藤井3冠3連勝の竜王戦第3局 驚きの手に現れた両者の研究の深さ 真田圭一八段解説

豊島将之竜王(31)に藤井聡太3冠(王位、叡王、棋聖=19)が挑戦する第34期竜王戦7番勝負第3局が30、31日、いわき湯本温泉「雨情の宿 新つた」(福島県いわき市)で行われ、先手の藤井3冠が93手で勝利。3連勝とし竜王奪取に王手をかけた。最年少4冠が現実味を帯びてきた竜王戦第3局を振り返る。

竜王奪取に王手をかけた藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】
竜王奪取に王手をかけた藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】

これまでとは異なる角換わり早繰り銀に驚きの新手が

 豊島将之竜王(31)に藤井聡太3冠(王位、叡王、棋聖=19)が挑戦する第34期竜王戦7番勝負第3局が30、31日、いわき湯本温泉「雨情の宿 新つた」(福島県いわき市)で行われ、先手の藤井3冠が93手で勝利。3連勝とし竜王奪取に王手をかけた。最年少4冠が現実味を帯びてきた竜王戦第3局を振り返る。

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 藤井3冠の2連勝で迎えた竜王戦第3局。7番勝負とはいえここで藤井勝ちとなると、豊島竜王は4連勝しか防衛の道がなくなってしまう。実質的にこの第3局が豊島竜王のカド番と言ってもいいだろう。

 藤井3冠の先手で始まり、角換わりの出だしに。相掛かりが続いていたが、藤井3冠が戦法を変えた。更に、採用率の高かった腰掛け銀ではなく急戦調の早繰り銀を選択したことで、温めていた作戦だったことが分かる。

 だが、豊島竜王も十分に研究してある想定内の展開だったのだろう。両者の研究の深さを感じさせる場面がある。まずは豊島竜王、32手目に△4四銀と守りの銀を攻めの銀にぶつけた手。数十年前からある角換わり早繰り銀という戦型ではあるが、その中で見たことのない手だ。

 これに対する藤井3冠の▲同銀△同歩▲5六銀と取った銀をすぐに手放す指し手。これも驚きだ。両者の指し手自体もそうだが、特筆すべきはその消費時間。△4四銀には8分、▲5六銀には4分しか使っていない。持ち時間は8時間、2日制の1日目の午前中の段階で、である。

 このことから推察できるのは、両者の深い研究はもちろんだが、そこに高性能の将棋ソフトが影響を与えているであろうということである。△4四銀と▲5六銀、共に従来にはない発想であり指しにくい手で、いかにも将棋ソフトの手、という感じだ。この推察が的を射ていたとすれば、両対局者が将棋ソフトの判断を高く評価していることの証左にもなる。

 新感覚も取り入れながら、1日目は藤井3冠が45手目▲3四飛と高い位置に飛車を動かした局面で封じ手となった。

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