有森也実が「潮時」と思った女優人生の危機 37年間所属した事務所退所の理由を告白

感じた女優人生の危機を語る有森也実【写真:山口比佐夫】
感じた女優人生の危機を語る有森也実【写真:山口比佐夫】

「この芝居がだめだったら、有森、スパッと、この道をあきらめます」

 清純派から濡れ場まで、幅広くこなすキャリア十分の女優。それでも「潮時」とは何があったのか。

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「40代後半、50代って難しいです。ヒロインのお母さん役はもっと若くてきれいな女優さんがいるし、だからと言って60代、70代の深みには達していない。なかなか中途半端だなと。自分の立ち位置が危うい、無いと感じていました。清純派とかにこだわってきたわけではないですが、1回離れてみるのもいいかと思いました」

 そんな時に出会った「化粧二題」が有森をよみがえらせた。

「本当にこの芝居がだめだったら、有森、スパッと、この道をあきらめます。というほど大きな命をかけて挑むべき作品。死ぬ気でやらなきゃと思いました。自分が生きる道は演じること。作品のメッセージや作者の思い、情熱、スタッフさんの技術など全部、託していただける存在であることは、ありがたく、うれしいことと素直に感謝できるようになり、今、それが力となっています」

 女優生活は約38年になる。一般的な大卒会社員なら定年を迎えるほどの歳月。昨年の6月末に15歳から所属していた芸能事務所を退社してフリーとなった。

「事務所の社長は私が15歳の夏からずっと父と娘みたいな関係性でした。甘やかされて育てられ、いつも助けていただきました。辞めたのは、もう少し自分を厳しい場所にというか、親離れをするなら今かなと決断しました。ずっといた場所を離れるのはつらかったです」

次のページへ (3/4) 「去年の状況では、発展するものを私の中では感じられませんでした」
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