専門医が語る“コロナうつ”の3つの黄信号 「2回目の緊急事態宣言下は女性が危ない」

昼寝は午後4時前、運動は夕方にすることがおすすめ

 心身の不調は自分では自覚しにくいことが多いです。私のクリニックを受診される方は「心の不調がある」とヘルプを求めていらっしゃるだけではなく、「成果が出なくなった」と仕事の悩みから来院される方もいます。「頭の中にモヤがかかっているみたいだ」「頭の前のほうが重い」「意思決定力が低下した」「人の話が理解しづらくなった」と仕事に必要な集中力の低下を訴える方も。テレワークでは生活リズムの変化から集中力が出にくい心身状態になりやすいにもかかわらず、出社して仕事をしていたときと比べて勤務時間ではなく成果で評価されるので、成果を出しにくい状態になっている方はよりプレッシャーを感じるようです。

 心の不調を放っておくと身体が動かなくなってきたり、身体の不調を放っておくと心の不調が強くなったりと、本格的に治療が必要なうつ状態になってしまいます。そうならないためには、まずはポイントをおさえて生活することをおすすめします。生活リズムを整えるために、朝起きる時間を一定にする。寝足りなく、早起きが難しいという人は早く寝るか、または朝起きる時間に朝日が当たる窓際へ移動だけして、二度寝をしてもよいでしょう。人間の脳にある中枢の体内時計は太陽の光を浴びることで、スイッチが入るのです。

 二度寝や昼寝をしたいときは、夜に寝るベッドなどとは違う場所で寝るようにしてください。脳は勘違いしやすいので、二度寝や昼寝を夜に寝るベッドなどですると「本格的な睡眠だ」と勘違いし、長時間寝て夜の睡眠に影響してしまいます。昼食後くらいの時間に眠くなる人も多いと思いますが、眠くなってからお昼寝をすると深い睡眠になってしまうので、眠くなる前に、横にならず座ったまま計画仮眠をしましょう。仮眠というと眠らなければいけないような印象があるかもしれませんが、目を閉じるだけで脳は休まります。机にうつぶせになって休んでもいいでしょう。ただし、夕方以降の仮眠は夜の眠りを妨げるので、仮眠をするのは午後4時までにしてください。

 運動は夕方に行うことをおすすめします。夕方に筋トレなどをして体温を上げると、その後、徐々に体温が下がり、夜に深い睡眠がとれるようになります。外出自粛で運動不足になると眠りが浅くなりがちですし、筋肉が落ちて体温の調整がしにくくなります。筋肉を落とさないためにも、運動はぜひ行ってほしいですね。運動する余裕がないという人は5分のお散歩や筋トレを日常の中で数回取り入れましょう。少ない運動時間でも、積み重なれば十分な運動量になります。

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