女優生活50年・高橋洋子が明かす松田優作さんの思い出 「いつもとんがっていました」

1972年の映画「旅の重さ」のヒロインに起用されてデビューし、73年にはNHK連続テレビ小説「北の家族」でヒロインを務めた女優・高橋洋子(68)。今年は俳優生活50周年。約50年前の朝ドラの現場や文学座俳優研究所で同期だった松田優作さんの思い出など50年の女優人生や妻として母としての素顔も聞いた。

女優生活50年を振り返る高橋洋子【写真:荒川祐史】
女優生活50年を振り返る高橋洋子【写真:荒川祐史】

女優生活50周年 1972年に映画「旅の重さ」、73年に朝ドラ「北の家族」でヒロイン

 1972年の映画「旅の重さ」のヒロインに起用されてデビューし、73年にはNHK連続テレビ小説「北の家族」でヒロインを務めた女優・高橋洋子(68)。今年は俳優生活50周年。約50年前の朝ドラの現場や文学座俳優研究所で同期だった松田優作さんの思い出など50年の女優人生や妻として母としての素顔も聞いた。(取材・文=中野由喜)

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「子どもの頃から映画や芝居を見る環境で育ちました。両親が好きで若大将シリーズも新吾十番勝負シリーズも日生劇場で『ドン・キホーテ』の第1回公演も見ました。自分にできることは何かと、ずっと考えている高校生でした。周りが称賛する大学に合格し、会社に就職し、結婚と考えた時、それで私の人生終わりかと思ったんです。独自の道を歩みたいと、たどり着いたのが文学座俳優研究所。同期に松田優作もいました」

「洋子ちゃん、いつもキラキラしているもんね!」と同期の女性から一目置かれる存在だった。あっという間にデビュー。意外なきっかけだった。

「高校時代よくラジオの深夜放送を聴いていました。吉田拓郎さんのファンで『パックインミュージック』。拓郎さんが『僕が今度、映画音楽をやるんだよ。だから若い子はどんどん写真を送ってね』と言っていたんです」

 番組でヒロイン募集を知り、さっそく応募して合格。拓郎という音楽界のスターとの縁も感じるが、同期のスターの松田さんも気になる。

「私はキラキラと言っていただきましたが、彼はギラギラしていました。周りは個性的な人ばかりでしたが、彼は押しが強く、俺はここにいるという存在感がありました。時々、プロデューサーが新人を探しに来ると、優作は『どうせ女だろ』。いつもとんがっていましたね」

 意外な一面の思い出も。松田さん主演の1976年公開の映画「ひとごろし」の撮影のため、共演の高橋が京都に行った時のこと。

「私、車で京都に行ったんです。そしたら優作が喜んじゃって。車は何でも話せる個室です。不満がたまってたんでしょうね。せりふを覚えてこない人がいただとか、いっぱい吐き出していました(笑)」

 クールな印象の松田さんだが、陰の苦労や同期にしか見せない姿もあったようだ。続いて73年当時の朝ドラの話も聞いてみた。近年は力のある人気女優がヒロインを務めるケースが多いが昔は新人が中心。

「当時は芝居ができる人はだめでした。昔は朝ドラを家族で見て『あら、この子も半年たって芝居がうまくなったわね』と、おばあちゃんが言ったりしたもの。NHKがヒロインを一人前の女優に育て、見る側は成長ぶりも見守る。残念なのは次の朝ドラが始まるとそれまでのヒロインはスパッと忘れられるんです。あっという間(笑)」

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