【私の宝物】デビューから60年第一線で活躍する俳優・高橋英樹が語る台本2000冊全て保管してきた意味

3人の恩人について語った【写真:荒川祐史】
3人の恩人について語った【写真:荒川祐史】

俳優として生き残ってこられたのは「人との出会いの積み重ね」

 数多いる俳優のなかで、77歳の今も第一線を走っている高橋さん。それを可能にしているのは何なのか。

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「高校生のときに日活ニューフェースの公募に受かりデビューしましたが、入ってみたら俳優さんは300人もいる。しかも、みんな格好いいのに売れていない、これは簡単じゃないぞ、とすぐにプレッシャーを感じました。そんな中で俳優として生きてこられたのは、監督やプロデューサー、先輩、同輩、後輩……人との出会いですね。その方たちが教えてくれたことの積み重ねが全てです」

 感慨深げにそう振り返る高橋さん。恩人が3人いるという。その1人は前出の尾上松緑。2人目は日活の先輩女優・浅丘ルリ子(80)だ。デビュー作「高原児」で姉弟役を演じた。

「浅丘さんは行儀、礼儀作法など芸能界での基本を叩き込んでくれました。今でもおっかないです(笑)。当時は現場で、『この人は知らない人だから』とあいさつしなかったりするとすぐに呼び出され、『誰でもいいから頭下げなさい!! あんたは撮影所の中で一番下なの!!』と叱ってくれました。『分かりました』と答えて、それからはみんなにあいさつをしていたら『おまえ今日、8回目だよ』と言われたことがあります(笑)」

 女優・浪花千栄子さん(故人)もありがたい人だった。5月までNHK連続テレビ小説「おちょやん」のヒロイン・千代のモデルとなった女優だ。

「浪花さんとはデビュー3年目に『伊豆の踊子』、それから1年半後にヤクザ映画で再共演したんです。撮影のとき、私はロケバスで仲間の俳優さんとバカ話をしながら出番を待っていたのですが、ほかの俳優さんが出て行ったあと、3列ぐらい前の席に座っていらした浪花さんが、フッと私の方を振り返って『あんた、変わらはったなぁ』とおっしゃったんです。氷水を浴びせられたように感じました。初心を忘れ有頂天になっていたと気づかされ、猛省しました」

 デビューから60年。恩人の教えを忘れず、常に勉強を続けてきたからこそ、今の高橋さんがあるのだろう。

□高橋英樹(たかはし・ひでき)1954年2月10日、千葉県木更津市生まれ。市川高校在学中、日活ニューフェース第5期に選ばれ61年、映画「高原児」でデビュー。63年にスタートした主演映画「男の紋章」シリーズなどで活躍したが、映画業界の衰退とともにテレビへ活躍の場を移した。「桃太郎侍」(日本テレビ系)や「遠山の金さん」「三匹が斬る!」(テレビ朝日系)などの時代劇で大活躍。バラエティーでも好感度が高い。私生活では74年結婚。1人娘はフリーアナウンサーの高橋真麻(39)。2020年、初孫誕生。6月28日、主演ドラマ「月曜プレミア8 再雇用警察官2」(テレビ東京系)が放送される。

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