【週末は女子プロレス♯22】元アイドルレスラー・府川唯未のいま 子育ては一段落 新たな夢の実現へ

プロレス以外の道にも活躍の幅を広げる府川唯未さん
プロレス以外の道にも活躍の幅を広げる府川唯未さん

“いい子ちゃん”から脱皮 対抗戦で初めて沸き立った感情

 対抗戦ブームのなかで全女に入門した府川には、今でも忘れられない試合がある。それは96年9・1後楽園におけるGAEA JAPANとの団体対抗戦で、“府川由美”は玉田と組んで永島千佳世&シュガー佐藤組と対戦。全女代表の責任を背負い、リングに上がったのだ。

「そのとき初めて対抗意識というか、絶対に負けられない気持ちが全面に出た、そういうのを出せるようになったきっかけの試合ですね。普段は全女の選手とあたっているんですけど、やられてもやられてもそれでいいと思われていたし、自分では返したいと思っても返せなかった。いい子ちゃんみたいな感じでやってたんですよ。それがこの試合をきっかけに、絶対負けちゃいけないっていう闘志が呼び起こされた。当時の全女ってスター選手ばかりだったじゃないですか。スター選手プラス若手みたいな構成。そのなかで負けてばかりの私が出ていった。若手とはいえ全女の看板を背負ってるじゃないですか。ここでやられたら自分が憧れて大好きで応援してきた、全女意外に考えられなかったくらい崇拝してた団体を自分のせいで汚してしまう。自分で自分を許せない。だから絶対守るんだという気持ちで挑んだ試合でしたね。最後は自分がフォールを取られて負けましたけど(苦笑)」

 全日本タッグ王座からは陥落も、このとき湧いた感情から多くを得た。真のプロレスラーになれたあの瞬間から25年、そして引退から20年。短くも凝縮された現役時代を、府川唯未は全力で駆け抜けた。(文中敬称略)

次のページへ (4/4) 【写真】アジャ・コングにも真っ向勝負を繰り広げた、実際の写真
1 2 3 4
あなたの“気になる”を教えてください