関東甲信越で血液不足深刻 コロナ禍で予測難しく…赤十字担当者「過去に例がない」

新型コロナウイルスの流行が小康状態を迎え、徐々に通常医療が再開している。関東甲信越の1都9県では輸血用血液の需要が急増、献血による採血量を上回り、深刻な血液在庫量の減少に陥っているという。献血はほぼ平常通り行われているという中での血液在庫量のひっ迫に、関係者も戸惑いを隠せない。今何が起こっているのか、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターに現状を聞いた。

日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター【写真:ENCOUNT編集部】
日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター【写真:ENCOUNT編集部】

関東甲信越の1都9県で輸血用血液の需要が急増、深刻な血液在庫量の減少

 新型コロナウイルスの流行が小康状態を迎え、徐々に通常医療が再開している。関東甲信越の1都9県では輸血用血液の需要が急増、献血による採血量を上回り、深刻な血液在庫量の減少に陥っているという。献血はほぼ平常通り行われているという中での血液在庫量のひっ迫に、関係者も戸惑いを隠せない。今何が起こっているのか、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターに現状を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

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 医療機関における輸血用血液(赤血球製剤)の需要は11月から急増。過去5年間の同月比で最も高い水準で、12月も過去最高を上回る想定がされている。11月当初はO型血液の在庫が減少傾向にあったが、12月に入りA型の血液も減少。現在かなり厳しい状況であるため、年末年始は全種類の型でいつも以上の献血の協力を呼び掛けている。

 日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターの脇谷勇次需給管理課長は「月ごとに変動はありますが、11月に400mL献血者数換算で約10万人分も供給された年は過去に聞いたことがない。ちょっと経験のない数字。コロナ禍初期と違い、献血はほぼ平常通りご協力をいただいているが、供給量が例年の11月と比べても多い。コロナの影響も含め、過去に例がない動きです」と話す。

 なぜ輸血用血液の需要が急増しているのか。通常医療再開に伴い、手術などの輸血を必要とする医療件数が増加したことも原因のひとつと考えられるが、一般的な手術で必要となる1回400mL献血者数換算で15人分以上の大量輸血の割合は、今年度平均値との間に大きな変化は見られなかったという。脇谷課長は「緊急事態宣言下では政府から医療機関へオペを控えるよう要請があったり、献血に人が集まらなかったりと、需給の増減の予測が非常に難しかった。そこに加えてコロナ禍が落ち着いてきて、貧血改善なども含めた総体的な患者数が増えているのが原因ではないでしょうか。今回は複合的な要因が多く、原因を特定するのが困難な状況です」と語る。

 ワクチン接種や新型コロナウイルス感染により、献血の可否基準が分からず協力をためらっている人も多い。新型コロナウイルスワクチンではファイザー、モデルナのmRNAワクチンは接種後48時間以上で献血可能、3回目以降のブースター接種後も同条件となっている。一方、アストラゼネカなどのベクターワクチンは現時点では不可となっている。新型コロナウイルスに感染した人でも、症状がなくなってから4週間以上が経過しており、当日の医師の診察で体調に問題がなければ献血が可能で、これは新変異株のオミクロン株であっても同様だという。

 同センター総務企画課の松下麻依子主査は「風邪薬を服用していたり、3日以内に歯医者に行っていたり、外傷があったりして献血をご遠慮いただくケースも多いんです。事前に当てはまる条件がないか確認して、待たずに密を避けて献血するためにも予約を入れて来ていただけたらと思います」と話している。

次のページへ (2/2) 【写真】保管庫に保存されている献血パック
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