【プロレスこの一年 ♯46】アントニオ猪木が日本マット界初の賞金マッチ 「夢のオールスター戦」で8年ぶりのBI砲 79年のプロレス

ファンクスがブッチャー&ザ・シーク組を破り、2年ぶりに「世界最強タッグ」優勝(写真は82年)【写真:平工幸雄】
ファンクスがブッチャー&ザ・シーク組を破り、2年ぶりに「世界最強タッグ」優勝(写真は82年)【写真:平工幸雄】

馬場と猪木が8年ぶりにタッグ結成

 そして8月26日、日本武道館にて「夢のオールスター戦」が実現した。これは「東京スポーツ創刊20周年記念事業」として行われたもので、1万6500人の大観衆を動員。メインでは全日本・馬場と新日本・猪木のBI砲が8年ぶりにタッグ結成、ブッチャー&シン組という両団体のトップヒールと対戦した。

 最後は猪木がシンを押さえ込んでBI砲が勝利。試合後、猪木はマイクで馬場との対戦を呼びかけた。セミでは鶴田&藤波&ミル・マスカラスのトリオが実現しトリプルドロップキックで競演、タイガー戸口&高千穂明久(グレート・カブキ)&マサ斎藤組に勝利した。

 オールスター戦後には各団体の頂点王座が目まぐるしい動きを見せた。10・2大阪で藤波が剛竜馬に敗れ、WWFジュニア王座陥落のサプライズ。しかし25度目の防衛に失敗した藤波だが、2日後の蔵前で剛からベルトを奪い返すことに成功した。国際10・5後楽園では、木村がニック・ボックウィンクルと一騎打ち。木村がIWA世界ヘビー級、ニックがAWA世界ヘビー級を懸けたダブルタイトルマッチは木村が勝利も、反則により両者防衛に。全日本10・31名古屋では馬場がハーリー・レイスを破り、NWA世界ヘビー級王座5年ぶりに奪取。馬場は11・5串間でレイスとの再戦に勝利し初防衛に成功も、11・7尼崎で奪還を許してしまう。前回は1週間天下だったが、2度目の戴冠も短命に終わった。レイスは翌日の後楽園でブッチャーと両者リングアウトも王座防衛。これは、NWA世界ヘビー級王座戦が後楽園で行われた初めての大会だった。国際では木村が11・13三条でガニアに敗れてIWA世界ヘビー級王座を失うも、3日後の和歌山で奪回に成功した。新日本11・30徳島では、猪木がボブ・バックランドのWWFヘビー級王座に挑戦し勝利。日本人として初めてのWWFヘビー級王者になったと思われたが、この記録は抹消されるはめに。12・6蔵前でバックランドが猪木を破り、ベルトも奪回。しかし反則絡みのフォール勝ちからWWF会長でもあった新間営業本部長がクレームをつけ無効試合に。再戦も行われることになった。ところが、猪木の奪取そのものが認められず、バックランドはベルトを守り抜いた王者として帰国した。

 12月17日、ニューヨークのマジソンスクエア・ガーデンにてバックランドはボビー・ダンカンを破りWWFヘビー級王座を防衛。この大会には新日本勢も参戦しており、猪木はハッサン・ザ・アラブを相手にNWFヘビー級王座を守り、意地を見せたのだった。

 全日本「世界最強タッグ決定リーグ戦」は12・13蔵前で最終戦が行われ、ドリー・ファンクJr&テリー・ファンクのファンクスがブッチャー&ザ・シーク組を破り、2年ぶりの優勝。ブッチャーとシークは誤爆をきっかけに仲間割れとなった。(文中敬称略)

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