ノブコブ徳井が考察する芸人たちの「絶望」と「成功」 背中を押した東野幸治の言葉

お笑いコンビ「平成ノブシコブシ」の徳井健太(41)が、本来ライバルである芸人らの魅力を徹底考察した「敗北からの芸人論」(新潮社)を刊行した。「正直、僕にはお笑いの才能がない」「売れたいといった欲や嫉妬もない」という徳井が、1度は陥った「絶望」から這い上がってきた芸人たちの姿を「悟り」の境地、愛情あふれる筆致で紹介している。

芸人を徹底考察した「敗北からの芸人論」を発売、「平成ノブシコブシ」の徳井健太【写真:ENCOUNT編集部】
芸人を徹底考察した「敗北からの芸人論」を発売、「平成ノブシコブシ」の徳井健太【写真:ENCOUNT編集部】

芸人を徹底考察した「敗北からの芸人論」発売、絶望からの這い上がり方明かす

 お笑いコンビ「平成ノブシコブシ」の徳井健太(41)が、本来ライバルである芸人らの魅力を徹底考察した「敗北からの芸人論」(新潮社)を刊行した。「正直、僕にはお笑いの才能がない」「売れたいといった欲や嫉妬もない」という徳井が、1度は陥った「絶望」から這い上がってきた芸人たちの姿を「悟り」の境地、愛情あふれる筆致で紹介している。(取材・文=倉野武)

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「もともと書くことが好き、人を褒めることが好きなので、こんなにすごい人たちなんだということを伝えられたらいいなと」

 ウェブサイト「デイリー新潮」で2020年10月から1年間連載したものに書きおろしを加えた1冊。コンビの相方・吉村崇をはじめ、21組の芸人らについての考察を披露している。人選で大事にしたのが「その人が『絶望』を知っているかどうか」だ。自身、東京NSC(吉本総合芸能学院)に入ってすぐ、同期でのちのピース・又吉直樹、綾部祐二の面白さに打ちひしがれ、その後も「芸人を続けるほど絶望が増していった」。一方で「こだわりが強くて売れなかった人を見てきて、こだわりが強いのにテレビに合わせてプライドの形を変えて売れていった人たちはすごいと褒めたくなる」という思いも。

 本書で「天下を獲る」と断言する千鳥も、ピン芸人でスターだった大悟が同級生のノブとコンビを組んだ途端、ウケなくなった時代を経験。その千鳥のすごさを「ノブさんの努力と大悟さんの自信だ」とし、「2人とも先輩からも後輩からも好かれている。これは地味なことだけれど結構すごいこと」などと評する。

 また、漫才コンビを解散し、引退を決意しながら吉本新喜劇で座長に上り詰め、関西の女子高生が選ぶ「面白いお笑い芸人ランキング」1位に輝いた小籔千豊の律義さ、台湾人で日本語が話せなった母親が父親と離婚し、食うに困るほど貧乏な幼少期を送った渡辺直美の「才能と努力と忍耐」、若い頃、仕事がない日は酒と競馬に明け暮れ、コンビのうち自分だけが番組から外され、後輩ばかりが売れていくなかで諦めず、腐らず、36歳で情報番組「スッキリ」の司会者に大抜てきされた加藤浩次の名言――が紹介される。

 さらに、「日本のしょうもない価値観を変える」EXIT、「嘘をつけない岩井、意外と人に懐かない澤部」ハライチ、「日本中が彼らの覚醒を待っている」ダイアン、「安心感と期待感を両立できる奇妙なコンビ」オードリー……。

 大阪で売れながら東京に進出し、「『売れるんだ』という覚悟」で進化した「令和のハイブリッド芸人」かまいたちの回では、その歩みと成功のカギを考察し、こう結ぶ。「何も手に入らなくてあがいた日々が、1番の財産になる日がきっと来る。かまいたちを見ていると、そんな青臭いことだって、言えてしまうのだ」。この原稿を読んだかまいたちの濱家隆一は「泣けますね」と伝えてきたという。

次のページへ (2/3) YouTubeチャンネル「徳井の考察」を開設し芸人に助言「悟り芸人」とも
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