カンニング竹山、発言切り取りのネットニュース多発に「正直やめてほしい」 一方で事情に理解も

炎上の経験者として誹謗中傷は無視するのが一番【写真:塩見徹】
炎上の経験者として誹謗中傷は無視するのが一番【写真:塩見徹】

本当の自分とタレントとしての自分とのギャップ

――これからの時代、芸能人がSNSと使う上で気をつけるべきことは。

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「これは持論ですけど、タレントはSNSを双方向として使っちゃダメ。なぜなら芸能という仕事の根本を崩すことになるから。最近はみんなファンとの交流とかいって双方向をやりたがるけど、本気で双方向なんかやったら狂っちゃいますよ。『アイドル』って言葉はもともと『偶像』って意味ですけど、タレントとか芸能人っていうのはイメージを売る仕事で、タレントとして作られた虚像のイメージでお金をもらってる。だから、イメージを壊すようなことがあると怒られたり、仕事がなくなったりするわけです。あくまでイメージなわけだから、双方向でファンと直接コミュニケーションを取り出すと本当の自分とタレントとしての自分とのギャップでおかしくなっちゃう。

 近年のアイドルグループはこの辺の微妙なバランスを取ってやってるけど、でもあれだって全部見せてるわけじゃない。握手会で生身の姿を見せてこそいるけど、その子が実際にどんな性格かまではわからないでしょ。SNSでもプロの運営スタッフが入った上で、あたかも本人の個人アカウントみたいな雰囲気を作った上でやっているのであって、本当に個人が勝手にやったりするのは非常に危険なんですよ。

 要は、タレントの仕事にはうそをつける余地がないといけなくて、双方向のSNSでも、うそをつき続けられるならいいんです。でも、うそをつくと怒る人がいるでしょ。さらに、個人的なやり取りまでしちゃうと、向こうもこっちとつながれると思っちゃうし、ファンと簡単につながれるというのはタレントの価値を落とすことにもつながる。

 だからタレントがSNSをやるなら一方通行じゃなきゃダメ。双方向を使うメリットはまったくありません。そこの考え方を変えることがこれからのタレントさんの第1歩かなと思う。確かに双方向は使ってると楽しいですよ。でも、タレントという仕事をしてる以上はそこは線引きをしないと。YouTuberとタレントの一番の違いはそこだと思う」

――近年はタレントとYouTuber、インフルエンサー、あるいはアスリートの境目が曖昧になってきています。YouTuberが双方向のSNSを使っても問題ない理由は。

「芸能人じゃなくても、有名になってきた時点で双方向のSNSはできるだけ避けた方がいいと思います。有名になると一人でやっているという存在じゃなく、その人で食ってる人が出てくるから。タレントならプロダクション、アスリートでもマネージャーやスポンサー。何かで有名になって、有名であること自体に価値が出てくると、個人でSNSをやってるつもりでも個人だけの問題じゃなくなってくる。その点、YouTuberで撮影から編集まで全部一人でやってるのなら、自由にやってもいいと思う。ただ、今はYouTuberでも有名になると事務所に入ったり、大人たちが寄ってくるから、いろいろと揉めないためにはやらないほうが無難かもしれません」

――東京五輪ではアスリートが誹謗中傷に声を上げたことも話題になりました。誹謗中傷に対してそういったアクションを起こすことは得策ですか。

「声を上げること自体はいいことだと思う。ただ、たとえ声を上げてもこの流れが変わるかと言ったら残念ながらどうかなと。『誹謗中傷はいけません』っていうネットリテラシーの教育はすでにされてるけど、受け取る側にとっては深刻な中傷でも、それをしている側にとっては面白半分の暇つぶしで、中にはそれが誹謗中傷だとすら思ってない場合もある。警察がチェックすると言った途端にアカウントが全部削除されたり、要は書いてる方はただの遊び半分で、なんの覚悟もないんですよ。だから、真剣に怒って声を上げても、効果があるかは疑問です。

 本気で誹謗中傷をなくすつもりなら匿名性をやめるしかない。でも、すべての匿名性をなくすとネット自体の意味がないというのもわかる。あと、コメントや投稿内容が炎上や誹謗中傷であっても、どこかでそれが儲かっている仕組みになっているとしたらそのシステムを変えない限り、俺たちじゃどうすることもできないのも事実」

――有名税という言葉もありますが、有名人である以上、誹謗中傷に晒されるのは仕方がないことなのでしょうか。

「仕方がないなんてことはないし、誹謗中傷は絶対になくなったほうがいい。さっきも言ったけど今のシステムでは構造的に難しい。いくら著名人が声を上げても、現状の取り締まりを強化しても取り締まりの数に対して誹謗中傷の数が圧倒的に多いから結局、物言わぬことが一番いい解決策になってしまう。

 自分自身、炎上の経験者として、目の前の対策としては無視するのが一番です。ただ、このSNS空間をより良くしていこうという大きな話であれば、それはプラットホームや警察といった、システムや行政の仕事になってくると思いますね」

□カンニング竹山/竹山隆範(たけやま・たかのり)1971年4月2日、福岡県出身。92年、小学校の同級生だった中島忠幸と組んでお笑いコンビ「カンニング」を結成。2006年12月、白血病の療養中だった相方の中島がウイルス性肺炎を発症し死去。以降、芸名を本名から「カンニング竹山」に変更しピン芸人として活動する。放送作家の鈴木おさむと2008年から始めた単独ライブ「放送禁止」は今年で14回目を迎え、10月13日東京・中野サンプラザで「放送禁止2021 in 中野サンプラザ」を有観客と配信で開催する。

軽トラからセンチュリー、バイクにバギー…大御所タレントの仰天愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

カンニング竹山単独ライブ
「放送禁止2021 in中野サンプラザ」
日時:2021年10月13日(水)午後6時開演
会場:中野サンプラザ
出演:カンニング竹山、構成:演出 鈴木おさむ

配信チケット発売中:https://takeyama.live/
チケット:¥6,000 全席指定
ローソンチケット:http://l-tike.com/ (Lコード:34547)
チケットぴあ:http://t.pia.jp/ (Pコード:508-540)
イープラス:http://eplus.jp

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