入社1年目、航空会社社員の本音「働けて幸せ」…客からの「あなた感染してないよね?」に涙

コロナ禍により欠航便が相次ぎ、国内線ターミナルも閑散としている【写真:ENCOUNT編集部】
コロナ禍により欠航便が相次ぎ、国内線ターミナルも閑散としている【写真:ENCOUNT編集部】

「まさかこんなことになるなんて…」それでも働けることは幸せ

 国内線のターミナルは国際線と比べると利用客が少しだけ多いように見えた。ただ、カウンターだけではなく、土産店やレストランなども閉まっているところがほとんど。以前のような活気はない。

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 例年だとスキー道具を担いで空港に訪れる旅客で賑わう時期。だが、ソーシャルディスタンスを保つための目印に並ぶ必要もないほど、人は少ない。設置されたばかりの自動チェックイン機や自動手荷物預け機も、稼働している台より「休止中」となっているものが目立っていた。

「入社した時には、まさかこんなことになるだなんて思ってもみなかった……」と話すのは国内線旅客部に所属する桑原綾さん(仮名)。地元の福岡を離れ、2020年4月に憧れだった航空会社へ入社した。だが、入社以降、一度も地元に帰ることができていないという。

 実家の両親から連絡がくるたびに、「帰りたい」という思いに駆られる。「でも、どこで(新型コロナウイルスに)感染するか分からない状況ですし、絶対に帰れないです」と寂し気に明かした。それでも、桑原さんにとってこの1年は、仕事のやりがいを実感できたものだったという。

「お客様へ、感謝の気持ちを込めたイベントを搭乗口で開催したことがありました。改札を通るお客様から『ありがとう』という言葉をいただいたり、お客様を見送るスタッフの笑顔を見ていたら、自分自身も励まされました。『便が減って困る』とか、『あなた感染してないよね?』という声がお客様から上がることもあって泣きそうになったこともありましたが、これも経験だと思って乗り越えていこうと思いました。今もこうして働けていることが、私にとっては幸せなことです」。

 コロナ禍が収まったら、両親に働いている姿を見に来てほしいという桑原さん。立派な社会人となった娘に会えることを、両親も心待ちにしているだろう。そんな日が一日でも早く訪れることを、願うばかりだ。

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