず、「建材費用の上昇」が挙げられる。新型コロナウイルス流行前の国内はもともと、米国内の木材需要の増加に起因する「ウッドショック」状態にあった。コロナ禍を受け、コンテナ不足による建材不足が続いている。それに、資産運用目的の不動産需要、住宅ローンが借り入れやすくなる「日銀の低金利政策」による購入意欲の高まりなどが要因であるとのことだ。

 同社取締役CTO(最高技術責任者)を務める池上俊介氏は、建材費用のさらなる上昇を指摘する。「10年前と比べると2割ほど上昇している『円安』がさらに進んでおり、輸入品がどうしても高くなります。原油高の影響も大きいです。資材を運ぶには石油が必要だからです。コロナ禍の影響を受けた建設業者の破綻による作り手の減少も気がかりです。知り合いのリフォーム業者の話では、もともと、家を建てる際の費用は1000~1500万円のコストだったところが、現在は2000~2500万円ぐらいまで膨れ上がっているうえに、建材の高騰化によってそれでも利益が出ないと聞いています」と話す。

 ここに来て、ウクライナ情勢の地政学的リスクも深く関わってくるようになった。池上氏によると、壁・床用の木材といった建材はロシアからの輸入量が多く、建材の値上げにつながるという。「ロシアに対する世界的な経済制裁は当面続くと考えられ、しばらく大きい影響が続くとみられます」との見解を示す。

 特にマンションの値上がりが顕著で、物件人気の高いエリアは、東京23区だ。JR山手線の内側のエリアを対象に同社が独自分析すると、投資用ではない分譲マンションの価格は、湾岸エリアは勝どき、晴海、それに恵比寿・代官山でも上昇傾向が。一方で、ワンルームで20~30平米の「投資目的マンション」では、広尾・麻布十番・恵比寿などの物件は「横ばい」の傾向が見られた。

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