【オヤジの仕事】川﨑麻世さん 今だから語れるカイヤと夫婦を続けた理由、そして離婚を決断したきっかけ

舞台「ブレイン・ストーム」稽古前にインタビューに応じた【写真:山田隆】
舞台「ブレイン・ストーム」稽古前にインタビューに応じた【写真:山田隆】

父の死をきっかけに、“父親としての責任”を再認識

 再会した父は長年闘病したすえ、全身にがんが転移している末期の状態。半身不随でしゃべることができず、「あ~あ~」と言いながら鼻水垂らして泣いて……。僕は父を恨んではいなかったので、「ありがとうな」「僕は大丈夫やから」と感謝の気持ちを伝えました。再婚していた父の奥さんによると、父は僕の出るテレビ番組とかを、カレンダーにチェックを入れて気にかけてくれていたそうです。生きているうちに会えて、本当に良かった。

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 再会から半年後、父は60歳で亡くなってしまいました。その半年の間に危篤に陥った父を見舞ったりしていて気付いたんです。父は「こんなにオレのことを愛してくれていたのに、会えなくて寂しい思いをしていたんだ」と。僕ももし離婚して子供に会えなくなったら、寂しくてつらい。だったら、僕自身のためにも、そして子供にも寂しい思いをさせるかもしれないのだから、もう一度がんばって結婚生活を続けよう、と決心しました。「なんで離婚しないの?」って周りからさんざん言われ、夫婦仲をネタに仕事をしていると言われてきましたけど、仕事のためなんかじゃありませんでした。

離婚をするなら自分で決める、という意地があった

 娘がアメリカで生まれたとき、僕は立ち合い出産をしました。小さい娘を初めて胸に抱いたとき、娘が紅葉のような小さな手で僕の指をギュッと握ったんですよ。「パパ、これから一緒にがんばろうね」って言ったかのようでした。そのとき、娘のために生き抜こう、それが父親としての僕の責任だ、と覚悟をもちました。僕は完璧な夫、父親ではなかったと思います。でも、幸せな家庭を作りたいと願っていました。その願いを簡単に投げ捨てることはできなかったんです。

 離婚経験のある友人たちは「離婚して、ほんと良かったよ!」と言います。でも、人は人。他人の意見を聞くことはしても、その意見に流されて離婚を決めるのもイヤだったんです。のちのち「あの人の言うことを聞いて離婚したけど、聞かなければ良かった」なんて後悔したくないじゃないですか。だから、もしもいつか別れることになってしまっても、そのときは僕が自分で決めたい、とずっと思っていました。

ミュージカル「ブレイン・ストーム」のチラシ
ミュージカル「ブレイン・ストーム」のチラシ

子供の成人をきっかけに離婚を決意した

 2年前に離婚訴訟を僕から提起しました。きっかけは子供たちがもう成人したから。当時、娘は28歳、息子は22歳。だから、もうそろそろいいかなぁ、と。達成感のようなものが生まれたんです。僕とカイヤは16年前から別居していて、カイヤの元にいる子供たちには今、自由に連絡がとれなくなっていますが、生活費、養育費、学費、すべて負担してきましたから。もしかしたら子供たちは僕のことを今は誤解しているかもしれない。でも、いつかわかってくれるときがくる、と信じています。僕が30年近くも父と会わずにいても、親子の絆は切れていなかったように。

 離婚訴訟では僕の主張の多くが認められましたが、カイヤが控訴したので裁判はまだ終わりではありません。決着がつくまで、どれぐらいかかるのか……。裁判は大変ではありますけど、子供たちが成人するまでがんばってきて良かったな、と思っています。裁判するにあたって、昔のものを引っ張り出して見ていると、ああ、いろんなことがあったな、と思います。カイヤのことは恨んでいるわけではないし、いろんなことを学ばせてもらって感謝しています。もうスッキリして、お互い、新たな人生を歩み出せたらいいんじゃないかと思っているんです。

□川﨑麻世(かわさき・まよ)1963年3月1日、京都市生まれ。1歳半の頃、両親が離婚し、母親とともに大阪府枚方市へ。中2だった1975年、人気バラエティ番組「プリン&キャッシーのテレビ!テレビ」(よみうりテレビ)のものまねコンテストでグランドチャンピオンになり、スカウトされ1976年、CMでデビュー。1977年、「ラブ・ショック」(CBSソニー)で歌手デビューしアイドルとして人気を博した。1990年結婚。1男1女に恵まれた。2018年離婚訴訟提起。2020年2月、一審で勝訴判決が出たが、カイヤ夫人が控訴した。2020年3月12~15日、六行会ホール(東京・品川)でミュージカル「ブレイン・ストーム」の舞台に立つ。

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