カンニング竹山、発言切り取りのネットニュース多発に「正直やめてほしい」 一方で事情に理解も

新型コロナウイルス禍でライブやイベントが制限されるなか、ファンと交流するためのツールとして、ますます活発になっている芸能人のSNS利用。一方で投稿が予期せぬ形で拡散され炎上を招いたり、深刻な誹謗(ひぼう)中傷につながったりといったケースも増えている。誰もがSNSを使うことが当たり前になった時代、私たちはどのようにSNSと関わっていけばいいのか。ツイッター歴14年のベテランで、数々の炎上も経験したカンニング竹山(50)と、理想のSNSの在り方について考える。

SNSとの付きあい方について語った【写真:塩見徹】
SNSとの付きあい方について語った【写真:塩見徹】

ツイッターはライブの宣伝目的で30日後にやめるつもりだった

 新型コロナウイルス禍でライブやイベントが制限されるなか、ファンと交流するためのツールとして、ますます活発になっている芸能人のSNS利用。一方で投稿が予期せぬ形で拡散され炎上を招いたり、深刻な誹謗(ひぼう)中傷につながったりといったケースも増えている。誰もがSNSを使うことが当たり前になった時代、私たちはどのようにSNSと関わっていけばいいのか。ツイッター歴14年のベテランで、数々の炎上も経験したカンニング竹山(50)と、理想のSNSの在り方について考える。(取材・文=佐藤佑輔)

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――「芸能人とSNS」がテーマのインタビューです。竹山さんがSNSを始められた経緯は。

「ツイッターを始めたのは、14年前から鈴木おさむさんとやっている単独ライブ『放送禁止』がきっかけ。当時は芸能人自ら配信するのはどっかでヨゴレがやることだと思ってて、嫌だなー、やりたくないなーと思いつつ、ライブのチケットを売らなきゃいけないから、宣伝用と割り切って30日間限定で始めたんです。舞台が終わってツイッターも消そうと思ったときに、仕事仲間が『竹山さん、ツイッターは消さないほうがいいですよ。絶対に今後仕事をする上で役立つツールになりますよ』と言われて、それが今に至ってる。確かに、今思うと消さなくてよかった。おかげさまで90万人くらいフォロワーがいるけど、それは始めたのが早かったからというのも大きい。芸能人の中ではかなりの古参になると思います。

 使い始めのころはいろいろやってましたね。ツイッターが楽しくなる時期ってあるでしょ。それこそケンカもしましたし。『うるせーお前』ってリプ飛ばしたりして、徐々にこういうことやっちゃダメなんだなとか、ケンカはしないほうがいいなというのがわかってくる。アツいこと語ったり、ダセえこと言ったり、下ネタ言っちゃったりとか。今振り返ると黒歴史じゃないけど、恥ずかしい投稿もけっこうしましたね(笑)。

 ツイッターの必要性を一番実感したのが東日本大震災のとき。当時はLINEが出る前で、電話も何も通じないなかツイッターだけがつながって、マネージャーとか奥さんとも連絡を取ることができた。震災後の福島を紹介する活動のときも、携帯ひとつ持って旅行するだけでリアルタイムで発信ができる。これは便利だな、面白いなって感じましたね」

――ただでさえ注目を浴びる芸能人、これまでにSNSとのつきあい方で悩んだことは。

「ツイッターは文字だけのツールだから、誤解されやすいというのはありますよね。最近も五輪の開会式のときに千駄ヶ谷の駅前を通ったら、すごいデモをやってて、野次馬もいっぱいいて。『千駄ヶ谷の駅前がデモやなんかがあると思って来た人たちで溢れかえってる』って人混みの写真を載せたんです。自分としては『デモや、何かがあると思って来た人たち』というつもりで書いたのが『デモやなんか』とも読めるようになってて、そりゃ反対派の人は怒るわけですよ。『自分たちの活動を“デモやなんか”とは何たることだ!』って。

 あと、いったん火がつくと何回否定してももうその誤解は解けないですよね。五輪で演出家の過去のイジメが問題になったとき、あるアカウントが『竹山も付き人をイジメてたって話を昔ラジオでしてたぞ!』と拡散させて。確かにそういう話を昔ラジオでしたことは事実。でも、その付き人とは長年の付き合いがあって、元は芸人の後輩。それもみんなで飲んでるときの遊びで、もちろんそれでも当時からすごく怒られました。ただ、それをツイッターでそういう風に切り取った形で拡散されると、それ自体がもう立派なイジメですよ。当の付き人から『竹山さん、えらいことなってますよ。どうします?』ってすぐに電話がかかってきて、結局そいつと二人でYouTubeで釈明動画まで出したけど、それでもまだ誤解したままの人もいる。

 ツイッターは早く簡単に拡散する分、間違った情報をうのみにする人もけっこういて、そこの誤解を解くのはなかなか難しいですよね。炎上させてやろうとそういう投稿を探してる人もいるし、最近はメディアでも芸能人のSNSを記事にする流れがあったりと、それが金につながってる面もある」

――確かに、SNSの投稿やテレビでの発言をそのまま記事にしたネットニュースは増えています。芸能人として、そういったネットニュースへの率直な印象は。

「正直なことをいうとやめてほしいって気持ちもあります。勝手に書くのはいいけど、そこだけ切り取られると後々面倒なことになるんだけどなって。やっぱり、できれば直接取材に来てほしいと思ってる。ただ、最近はそこの免疫もついてきたというか、これからのタレントはしょうがないことだなとも感じる。大昔は『2ちゃんねるにお前のこと書かれてるぞ』なんて聞いて、パソコンも持ってないからわざわざマンガ喫茶まで行ってM心で見たりして。最初は『何だこれ!?』なんて思ったけどそのうち慣れてくる。そのときの慣れと似てますよね。

 そもそも紙媒体が売れなくなってきて、ただ新聞社にも社員はいて、その人たちの給料や生活をどうするかってなったときに、ネットニュースでもなんでもやってお金を稼がなきゃいけないという事情がある。メディアの人たちだって、本当にそれをやりたいと思ってるのかというと、もしかしたらお金のために仕方なくやってるだけかもしれない。ただ炎上させたいだけなら新聞社もネットメディアもいちいち記事にしないだろうけど、そこでお金が生まれるシステムになっちゃってるから、そりゃ書くだろうというのもわかる。

 今はまさに紙からネットっていうところ過渡期で、それがあと何年かでどう変わっていくかですよね。最近、ネットニュースでも『これ切り取りじゃん』とか『見出しで釣ってるだけじゃん』と気付く読者の方が増えてきて、『会見全文公開』なんて記事も出始めてる。それはいい傾向なんじゃないですか」

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